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第1章 非凡なる学生

6、友人の話

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俺の話を聞いてほしいなんて、恐れたことはない。
非凡なる俺の興味がるだろう話をしてみようってところである。

俺の友人について、前に少し触れた久保について言いたいと思う。
久保は私立の有名大に通う学生だった。
俺と同じように、ある程度裕福な家庭に育ったやつだった。

だからか、俺らは出会った時から妙に馬があった。
他の低俗と言ってはいけないが、常識のない奴らと違っていたんだ。

社会主義の本質を久保は解こうとしていた。
その姿勢を俺は尊敬した。

4歳違いであったが、年下の俺にも丁寧に接する態度も素晴らしいと思った。

社会主義者団体というと、危険視されがちだが、久保は違った。
特高から目をつけられてる、暴走だけが好きな輩ではなかった。

勉強会を開くようになってから、久保からいろんなことを教わった。
そして、俺も久保が成長するような色々な質問をして共に成長したのだ。

久保の弱点は女であった。
社会主義者団体にはほとんど女はおらず、通っている大学もほとんどいないと言っていた。

久保は俺が大学一年の時、そう、久保はその時、親の関係の会社に勤め始めた頃だ。
会社にいるタイピストを好きになった。

俺は中学の頃から、女にフラフラしていたもんだから、気張らずに久保にアタックしろと言った。

久保はタイピストにデートを申し込んだ。
しかし、それは叶わなかった。

久保は能力はあるが、見た目の中でも目がキツく、女性ウケはしないようだった。

しかし、俺はもう4年の付き合いになっている久保がそのタイピストに受け入れられなかったのか甚だ疑問だった。

それで、方々手を尽くして、そのタイピストとカフェーで落ち合った。

「あなた、久保さんのなに?」
「友人ですよ。」
「ずいぶん年下ね。」
「昔からの付き合いで。」
「でも、あなた、見栄えもいいから、デートしてあげても良くてよ。」
「久保はダメなのに?」
「だって、お嫁にもらってくれるっていうならいいけど、どうせデートして付き合って捨てられるっていうコースでしょ?」
「久保はそんなことしない。」
「なんでそんなこと言えるの?」
「久保は真面目で、本当に思った人にしか言わない。」
「ふうん。でも、私は、あなたみたいな人とデートしたいわ。」

それを聞いて、この空っぽな女に久保はもったいないと思った。

ということで、俺は久保にふさわしい、女性を探すことにした。
友人思いだろ。
俺は義理堅いんだ。

その話は次に。じゃあ、また。
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