252 / 419
第十四章 望月家からの旅立ち
16、愛のバトンタッチ
しおりを挟む
2人が抱き合っていた間、ピエロの格好の望月はニコニコしていた。
そして、頃合いを見計らい、こういった。
「さて、感動の局面でございます。2人の友情、それを超えた家族愛、人間愛を見ていただきました。」
「ではその愛をバトンで繋いでいただきます。」
今度は望月は佐藤支店長に目配せをした。
佐藤支店長は自分なのかわからず、周りを見渡した。
望月は、佐藤支店長に対して、うんうん、というポーズを取った。
「さあ、佐藤さん、前に出てきてください。」
アグリと櫻はそっと離れた。
そして、席に戻ろうとした。
「いやいや、2人は戻らないで。」
望月は2人を席に戻らないように声をかけた。
『え?」
2人はお互いの顔を見合わせた。
「さてさて、ここからがSHOWの大本番。愛のバトンを繋いでもらいます。」
望月が急に真剣な顔になった。
佐藤が出てきたことによって、上座は櫻とアグリと佐藤の3人になり、望月は奥にいるノアの横へ行った。
「では、佐藤さん、即興で構いません。アグリと私たち、櫻さんにメッセージがありましたら、よろしくお願いします。」
櫻はちょっと、突拍子もないことすると思いながらも佐藤の言葉をまった。
「えー、このたび、櫻さんの父となることになりました、佐藤と申します。
この家で櫻さんが大変大切にされてたのは本人から十分聞いております。
だからこそ、その櫻さんとこれ以上ない素敵な家庭を、親子を築いていけたらと思っています。
ありきたりな言葉から、面白い人間ではないと思われるかもしれません。
私はある日まで、自分が努力すれば自然に幸せはついてくると、仕事に勤しんでいました。
家族もそれを応援してくれていました。
しかし、ある日それは変わってしまったのです。
スペイン風邪で。
次女と妻を2人亡くし、長女はすでに嫁いでいました。
私は数人の女中がいましたが、家族と呼べるものは無くしてしましました。
私の人生は、もうこうやって静かに幕を下ろすと思っていました。
しかし、縁があって、櫻さんが我が家の娘になってくれることになりました。
ここからは誰にも話していませんが、私は飛び上がるほど嬉しかったのです。
もう家庭を持てないと思っていた私に、娘が来てくれる、そんな奇跡が起こるとは。
百貨店で櫻さんの対応を見ていた時、非常に穏やかなお嬢さんだと思いました
しかし、それは仕事上での話です。
でも、実際、彼女を養女にする手続きをする自分に苦労もありましたが、楽しさもあったのです。
望月さん、私の家にきて、後悔させないように私も勤めます。
ですので、私も含めて今後ともよろしくお願いします。」
佐藤はアグリと望月一家に一礼した。
そして今度はアグリが泣いてしまった。
そのアグリをピエロの望月がそっと抱きしめた。
そして、頃合いを見計らい、こういった。
「さて、感動の局面でございます。2人の友情、それを超えた家族愛、人間愛を見ていただきました。」
「ではその愛をバトンで繋いでいただきます。」
今度は望月は佐藤支店長に目配せをした。
佐藤支店長は自分なのかわからず、周りを見渡した。
望月は、佐藤支店長に対して、うんうん、というポーズを取った。
「さあ、佐藤さん、前に出てきてください。」
アグリと櫻はそっと離れた。
そして、席に戻ろうとした。
「いやいや、2人は戻らないで。」
望月は2人を席に戻らないように声をかけた。
『え?」
2人はお互いの顔を見合わせた。
「さてさて、ここからがSHOWの大本番。愛のバトンを繋いでもらいます。」
望月が急に真剣な顔になった。
佐藤が出てきたことによって、上座は櫻とアグリと佐藤の3人になり、望月は奥にいるノアの横へ行った。
「では、佐藤さん、即興で構いません。アグリと私たち、櫻さんにメッセージがありましたら、よろしくお願いします。」
櫻はちょっと、突拍子もないことすると思いながらも佐藤の言葉をまった。
「えー、このたび、櫻さんの父となることになりました、佐藤と申します。
この家で櫻さんが大変大切にされてたのは本人から十分聞いております。
だからこそ、その櫻さんとこれ以上ない素敵な家庭を、親子を築いていけたらと思っています。
ありきたりな言葉から、面白い人間ではないと思われるかもしれません。
私はある日まで、自分が努力すれば自然に幸せはついてくると、仕事に勤しんでいました。
家族もそれを応援してくれていました。
しかし、ある日それは変わってしまったのです。
スペイン風邪で。
次女と妻を2人亡くし、長女はすでに嫁いでいました。
私は数人の女中がいましたが、家族と呼べるものは無くしてしましました。
私の人生は、もうこうやって静かに幕を下ろすと思っていました。
しかし、縁があって、櫻さんが我が家の娘になってくれることになりました。
ここからは誰にも話していませんが、私は飛び上がるほど嬉しかったのです。
もう家庭を持てないと思っていた私に、娘が来てくれる、そんな奇跡が起こるとは。
百貨店で櫻さんの対応を見ていた時、非常に穏やかなお嬢さんだと思いました
しかし、それは仕事上での話です。
でも、実際、彼女を養女にする手続きをする自分に苦労もありましたが、楽しさもあったのです。
望月さん、私の家にきて、後悔させないように私も勤めます。
ですので、私も含めて今後ともよろしくお願いします。」
佐藤はアグリと望月一家に一礼した。
そして今度はアグリが泣いてしまった。
そのアグリをピエロの望月がそっと抱きしめた。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる