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第十四章 望月家からの旅立ち
6、坂本との楽器店
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まだ望月の家にいるある日、櫻は坂本と楽器店に行くことになった。
「坂本さんのお時間をいただいて恐縮です。」
「いえ、櫻さんのご要望とあれば、坂本は嬉しいですよ。」
「でも、楽器を演奏できるなんて本当に尊敬します。」
「そうですか?私は、努力をする櫻さんを尊敬してますよ。」
そう考えてみると、きちんと二人で坂本と話をするのは初めてだった。
「あの、楽器店にこんな素人が行ってもいいのでしょうか?」
「誰だって、最初は初心者です。それは同じことです。まず始めると言うことが勇気ですから。」
坂本の言葉はすごいと思った。
辻が、いつも褒めているのはこのことだと悟った。
「さあ、櫻さん、着きましたよ。」
銀座の中央にあるビルディングに楽器店があった。
「わあ、すごいですね。」
「そうですか?」
「私、銀座をあまり闊歩したことないので。」
「銀上に通われてて、そうだったのはあなたくらいでしょうね。」
「そうですね。」
「悪い意味じゃないですよ。坂本としては、あなたが苦労した分、それを坊ちゃんは幸せにしたいと思ってるようですから。」
「辻先生が?」
「最近、お友達とのお時間も取られて、寂しいこともあるけど、幸せそうな櫻さんが見られて嬉しいと。」
「辻先生、寂しがってます?」
「そりゃあ、もう。」
ちょっと恥ずかしくなった。櫻は赤い顔を坂本に見られたらどうしようかと思った。
「さあ、最初は櫻さんが習っているピアノのコーナーからみましょうか?」
辻が連れて行ってくれた場所には大きなグランドピアノが置いてあった。
「あの、これって。」
「グランドピアノって言いましてね。大きなホールとか。銀上にもあるでしょう?」
「実際、開いているのはみるの初めてなんです。」
「そうだったんですか。」
「佐藤支店長のピアノと何が違うんですか?」
「基本的な構造は変わりません。ただ、響とかそう言うものが違います。」
「ああ、そうなんですね。」
しばらくの間、櫻はグランドピアノに見惚れていた。
坂本はそっと隣にいて、静かにしていた。
櫻が素敵な時間を過ごしているのを知っていたから。
「坂本さんのお時間をいただいて恐縮です。」
「いえ、櫻さんのご要望とあれば、坂本は嬉しいですよ。」
「でも、楽器を演奏できるなんて本当に尊敬します。」
「そうですか?私は、努力をする櫻さんを尊敬してますよ。」
そう考えてみると、きちんと二人で坂本と話をするのは初めてだった。
「あの、楽器店にこんな素人が行ってもいいのでしょうか?」
「誰だって、最初は初心者です。それは同じことです。まず始めると言うことが勇気ですから。」
坂本の言葉はすごいと思った。
辻が、いつも褒めているのはこのことだと悟った。
「さあ、櫻さん、着きましたよ。」
銀座の中央にあるビルディングに楽器店があった。
「わあ、すごいですね。」
「そうですか?」
「私、銀座をあまり闊歩したことないので。」
「銀上に通われてて、そうだったのはあなたくらいでしょうね。」
「そうですね。」
「悪い意味じゃないですよ。坂本としては、あなたが苦労した分、それを坊ちゃんは幸せにしたいと思ってるようですから。」
「辻先生が?」
「最近、お友達とのお時間も取られて、寂しいこともあるけど、幸せそうな櫻さんが見られて嬉しいと。」
「辻先生、寂しがってます?」
「そりゃあ、もう。」
ちょっと恥ずかしくなった。櫻は赤い顔を坂本に見られたらどうしようかと思った。
「さあ、最初は櫻さんが習っているピアノのコーナーからみましょうか?」
辻が連れて行ってくれた場所には大きなグランドピアノが置いてあった。
「あの、これって。」
「グランドピアノって言いましてね。大きなホールとか。銀上にもあるでしょう?」
「実際、開いているのはみるの初めてなんです。」
「そうだったんですか。」
「佐藤支店長のピアノと何が違うんですか?」
「基本的な構造は変わりません。ただ、響とかそう言うものが違います。」
「ああ、そうなんですね。」
しばらくの間、櫻はグランドピアノに見惚れていた。
坂本はそっと隣にいて、静かにしていた。
櫻が素敵な時間を過ごしているのを知っていたから。
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