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第十六章 最終学年

3、クラス分け

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学校に着いて、靴箱の横にクラス分けの表が貼ってあった。
櫻が気にしたのは一点、上野和枝と一緒のクラスであるかだけであった。

幸運にも彼女と同じクラスであった。
もしかしたら、辻がそれを踏まえてクラスメイトにしてくれたのかもしれない。
しかし、そこは考えずに最終学年に一緒になれたことに喜んでいた。

後ろから声をかけられた。
「櫻さん。」
「あ、和枝さん。」
「一緒だわね。」
「うん、嬉しい。」
「私も嬉しいわ。」
「最終学年、昨日ドキドキしちゃって。」
「私も。」

二人でふふ。と笑った。

「ね、佐藤櫻になってるわね。」
「うん。」
「みんなわかるかしら?」

そうすると、上野の友人なのか話しかけてきた学生がいた。
「あれ、江藤さんじゃない?」
「はい。」
「江藤さん、名前、間違えて書かれちゃった?」
「え?」
「佐藤になってるから。」
「えっと、養女になって。」
「え!そうだったの!」

その女学生があまりにも大きな声でびっくりしたので辺りがざわめいた。

「え?何があったの」
「どうしたの?」
端端で女学生が声をかけてくる。

「江藤さん、養女になってって!」

皆がざわめいた。

櫻は覚悟を決めた。
「お騒がせしてすみません。私、養女になって佐藤櫻になったんです。以後お見知り置きを。」

みんながシンとなった。
上野と櫻の周りに人が集まっている。

そこに一人の男性が現れた。

「あれ、みんなどうしたのかい?」
辻である。
「あ、えっと、江藤さんが。」

「そうなんだよ。江藤さん、今年度から佐藤さんになるからみんなそのように。彼女の中身が変わったわけじゃないからそのままで。気にしないでね。」

そう、辻が言うと、女学生はばらけていった。

和枝が言った。
「辻先生に助けられたね。」
「うん。」
「あのままだったら、パニックだったわ。」
「そんな、大事なのかしら?」
「だって、17で養女でしょ?よっぽどいいとこに行ったか没落したかって話題になるわよ。」
「そう言うことなのかあ。」
「櫻さんて時々抜けてるわよね。」
「抜けてる?」
「うーん、いや無頓着?」
「なんだか褒められてない気がする。」
「いいのよ。女性はちょっと抜けてた方が。」
「え?」
「あんまりにも武装している女性って男性が近寄らないでしょ。」
「うーん。」
「まあ、前のあなたは武装してたけど。」
「また、褒めてない。」
「そう言うのが親友でしょ。」

二人でまた笑った。
そうして、二人で教室へ向かった。
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