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第十一章 櫻の冬休み
19、富田編集長に提出
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櫻は書いてみた女学生の随筆を富田編集長に渡してみた。
「富田編集長、まだまだですよね?」
「ちょっと、待ってね。もう一回読ませて。」
うーんと考えながら読んでいる。
それを見つめてみた。
「ねえ、これって江藤さんの経験?」
「経験と言いたいところですが、実は違います。」
「うん、そう思った。」
「どうしてですか?」
「視点が大人だからよ。」
「視点が大人?」
「明らかに女学生じゃなくて、職業婦人が取材して書いた文章に見える。」
「やっぱりダメですか?」
「ううん。逆にいい。」
「え、でも」
「あのね、実は女学生で原稿持ち込んだ子がいたのよ。それをみてちょっと残念だったの。」
「どう残念だったんですか?」
「単なる日記みたいなものでね。読み手に伝えようという感じじゃなかったの。」
「ダメなんですか?」
「ダメじゃないけど、まあ女学生はこの程度かなって思ったから。
「でも私は新鮮じゃないですよね?」
「ううん。新鮮だわ。」
「そう言っていただけるとありがたいですけど、どこかダメなところは?」
「そうね、無理に女学生が書いたなんて忘れればいいってことかな。」
「え?それは?」
「あなたはエッセイストデビューってことね。」
「エッセイスト?」
「随筆家ってことよ。小説でもなく、インタビュウでもなく、きちんと取材した内容を書ける。編集者でもあるけど、これはきちんとしたテーマがあったからね。」
櫻は嬉しかった。まだ稚拙な自分にこんなふうに言ってくれるとは。
「あの、本当に嬉しいです。」
「いっぱい原稿読んで、勉強になってたでしょ?」
「実は、はい。」
「江藤さんがメモを取ってるところ、時々見てた。」
「恥ずかしいです。」
「メモを取るというのは本当に大切なこと。あなたはそれが言われる前からできてた。」
「これから何をすればいいですか?」
「そうね、この原稿、次号に載せてもいい?」
「あ、実名じゃなければ。」
「そうよね。じゃあどんな名前にする?」
櫻は迷った。
「じゃあ、大井華で。」
「興味本位でどうしてその名前なの?」
「初めて、東京に出てきて叔父の店の手伝いで行った大井町がよかったんです。あと、櫻が好きだけど華のように煌びやかに生きたいと思って。」
「あなたは家庭を持ったら、いい名前を子供につけそうね。」
ということで、大井華、デビューである。
櫻は冬休みの中で本当に嬉しい一つとなった。
「富田編集長、まだまだですよね?」
「ちょっと、待ってね。もう一回読ませて。」
うーんと考えながら読んでいる。
それを見つめてみた。
「ねえ、これって江藤さんの経験?」
「経験と言いたいところですが、実は違います。」
「うん、そう思った。」
「どうしてですか?」
「視点が大人だからよ。」
「視点が大人?」
「明らかに女学生じゃなくて、職業婦人が取材して書いた文章に見える。」
「やっぱりダメですか?」
「ううん。逆にいい。」
「え、でも」
「あのね、実は女学生で原稿持ち込んだ子がいたのよ。それをみてちょっと残念だったの。」
「どう残念だったんですか?」
「単なる日記みたいなものでね。読み手に伝えようという感じじゃなかったの。」
「ダメなんですか?」
「ダメじゃないけど、まあ女学生はこの程度かなって思ったから。
「でも私は新鮮じゃないですよね?」
「ううん。新鮮だわ。」
「そう言っていただけるとありがたいですけど、どこかダメなところは?」
「そうね、無理に女学生が書いたなんて忘れればいいってことかな。」
「え?それは?」
「あなたはエッセイストデビューってことね。」
「エッセイスト?」
「随筆家ってことよ。小説でもなく、インタビュウでもなく、きちんと取材した内容を書ける。編集者でもあるけど、これはきちんとしたテーマがあったからね。」
櫻は嬉しかった。まだ稚拙な自分にこんなふうに言ってくれるとは。
「あの、本当に嬉しいです。」
「いっぱい原稿読んで、勉強になってたでしょ?」
「実は、はい。」
「江藤さんがメモを取ってるところ、時々見てた。」
「恥ずかしいです。」
「メモを取るというのは本当に大切なこと。あなたはそれが言われる前からできてた。」
「これから何をすればいいですか?」
「そうね、この原稿、次号に載せてもいい?」
「あ、実名じゃなければ。」
「そうよね。じゃあどんな名前にする?」
櫻は迷った。
「じゃあ、大井華で。」
「興味本位でどうしてその名前なの?」
「初めて、東京に出てきて叔父の店の手伝いで行った大井町がよかったんです。あと、櫻が好きだけど華のように煌びやかに生きたいと思って。」
「あなたは家庭を持ったら、いい名前を子供につけそうね。」
ということで、大井華、デビューである。
櫻は冬休みの中で本当に嬉しい一つとなった。
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