170 / 419
第十一章 櫻の冬休み
10、偶然の出会い
しおりを挟む
お正月に過ごしたことは色々とあったが、実は本物の活動家に会ったのが櫻の驚きだった。
日付は前後するが、2日に東京観光をしてみた。
今まで、勉強してばかりでしっかりと見物してなかったからだ。
御徒町の駅前でビラ配りと演説をしていた。
その時、櫻は1人でいた。
演説台の上で1人の男性がメガホンで大声を出していた。
「あなたたち、今虐げられて働いている人をご存知ですか!」
興味があった櫻は近づいてビラをもらった。
そして、中心にいる人物を見た。
「私、大杉緑、これからも貧しい人にも金持ちの人にも平等な社会を目指します。」
大杉緑。この名前には覚えがあった。
前に、辻と一緒にいた時に読んだ活動家である。
あの時、異常に辻が嫉妬したのでちゃんと受け入れられなかった。
「なあ、そこに歩いている諸君、本当の貧しさと言うのは心の中にある。他人を思いやれないことだ。本当にある苦しみに目を背けている人はいないか!」
自分の心につき刺さった。
貧しい心。
今、裕福な生活に慣れてきた私はそれを隠れて目を背けている気がしていた。
でも、気が付かないフリをしていた。
「あの、」
ビラ配りの人に櫻は声をかけた。
「ああ、お姉さん、興味ある?」
「あの、活動家の皆さんですか?」
「そうだよ。知ってる?」
「あ、あの雑誌で。」
「そうなんだよ。今、大杉さんが中心になって雑誌などのマスメディアにね。」
「そうなんですか。。。」
「興味あるんだったら、これから会合もあるけど。」
「あ、でも私帰らなければならなくて。」
「ならさ、これ、」
名刺を渡された。
社会主義連合 大杉緑
となっている。
「大杉さんの名刺を渡しておくから、興味や都合がいい時に手紙でも送ってくれよ。」
「でも、特高とか」
「大杉さんは政治家とも繋がってるからね。」
もっと知りたい。でも、これはこちらの道に進むことは許されないことと知っている。
櫻は後ろ髪をひかれながら、御徒町を後にした。
その日の夜、ずっとその名刺を眺めて、大切なノートに挟んだ。
持ち歩かないように、気をつけて。
日付は前後するが、2日に東京観光をしてみた。
今まで、勉強してばかりでしっかりと見物してなかったからだ。
御徒町の駅前でビラ配りと演説をしていた。
その時、櫻は1人でいた。
演説台の上で1人の男性がメガホンで大声を出していた。
「あなたたち、今虐げられて働いている人をご存知ですか!」
興味があった櫻は近づいてビラをもらった。
そして、中心にいる人物を見た。
「私、大杉緑、これからも貧しい人にも金持ちの人にも平等な社会を目指します。」
大杉緑。この名前には覚えがあった。
前に、辻と一緒にいた時に読んだ活動家である。
あの時、異常に辻が嫉妬したのでちゃんと受け入れられなかった。
「なあ、そこに歩いている諸君、本当の貧しさと言うのは心の中にある。他人を思いやれないことだ。本当にある苦しみに目を背けている人はいないか!」
自分の心につき刺さった。
貧しい心。
今、裕福な生活に慣れてきた私はそれを隠れて目を背けている気がしていた。
でも、気が付かないフリをしていた。
「あの、」
ビラ配りの人に櫻は声をかけた。
「ああ、お姉さん、興味ある?」
「あの、活動家の皆さんですか?」
「そうだよ。知ってる?」
「あ、あの雑誌で。」
「そうなんだよ。今、大杉さんが中心になって雑誌などのマスメディアにね。」
「そうなんですか。。。」
「興味あるんだったら、これから会合もあるけど。」
「あ、でも私帰らなければならなくて。」
「ならさ、これ、」
名刺を渡された。
社会主義連合 大杉緑
となっている。
「大杉さんの名刺を渡しておくから、興味や都合がいい時に手紙でも送ってくれよ。」
「でも、特高とか」
「大杉さんは政治家とも繋がってるからね。」
もっと知りたい。でも、これはこちらの道に進むことは許されないことと知っている。
櫻は後ろ髪をひかれながら、御徒町を後にした。
その日の夜、ずっとその名刺を眺めて、大切なノートに挟んだ。
持ち歩かないように、気をつけて。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる