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第十五章 佐藤櫻として

3、ナカとの会話の続き

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ナカと二人で櫻の新しい部屋での会話は続く。。

「まあ、お嬢様立ったままというのもなんですから、ベッドに腰掛けてください。私は椅子に座らせていただきます。」
スエは荷物を置いたら、出ていって、ドアを閉めてくれた。

「色々とご不安なこともあるでしょう?」
「ああ、でも、これまでいろんな家で暮らしてきましたから。」
「そういうことがあっても、自分を律してきたんですね。」
「そんな。。皆さんの助けがあって今があるんです。」
「ナカは農家の出身でして。」
「私もです。」
「お嬢様、私にうちけていいんですか?」
「え?」
「出会って30分も経ってないのに。」
「だって、ナカさんも。」
「私が悪人だったら?」
「私、わかりますから。」
「何がですか?」
「ナカさんが悪人ではないことは。」
「どうして?」
「今まで本当にいろんな人と関わってきました。だから、近づいていい人とそうじゃない人の区別がつくんです。」
「本当のこと言うと、櫻お嬢様のことを聞いた時、ちょっと羨ましかったです。」
「そうですよね。」
「でも、そうじゃないことがわかりました。」
「え?」
「大変ご苦労なさって、ここまでたどり着いたってことがわかりました。」
「でも。。」
「農家の暮らし、方々の家での暮らし、どう扱われたかは今のお話でなんとなくナカもわかりましたよ。」
「いえ、本当にただ、幸運なだけで。」
「でも、櫻お嬢様がこの家を明るくしてくれそうで安心しました。」
「それは?」
「ご主人様、お嬢様を亡くされてから、家で沈んでまして。スエは以前のご主人様を知らないからそう言う方だと思っているようですが、ご主人様は家に帰ってくるのが本当に楽しいようで、いつも笑ってらしゃいました。」
「そうだったんですか。。」
「私たち女中3人を呼び出して、養女を迎えると言った時、本気かと思いました。」
「それはそうですよね。」
「でも、それが櫻お嬢様だと今わかって安心しました。」
「どうして?」
「あなたがご主人様をきっと笑顔の世界に引き戻してくれる方だと思ったからです。」
「私にできるでしょうか?」
「そんなに謙遜なさらないでください。」
「でも。。。」
「ご主人様、今日の朝、すごく張り切ってらっしゃったんっですよ。」
「え?」
「あんなに楽しそうにしてるのは久しぶりに見ました。」
「私、どうしてればいいですか?」
「櫻お嬢様はそのままで。本当にそのままでいいんです。今日は荷解きなどあるでしょうから、お昼までゆっくりなさってください。昼食ができたら呼びにいきますね。何かわからないことがあったら、私かスエが家の中におりますので。」

そう言って、ナカは出て行った。
ベッドの上には持ってきた荷物が置いてある。
窓の外を見た。
綺麗な青空が光っていた。
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