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第十六章 最終学年

28、ノアとのレッスン(語学について)

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辻と話した放課後、学校が終わって職場へはいかず、佐藤家に帰った。
ノアとのピアノとイタリア語のレッスンの日だった。

前半のピアノのレッスンは滞りなく終わった。
「櫻、随分練習しましたね。」
「でも、まだ頭がこんがらがります。」
「ん?」
「あの、手と手の動きを同じ動きなりそうで。」
「誰でもそうです。でも、右手と左手が違う動きにできるようにはすぐなります。」
「そうでしょうか?」
「だからツェルニー練習してるんです。」
「ああ、だからなんですね。」
「なんでも基礎が大事です。」

ピアノの場所から移動してリビングのテーブルにノートとペンを用意して櫻とノアは座った。

「櫻はイタリア語好きですか?」
急にノアが聞いてきた。
「ああ、ちょっと発音が難しいですけど、好きです。」
「よかった。師範に行けるようになったら、次はフランス語するといいですよ。」
「イタリア語も続けて?」
「この二つは似ている部分も多いです。」
「イタリア語でおはようは、ボンジョルノ、フランス語は知ってますか?」
「いいえ、わかりません。」
「ボンジュールです。」
「え!すごく似てますね。」
「そうです。だからイタリア語知っておいて全然損はないのです。」
「どちらの国にも行ってみたいです。」
「その時は私も息子を連れて櫻と行きたいですね。」
「そうですね。息子さん、まだイタリアには?」
「はい。父にあったことはありません。幸いなことに、息子は日本人に近い顔に生まれたので舶来人といじめられることはあまりないようですが。」
「でも、親としては悩んんでますか?」
「いいえ。個性です。息子の個性。私は尊重したいです。」
「ノア先生はすごいです。」
「何もすごくないですよ。」
「私、影響受けて、師範受けようとまで思ったんですから。」
「あなたは女性の世の中を変えるかもしれない。」
「え?」
「それがもう今の時点でなんとなくわかる。ノアには。」
「私、そんな大それたことできますかね。」
「いえいえ。ノアは日本人の謙遜、よくわかりません。」
「謙遜じゃなくて、本当の気持ちです。」
「なら、勉強しましょう。どの国でも通用する淑女になりましょう。」
「淑女。。。」
「私がジュンに教わった日本語の中で好きな言葉です。」
「どうして?」
「私はどんな女性か日本語で教えてくださいとジュンに頼んだのです。」
「そうしたら先生が?」
「そう、英語でレディ、品位のある淑やかな女性と言いました。」
「辻先生、いつでもキザですね。」
「そこが彼の魅力です。」
「そうですね。」
「ですから、語学に長けた淑女になりましょう。」

そうして、イタリア語の勉強は始まった。
師範に向けてなので、単語と文法を徹底的に勉強する。
そんな時間が櫻は楽しかった。
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