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第5章 生まれる!
7、名付けの回想
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望月アグリと申します。
みなさま、自分の名前を気にってらっしゃいますか?
私は密かに子供の名前を妊娠中に決めておりまして。
その時まで時を戻しましょう。
臨月のある日、弟のマスオが遊びにきました。
「あら、マスオ、きてくれてありがとうね。」
「お姉さん、こんなにお腹大きくなって痛くないんか?」
「うん。時々、赤ちゃんがけると痛いけどね。」
「赤ん坊が蹴るんかい?」
「そうよ。元気な証拠だってお医者様がいてったわ。」
「元気な子なら、男の子かね?」
「うん。どちらでもいいんだけどね。なんとなく男の子な気がする。」
「お腹のことがわかるの?」
「いや、全然。でも夢をみたの。」
「夢?」
「少年と小さな女のがニコニコしてる夢。」
「それって、未来かね?」
「そうだといいんだけどね。そうそう、それといえば、マスオに聞きたかったの。」
「どうしたの?」
「あなた、自分の名前について考えたことある?」
「うーん。あんまりなかったな。」
「そうよね。あなたはマスオって感じだしね。」
「それ、馬鹿にしとるんかね?」
「ううん。今ね、赤ちゃんの名前考えてたの。」
「え、望月のお父さんとかじゃなくてええのかね?」
「私、自分の子供の名前は自分でつけたいの。」
「そういうもんかね。」
「お父様を信用してないってことじゃないのよ。でも、その子の一生についてくるものでしょ。」
「お姉さんは優しいな。」
「ん?」
「俺は自分の子供には好きな名前をつけてしまうよ。」
「ううん。私だって自分勝手だってわかってるんだけど。」
それからマスオとは他愛のない話をしました。
「お姉さん、内緒だけどどんな名前か聞いていい?」
「1番最初にはね、ヨウスケさんに伝えたいの。だから、一文字の名前ってことだけ教えておく。」
「一文字の名前って、望月の跡取りさんでええんか?」
「これからは世界に出ていく時代よ。そんな全時代的な。」
「一悶着ないことを祈るよ。お兄さんがうまく動いてくれるといいな。」
「そうね。」
ということで、私はこの時点で名前を決めていました。しかし、前のお話を聞かれた方はご存知かと思いますが、三文字の名前になってしまいました。もう昔のことになりますが、それでも私はこの赤ん坊のことを壮年になっても「淳」と呼び続けました。
大切な宝物の名前になりました。
ということで今日はこの辺りで失礼します。お粗末様でした。
みなさま、自分の名前を気にってらっしゃいますか?
私は密かに子供の名前を妊娠中に決めておりまして。
その時まで時を戻しましょう。
臨月のある日、弟のマスオが遊びにきました。
「あら、マスオ、きてくれてありがとうね。」
「お姉さん、こんなにお腹大きくなって痛くないんか?」
「うん。時々、赤ちゃんがけると痛いけどね。」
「赤ん坊が蹴るんかい?」
「そうよ。元気な証拠だってお医者様がいてったわ。」
「元気な子なら、男の子かね?」
「うん。どちらでもいいんだけどね。なんとなく男の子な気がする。」
「お腹のことがわかるの?」
「いや、全然。でも夢をみたの。」
「夢?」
「少年と小さな女のがニコニコしてる夢。」
「それって、未来かね?」
「そうだといいんだけどね。そうそう、それといえば、マスオに聞きたかったの。」
「どうしたの?」
「あなた、自分の名前について考えたことある?」
「うーん。あんまりなかったな。」
「そうよね。あなたはマスオって感じだしね。」
「それ、馬鹿にしとるんかね?」
「ううん。今ね、赤ちゃんの名前考えてたの。」
「え、望月のお父さんとかじゃなくてええのかね?」
「私、自分の子供の名前は自分でつけたいの。」
「そういうもんかね。」
「お父様を信用してないってことじゃないのよ。でも、その子の一生についてくるものでしょ。」
「お姉さんは優しいな。」
「ん?」
「俺は自分の子供には好きな名前をつけてしまうよ。」
「ううん。私だって自分勝手だってわかってるんだけど。」
それからマスオとは他愛のない話をしました。
「お姉さん、内緒だけどどんな名前か聞いていい?」
「1番最初にはね、ヨウスケさんに伝えたいの。だから、一文字の名前ってことだけ教えておく。」
「一文字の名前って、望月の跡取りさんでええんか?」
「これからは世界に出ていく時代よ。そんな全時代的な。」
「一悶着ないことを祈るよ。お兄さんがうまく動いてくれるといいな。」
「そうね。」
ということで、私はこの時点で名前を決めていました。しかし、前のお話を聞かれた方はご存知かと思いますが、三文字の名前になってしまいました。もう昔のことになりますが、それでも私はこの赤ん坊のことを壮年になっても「淳」と呼び続けました。
大切な宝物の名前になりました。
ということで今日はこの辺りで失礼します。お粗末様でした。
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