望月アグリと申します

有住葉月

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第4章 新しい関係

4.妊娠中の楽しみ

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望月アグリともうします。色々な便利な世の中になると、不便なことが殊更際立ちますが、私はちょっとそういう不便なことが好きでもありました。

私が退学してしまってから、望月の家に友人がやってきました。
最初は遠慮していたようですが、ある時学校にヨウスケさんがやってきてぜひ遊びに行ってほしいといったそうです。あの、忍び込んだ次の日のことだったので、やはりヨウスケさんがきたのは幽霊ではなく本物だったようです。

「でも、いいなあ。かっこいい旦那様がいて。」
「そうそう、アグリは大きな家にお嫁に行って、なんでも恵まれとるんじゃもんね。」
「ああ、私も望月家に嫁ぎたいわー。」

みなさん、好きなことを言います。
「お嫁にくるって、意外に大変よ。」
「でも、アグリはお嬢様って呼ばれてるじゃない?あれってお嫁さんっていうよりも養女さんて感じで本当に裏やましいわ。」

そう言われてみればそうです。私はアグリお嬢様と呼ばれています。
今になって考えてみれば、姑のトモヨさんが私をお嬢様と呼ぶようにと女中さんにいっていたようなのです。
それを知るのも、後での話なんですがね。

「ねえ、子供がお腹にいるってどんな感覚?」
「うーん。最近はお腹を蹴るから、ムニュムニュって感じよ?」
「なにそれー!」
みんなが笑いました。
そんなにおかしいことでしょうか?

「ねえ、アグリ。子供を産んだら、この家を手伝うの?」
「私はそんなことまだ考えてない。」
「でも、望月組のね」

私はヨウスケさんの自由について考えていました。
彼は自由だといったのです。

私が読書好きだというのを皆様にお話ししましたが、私は雑誌を買ってもらっていました。
その中でも好きだったのは、東京の女学生の着こなし特集でした。
あんな服を一度でいいから着てみたい。そんな思いを秘めていました。
毎月買われるその雑誌を見て、訪れた友人と語り合うのが私の密かな楽しみとなっていました。

ということで、今日の話はこのくらいまでで失礼します。お粗末様でした。
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