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第十一章 櫻の冬休み
10、偶然の出会い
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お正月に過ごしたことは色々とあったが、実は本物の活動家に会ったのが櫻の驚きだった。
日付は前後するが、2日に東京観光をしてみた。
今まで、勉強してばかりでしっかりと見物してなかったからだ。
御徒町の駅前でビラ配りと演説をしていた。
その時、櫻は1人でいた。
演説台の上で1人の男性がメガホンで大声を出していた。
「あなたたち、今虐げられて働いている人をご存知ですか!」
興味があった櫻は近づいてビラをもらった。
そして、中心にいる人物を見た。
「私、大杉緑、これからも貧しい人にも金持ちの人にも平等な社会を目指します。」
大杉緑。この名前には覚えがあった。
前に、辻と一緒にいた時に読んだ活動家である。
あの時、異常に辻が嫉妬したのでちゃんと受け入れられなかった。
「なあ、そこに歩いている諸君、本当の貧しさと言うのは心の中にある。他人を思いやれないことだ。本当にある苦しみに目を背けている人はいないか!」
自分の心につき刺さった。
貧しい心。
今、裕福な生活に慣れてきた私はそれを隠れて目を背けている気がしていた。
でも、気が付かないフリをしていた。
「あの、」
ビラ配りの人に櫻は声をかけた。
「ああ、お姉さん、興味ある?」
「あの、活動家の皆さんですか?」
「そうだよ。知ってる?」
「あ、あの雑誌で。」
「そうなんだよ。今、大杉さんが中心になって雑誌などのマスメディアにね。」
「そうなんですか。。。」
「興味あるんだったら、これから会合もあるけど。」
「あ、でも私帰らなければならなくて。」
「ならさ、これ、」
名刺を渡された。
社会主義連合 大杉緑
となっている。
「大杉さんの名刺を渡しておくから、興味や都合がいい時に手紙でも送ってくれよ。」
「でも、特高とか」
「大杉さんは政治家とも繋がってるからね。」
もっと知りたい。でも、これはこちらの道に進むことは許されないことと知っている。
櫻は後ろ髪をひかれながら、御徒町を後にした。
その日の夜、ずっとその名刺を眺めて、大切なノートに挟んだ。
持ち歩かないように、気をつけて。
日付は前後するが、2日に東京観光をしてみた。
今まで、勉強してばかりでしっかりと見物してなかったからだ。
御徒町の駅前でビラ配りと演説をしていた。
その時、櫻は1人でいた。
演説台の上で1人の男性がメガホンで大声を出していた。
「あなたたち、今虐げられて働いている人をご存知ですか!」
興味があった櫻は近づいてビラをもらった。
そして、中心にいる人物を見た。
「私、大杉緑、これからも貧しい人にも金持ちの人にも平等な社会を目指します。」
大杉緑。この名前には覚えがあった。
前に、辻と一緒にいた時に読んだ活動家である。
あの時、異常に辻が嫉妬したのでちゃんと受け入れられなかった。
「なあ、そこに歩いている諸君、本当の貧しさと言うのは心の中にある。他人を思いやれないことだ。本当にある苦しみに目を背けている人はいないか!」
自分の心につき刺さった。
貧しい心。
今、裕福な生活に慣れてきた私はそれを隠れて目を背けている気がしていた。
でも、気が付かないフリをしていた。
「あの、」
ビラ配りの人に櫻は声をかけた。
「ああ、お姉さん、興味ある?」
「あの、活動家の皆さんですか?」
「そうだよ。知ってる?」
「あ、あの雑誌で。」
「そうなんだよ。今、大杉さんが中心になって雑誌などのマスメディアにね。」
「そうなんですか。。。」
「興味あるんだったら、これから会合もあるけど。」
「あ、でも私帰らなければならなくて。」
「ならさ、これ、」
名刺を渡された。
社会主義連合 大杉緑
となっている。
「大杉さんの名刺を渡しておくから、興味や都合がいい時に手紙でも送ってくれよ。」
「でも、特高とか」
「大杉さんは政治家とも繋がってるからね。」
もっと知りたい。でも、これはこちらの道に進むことは許されないことと知っている。
櫻は後ろ髪をひかれながら、御徒町を後にした。
その日の夜、ずっとその名刺を眺めて、大切なノートに挟んだ。
持ち歩かないように、気をつけて。
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