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第4章 結婚して変わったこと

14、伊藤に相談

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俺の名前は大杉緑だ。
俺は今、迷走している。

サチがひどく酔って帰ってから、俺は反省をした。
活動をしたい気持ちはある。でも、大切なものの優先順位を考え直していた。

平日の夜、伊藤とバーで落ち合うことになっていた。
それに俺は若干気乗りしないが、行くことにした。

「お、大杉、こっち。」
窓際のテーブルで伊藤は一人で飲んでいた。
「ああ、待たせた。」
「いや、俺もさっき。」

俺はあまり酔わないように、ビールを頼んだ。

「先週、幹部と話しただろ。」
「うん。」
「大杉のこと褒めてたぞ。」
「え?」
「これをもっと練れば、訴えを起こせるってな。」
「ああ、それが。」
「何かあったのか?」
「どうやら、俺の親父にもちょっと止められてて。」
「活動のことか?」
「うん。」
「お前は、いわゆるブルジョアだからな。」
「そんなふうに言うなよ。」
「嫌味じゃないよ。この世の中はブルジョアが支配してるからな。」
「俺は支配なんてしてないよ。」
「大杉がそんな人物じゃないってことはわかってるよ。だから、お前みたいな人がこの国を動かしてくれればなって思うんだよ。」
「俺は、伊藤の方が、すごいと思う。」
「どうして?」
「だって、自分を犠牲にして活動してるじゃないか。」

伊藤は少し考えた表情をし、顎を触った。
「うーん。俺は犠牲なんて何もしてないぞ。」
「どう言うことだ?」
「何を見て犠牲って思ったのか?」
「お前、ある程度稼いでるのに、活動に資金を注ぎ込んでるだろ。」
「ああ、それか。」
「それって、俺すごいと思う。」
「全然すごくないよ。」
「どうして?」
「大杉、俺はサラリーが良くてもブルジョアじゃないんだ。だから、力のある人物と関わることもできない。だからそれをするには俺の金を使うくらいしかできないんだよ。」

でも、そんな伊藤を俺は尊敬せざるおえなかった。

「俺、迷ってるんだ。」
「大杉、無理しなくていいんだぞ。」
「活動したい気持ちと、家族を守らなきゃいけない気持ちで。」
「じゃあさ、表にお前は出なくていい。時々俺とこうやってバーであってくれ。」
「それだけでいいのか?」
「訴訟の相談とかするよ。少しでも手伝ってくれたらうれしい。」

と言うことで、伊藤に許してもらって、俺はどっぷりハマるつもりだった活動に対して、少し引いた立場でいることとなった。不甲斐ない自分に反吐が出た。

と言うことで、今日はこの辺りでさらばである。
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