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第九章 成長に合わせて
3、夢見る未来
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望月家の夕食の後、櫻はあぐりに書斎に呼ばれた。
トントン。
「どうぞ、お入りになって。」
アグリにソファを促され、腰をかけた。
「もう、明日に辻さんから聞くと思うんだけどきちんと自分の口からあなたに話したくてね。」
「はい。」
「辻さんが、私と主人の養女としてあなたを迎えるのはどうかってご相談があったの。」
「今日、先生から私も聞きました。」
ふっとアグリが笑った。
「もう、辻さんたらせっかちなのね。櫻さんにはなしたその足でうちにきたのね。」
「え?先生今日こちらにきたんですか?」
「うん。浮き足立ってたのね。」
「私にはもったいない話だと言いました。」
「私も、もう少し歳をとっていたらあなたを養女に迎えたいところよ。でも10歳しか変わらないでしょ。あなたをうまくお嫁に出せないかもしれないってね。」
「アグリ先生の言うとおりです。私は私の力で。」
「そう言うことじゃないの。とりあえず、望月じゃなくて他の家でもあなたを欲してる家はあるかもしれないって話になったわ。」
「私の汚れた経歴を受け入れてくれる家はあるんでしょうか?」
「あなたの経歴は決して汚れてない。小さい頃から精進して、今だって働いて勉強もして。私も人とは違った人生を歩んだけど、あなたはあなたの人生を歩めばいいわ。胸を張ってね。」
アグリ先生はこう言ってくれているが、自分は十分卑しい出であると思っている櫻だった。
「あなたはあなたらしく生きていれば、周りがついてくる。それがこの数ヶ月でわかったでしょ?」
「でも、辻先生やアグリ先生のおかげで。」
「それを掴んだのもあなた。私はあなたには感謝しかないの。あなたがいいところの養女になれるんなら私も注力するわ。」
「そんな、今は赤ちゃんを大切になさってください。」
「赤ちゃんもあなたも大事。もちろん、淳之介もね。私はもし前世があったとしたら、あなたと家族だったような気がするわ。」
「ありがとうございます。私も先生がどうしても他人に思えなくて。」
「神様のおかげでこうやって同じ屋根の下で暮らせて暮らせてくるのかもしれないわね。」
「私、望月家で生活できて幸せです。」
「あなたが、幸せに辻家に嫁げるように、私も動いてみるわ。」
「そんな、先生。。。」
こうやって、周りの人が優しいのが櫻は嬉しかった。
わあんわあんと泣いてしまった。
「あらあら、まだあなたは少女だったわね。」
そういうと、アグリはふんわりと櫻を抱きしめた。まるで姉妹のように。
トントン。
「どうぞ、お入りになって。」
アグリにソファを促され、腰をかけた。
「もう、明日に辻さんから聞くと思うんだけどきちんと自分の口からあなたに話したくてね。」
「はい。」
「辻さんが、私と主人の養女としてあなたを迎えるのはどうかってご相談があったの。」
「今日、先生から私も聞きました。」
ふっとアグリが笑った。
「もう、辻さんたらせっかちなのね。櫻さんにはなしたその足でうちにきたのね。」
「え?先生今日こちらにきたんですか?」
「うん。浮き足立ってたのね。」
「私にはもったいない話だと言いました。」
「私も、もう少し歳をとっていたらあなたを養女に迎えたいところよ。でも10歳しか変わらないでしょ。あなたをうまくお嫁に出せないかもしれないってね。」
「アグリ先生の言うとおりです。私は私の力で。」
「そう言うことじゃないの。とりあえず、望月じゃなくて他の家でもあなたを欲してる家はあるかもしれないって話になったわ。」
「私の汚れた経歴を受け入れてくれる家はあるんでしょうか?」
「あなたの経歴は決して汚れてない。小さい頃から精進して、今だって働いて勉強もして。私も人とは違った人生を歩んだけど、あなたはあなたの人生を歩めばいいわ。胸を張ってね。」
アグリ先生はこう言ってくれているが、自分は十分卑しい出であると思っている櫻だった。
「あなたはあなたらしく生きていれば、周りがついてくる。それがこの数ヶ月でわかったでしょ?」
「でも、辻先生やアグリ先生のおかげで。」
「それを掴んだのもあなた。私はあなたには感謝しかないの。あなたがいいところの養女になれるんなら私も注力するわ。」
「そんな、今は赤ちゃんを大切になさってください。」
「赤ちゃんもあなたも大事。もちろん、淳之介もね。私はもし前世があったとしたら、あなたと家族だったような気がするわ。」
「ありがとうございます。私も先生がどうしても他人に思えなくて。」
「神様のおかげでこうやって同じ屋根の下で暮らせて暮らせてくるのかもしれないわね。」
「私、望月家で生活できて幸せです。」
「あなたが、幸せに辻家に嫁げるように、私も動いてみるわ。」
「そんな、先生。。。」
こうやって、周りの人が優しいのが櫻は嬉しかった。
わあんわあんと泣いてしまった。
「あらあら、まだあなたは少女だったわね。」
そういうと、アグリはふんわりと櫻を抱きしめた。まるで姉妹のように。
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