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第七章 新しい夢探し
3、モダンガール 富田編集長
しおりを挟むアグリが富田編集長に電話をしてくれたおかげで毎週木金の午後は新婦人社の手伝いに行くことになった。
心待ちにした日がやってきて、その日は辻はお昼もお弁当を渡してくれ、早めに編集部に行ったほうがいいと言ってくれた。
「先生、ありがとう」
「いや、いいんだよ。君が楽しく働けたら、それがいいんだ。」
「お弁当まで用意してくれるなんて。」
「一緒に食べようと思っていても、今しか経験できないことがあるからね。早速だから、来週の月曜は望月邸に遊びに行くよ。」
「はい、お待ちしてます!」
受け取ったお弁当を大事そうに抱え、足早に編集部へと櫻は急いだ。
時々、後ろを振り返ると、大きな手を振る辻に、手を振りかえして、幸せだなと思った。
ビルディングに着いた時、櫻は緊張していた。
「はあ、どうしよう。」
「あれ!櫻くんじゃないか!」
「あ、望月さん、今日はご出勤ですか?」
「僕だって出勤することあるよ。ハハ・・。」
「すみません。居どころ掴めずってアグリ先生よく仰ってるから。」
「まあ、そういうことだけど、偶然僕と出勤できるなんてラッキーだね!」
櫻は午後から出勤という自由な望月を不思議に思いながらも、この人のペースなんだと納得した。
「富田編集長、櫻さん一緒に来たよ!」
「あら、江藤さん、いらっしゃい。」
「富田編集長、今日からお世話になります。」
「あなたには最初は校正と言って書き間違いなどを確認してもらうことからしてもらうけど、じきに色々取材とか見てもらおうとも思ってるからね。」
「ありがとうございます。」
「タイピストの人たちがたくさん、奥にいるけど時間が時間だからみんなご飯外に食べに出てるの。」
「私お弁当持ってきました。」
「私もお弁当よ。一緒に食べましょ。」
お弁当を持って、二人は応接ソファに座った。
「こちらで食べていいんですか?」
「編集部のものよ。ダメな法律はないわ。」
「すみません、ではいただきます。」
「美味しそうなお弁当ね?」
「あ、、ちょっといただいたもので。」
「深くは聞かないわ。大体推測できるけど。ふふ。」
「編集長のお弁当、おかずがいっぱいで美味しそうですね。」
「今ね、料理見習いさんが住んでいる下宿のお隣に住んでて、お金出してお願いしてるの。」
「一人暮らしされてるんですか?」
「そう。私、いろんな人と住んだけど一人が1番楽なのよね。」
「モダンガールの走りで憧れます。」
「モボなんて言ってくれるのね。ありがとう。」
富田編集長は髪型も洋髪だし、洋装店で仕立てた綺麗なワンピースも素敵だった。
二人で食べるランチはドキドキから、リラックスになって、櫻は富田をますます好きになった。
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