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第十六章 最終学年
22、久しぶりの帰り道
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話は前後する。
出産した望月家を後にすることになったみんなは帰ることになった。
富田が言った。
「私、もう一回編集部に戻るから電車で帰るわ。」
辻が言った。
「なら、僕の車で。」
「いいの、今日は櫻さんを送ってあげて。」
「でも、」
「電車も車もあまり変わらないわ。ほとんどね。」
そういうことで、櫻と辻は久しぶりに辻の車で帰ることになった。
「久しぶりですね。」
櫻はニコッとした。
「うん、嬉しいね。」
辻も返した。
坂本は車の中で待っていた。
「坂本、待たせたね。」
「いえ、坊っちゃん、よかったですね。安産だったそうで。」
「どうして知ってる?」
「ああ、お姑さんが知らせに来てくれたんですよ。」
「トモヨさん、さすがだな。」
後部座席に櫻と辻は乗った。
「どうだい、新生活は?」
「もったいない生活をしてます。」
「もったいない?」
「はい。私、いつも下働きの時間に追われてたから。」
「ああ、じゃあ本の虫とか勉強とか。」
「その通りです。」
「佐藤支店長は面白い人だろう?」
「はい。あんなかたが私の父になってくれるなんて本当夢見たいんです。」
「僕も、あの人が本当に好きだよ。人を差別しない人だからね。」
「そうですね。さすが、いろんな人と関わってきたから。」
「でも、君が勉強に前向きみたいで本当に良かった。」
「え?」
「師範の勉強してるんだろ?」
「はい。でも、なかなか難しいですね。」
「じゃあ、ノアに頼むといい。」
「どういうことですか?」
「外国語の選択を二教科にすると合格しやすいんだ。」
「どういうことですか?」
「不得意な理科系の教科を外国語にすることで受かりやすいんだよ。」
「でも、イタリア語始めたばかりで。」
「英語に比べて本当に簡単な問題しか出ないよ。」
「そうなんですか?」
「君は将来、フランス語もしたいんだろ?」
「そうです。」
「なら、イタリア語力を入れておいて損はない。」
「私も外遊に行ってみたいです。」
「話せたら本当に面白いよ。」
「そうですね。先生も、ノア先生もすごい。」
「言葉は人と繋ぐ。君はたくさんの人と関わるべきだ。」
「そんな褒めないでください。」
「でも、君とね、いつか外遊するのが僕の夢でもあるんだよ。」
「そうなんですか?」
「君は本当に自分を甘くみてるね。」
「そんなことはないです。」
「まあ、僕も大した人間ではないけど、君はもっともっと大成する。」
「うーん、まだひよっこですけどね。」
「僕も負けてられないな。」
「先生、学校と大学と大変ですね。」
「うん、今回はね、研究が共同研究だから大変だけど面白いよ。」
「私も大学に行きたいな。」
「今度、行ってみるか?」
「女性は入っては?」
「入学はできないけど、中には入れるよ。坂本と3人で歩いていたら変じゃないだろ。」
「じゃあ、今度帝国大、連れて行ってください。」
「まあ、今度は親戚ってことで連れて行くよ。」
「そうですね、変な噂も怖いし。」
櫻はワクワクした。そして、いつか一緒に大学に行けるなんて思ってなかったので、とても幸せだった。
出産した望月家を後にすることになったみんなは帰ることになった。
富田が言った。
「私、もう一回編集部に戻るから電車で帰るわ。」
辻が言った。
「なら、僕の車で。」
「いいの、今日は櫻さんを送ってあげて。」
「でも、」
「電車も車もあまり変わらないわ。ほとんどね。」
そういうことで、櫻と辻は久しぶりに辻の車で帰ることになった。
「久しぶりですね。」
櫻はニコッとした。
「うん、嬉しいね。」
辻も返した。
坂本は車の中で待っていた。
「坂本、待たせたね。」
「いえ、坊っちゃん、よかったですね。安産だったそうで。」
「どうして知ってる?」
「ああ、お姑さんが知らせに来てくれたんですよ。」
「トモヨさん、さすがだな。」
後部座席に櫻と辻は乗った。
「どうだい、新生活は?」
「もったいない生活をしてます。」
「もったいない?」
「はい。私、いつも下働きの時間に追われてたから。」
「ああ、じゃあ本の虫とか勉強とか。」
「その通りです。」
「佐藤支店長は面白い人だろう?」
「はい。あんなかたが私の父になってくれるなんて本当夢見たいんです。」
「僕も、あの人が本当に好きだよ。人を差別しない人だからね。」
「そうですね。さすが、いろんな人と関わってきたから。」
「でも、君が勉強に前向きみたいで本当に良かった。」
「え?」
「師範の勉強してるんだろ?」
「はい。でも、なかなか難しいですね。」
「じゃあ、ノアに頼むといい。」
「どういうことですか?」
「外国語の選択を二教科にすると合格しやすいんだ。」
「どういうことですか?」
「不得意な理科系の教科を外国語にすることで受かりやすいんだよ。」
「でも、イタリア語始めたばかりで。」
「英語に比べて本当に簡単な問題しか出ないよ。」
「そうなんですか?」
「君は将来、フランス語もしたいんだろ?」
「そうです。」
「なら、イタリア語力を入れておいて損はない。」
「私も外遊に行ってみたいです。」
「話せたら本当に面白いよ。」
「そうですね。先生も、ノア先生もすごい。」
「言葉は人と繋ぐ。君はたくさんの人と関わるべきだ。」
「そんな褒めないでください。」
「でも、君とね、いつか外遊するのが僕の夢でもあるんだよ。」
「そうなんですか?」
「君は本当に自分を甘くみてるね。」
「そんなことはないです。」
「まあ、僕も大した人間ではないけど、君はもっともっと大成する。」
「うーん、まだひよっこですけどね。」
「僕も負けてられないな。」
「先生、学校と大学と大変ですね。」
「うん、今回はね、研究が共同研究だから大変だけど面白いよ。」
「私も大学に行きたいな。」
「今度、行ってみるか?」
「女性は入っては?」
「入学はできないけど、中には入れるよ。坂本と3人で歩いていたら変じゃないだろ。」
「じゃあ、今度帝国大、連れて行ってください。」
「まあ、今度は親戚ってことで連れて行くよ。」
「そうですね、変な噂も怖いし。」
櫻はワクワクした。そして、いつか一緒に大学に行けるなんて思ってなかったので、とても幸せだった。
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