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アディリ
しおりを挟む「もう勝手に喋るけど、ちょっとは答えてよね」
「……」
「俺があんたが将軍さんだって知ってるのは、あんたにコンタクト取りたいとおもって色々模索してたからだ。 まぁ、今や諸国統一間近の将軍に会えるのは無理な話だけどな」
「……」
二人の話が、どんどん進んでいくが。
僕は段々と、心ここにあらずになっていく。
「あんたにとっても悪い話じゃ無い。トレノスと接触するのは、もう時間がないと思って諦めかけていた。だが、あんたが現れた。これは神の奇跡か? 聖霊様の導きか?? 」
「……まさか」
「そう、そんな奇跡起こりっこないけど、あんたが現れたんだ。協力してくれ!」
なんか……凄く寒かったのに……今度は熱い。だるい。
あれ??風邪??
「……何を企んでいる。お前は何者だ」
「俺は、アディリ。このビザンに革命を起こそうと思ってる」
「……クーデターか。だとしたら、なぜこんな所に閉じ込めた?ここはお前の所有する場所には見えない。……さながら趣味の悪い貴族の地下牢だ」
クーデターってなんだっけ……頭がぼーっとする。
段々立ってるのつらくなってきた。
「それは残念なお知らせだが、正解だ。将軍たちを捕まえたのは俺じゃ無い、ビザンで一番の糞変態貴族だ」
「……こいつの身の安全が確保されるなら、お前たちに協力してもいい」
2人の会話が頭にはいって来ない。
ダメ。ここで倒れるわけにいかない・・・。ガイウスに迷惑がかかる。
気をしっかり持つんだ。
「……オーケイ。事が済んだら、俺たちの隠れ家に案内する」
ご……ごめん…ガイウス……もう無理。
「こころ!?」
僕は膝をついて崩れ落ちる。
すぐにガイウスが後ろを向いて僕をのぞき込む。
なんでだろう、熱くて、苦しい。
もしかして、なんか刺されたやつ…。
「あっ、大丈夫。心配しないで、命に別状なしだから。変態貴族の催淫剤だから」
ガイウスの背中で見えなかったけど、改めて天パ男が目に入る。
「ああ!?」
何だろう、ガイウスが怒ってる……ごめんなさい……僕、邪魔だよね。
ガイウスがぱらりと腕を縛っている縄を外した。すごい。
そして僕を抱き起こしてくれた。
「変態貴族のマーロウに拾われるとはツイてないけど、安心して奴、不能で潔癖だから、大体2人、3人娼婦や男を買って絡ませるんだ。 とんでもないド変態だけど殺傷させる趣味は無いから大丈夫」
「おい!なんで変態と会うように語ってる!事が済んだらとは何だ!」
ガイウスが僕を支えていない方の手で格子をつかむ。
運動している訳じゃ無いのに心臓がドキドキしている。
「え?だって俺たちこれから、この館から活動資金のために色々頂くから、二人が気を引いといて」
「ふざけるな!?」
あぁ熱いよ・・・。
それに段々、あっちこっち痒いみたいな感じが出てきた。
これってどんな毒なの??ガイウスは大丈夫なの?
「え?だって将軍の恋人でしょ、その子。見張りがのぞいた時に、それはそれは愛しそうに抱きしめてたって。 それに体の大きさ違うから今、将軍効いてないみたいだけど、これからくるよ。……薬抜かないと動けないよ。相当な薬らしいよ」
「問題ない!」
「まぁまぁ、良いじゃん。いつものことするだけだろ、変態いるけど。 あらかた盗んだら迎えに来るから。ごめんもう、時間ない!じゃあね!」
やってきた男二人が逃げるように階段を駆け上がっていく。
「あいつ……俺の部下だったら殺してるぞ!!」
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