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第十二章 新学期

9、夕食後に

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櫻は学校での嬉しいことがたくさん増えて、幸せだった。
放課後は基本的には仕事に行くが、時々、上野とおやつに行ったり、図書委員をやったりした。
もちろん、辻とは放課後の車の中で色々と話をした。

日々が過ぎていく中で、櫻はアグリと離れることに関して、とても寂しく思ってきた。
夕食後に、話しかけた。
「アグリ先生、夕食の後に書斎にいいですか?」
「いいわよ。よかったらきて。」

片付けをして、書斎に入った。
「どうしたの?」
「アグリ先生とお話ししたくて。」
「ああ、最近、櫻さん忙しかったものね。」
「女学校の友達と出かけて本当に楽しかったです。」
「よかった。どこに行ったの?」
「先生からお借りした雑誌に載ってたお店です。」
「あら、あのお店まだやってた?」
「はい。とてもパフェが美味しくて。」
「そうなのよ。でも一人じゃ食べきれないんじゃない?」
「友人と分けました。」
「あら、素敵。」
「あと、図書委員した時に、私に本のことを聞いてくれた子がいました。」
「その子はラッキーね。」
「そうですか?」
「だって、本博士の櫻さんからおすすめの本を聞けるんだもの。」
「そうだったら嬉しいです。」
「あなたは勉強家だからね。でも、堅物だったのがそれが取れた。」
「実は、それ友達にも言われたんです。」
「そうなの?」
「それって、アグリ先生の影響で。」
「私は櫻さんほど気が利かないわよ。」
「人の心を解きほぐすのは本当にすごいです、アグリ先生は。」
「あら、嬉しい。あのね、褒められたからってことじゃないんだけど。」

そういうと、アグリは書斎のはじから風呂敷に包まれたものを持ってきた。
「開けてみて。」
櫻があけると、そこには着物と袴が入っていた。

「先生。」
「これ、私がきていたものなの。」
「いいんですか?」
「逆に古典柄なんて流行らないものだから申し訳ないんだけど。」
「でも、とても綺麗です。」
「私もね、姉から受け継いだものなの。」
「そんな大事なもの。」
「あなたに女学生時代に着てほしいの。」
「嬉しいです。」
「それでね、もしあなたの将来に、女の子が生まれたらその子に受け継いであげて。」
「だったら、先生の子に。」
「それもいいわね。お互いに大事しましょ。」

アグリからのプレゼントに本当に嬉しく思った。
明日、着ていこう。後数ヶ月のこの嬉しい時間を噛み締めていた。
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