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第十一章 櫻の冬休み

6、キヨとの話

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2日まで帰省していたキヨは望月家に帰っていた。

トントン。
「櫻さん、」
「あ、キヨさん」
大久保キヨは実家の群馬から饅頭が土産だと櫻の部屋に来てくれた。

「生物でしょ。明日帰る先輩とかにはあげられないから、内緒ね。」
「そんな、いただいていいんですか?」
「いいのいいの。私、櫻さんと同志だしね。」

キヨは自分の夢を櫻に話してから、本当の友人になっていた。
「私、友人らしい友人が今までいなかったから、キヨさんが本当に嬉しいです。」
「それ言ったら私もよ。女学校とかの友達もいたけど、私、夢のことなんて話せなかった。」

「どう。今、櫻さんはどんな夢の中にいる?」
「私、苦しんでる人たちを助けたいというか、でも書くこともしたいというか。」
「それって活動家?」
「はい。ちょっと惹かれています。」
「私の地元でもね、帝国大の人とかが活動家になって苦しく働いている人たちを守ろうとしてた。」

群馬には色々な工場などがあって、働く環境が悪いと聞く。

「私、人のために生きることができるって素晴らしいと思うわ。」
「いいんでしょうか?」
「でも、色々きちんとしてからの方がいいかもしれない。」
「きちんと?」
「うん。貧しいものとか、弱いものは消されることもあるみたい。」
「消される?」
「今、特高とか結構厳しいみたいなのよ。」
「じゃあ、どうすれば。」
「力のある政治家とかそういう人と知り合えるように地位を確保しなきゃだわね。」
「私にそんなことできるでしょうか。」
「したいから話してるんでしょ。ふふ。」

キヨは空気を変えてくれた。
活動家。難しいことかもしれない。しかし、コラムなどを読むとどうしても惹かれてしまう。
ちゃんと職業婦人になれたら、目指したい夢であった。
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