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第六章 愛を確かめ合う関係

17、ユキとの再会

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望月は公園であくびをしていた。
昼下がり、弁当屋で弁当を買い、川辺で食べていた。

来年の今頃は赤ん坊を抱いているのか、と思うとなんだか変な気持ちになる。
赤ん坊は自分にとってどんな存在になるのだろうか。
変な気持ちと言っても嫌な気持ちではない。
初めての気持ちということだ。

どうにかこの思いを作品に落とし込めないか考えていた。

「あら、望月さんじゃない?」
ふと声をかけられた。
高級な和装の美人はかつて恋人だったユキだ。
「ユキ、こんなところで何してるの?」
「それはこっちのセリフよ。どうして汐留なんかにいるの?」
「ああ、今編集者やっててね。新橋にビルディングがるんだ。」
「筆を折ってしまったの?」
「いや、まだ書いてる。編集者としても、文士としても書いてるよ。」
「よかった。書いてない、望月ヨウスケなんてキの抜けた風船みたいなもんだものね。」
「それはそうと、ユキはそんなめかして何してるんだい。」
「私結婚したのよ。言わなかったっけ?て言っても2号さんなんだけどね。」
「2号さんが結婚なのかい?」
「子供が生まれてね、養子縁組という制度でその家に入ったのよ。」
「そんな裏技もあるんだね。」
「あなたの2号さんでもあったわね、私。」
「僕は君を2号さんなんて思ってなかったよ。」

「でも、あなたの中には常にあぐりさんがいた。」
「うーん、どうなのかな。」
「私、今充実してるの。お茶やお花、習ってね。優雅になっていく自分を磨いてるのよ。」
「お金持ちになると変わるね。」
「あなたは全然変わらなわね。次のお稽古があるから失礼するわね。」
そういうと、ユキはスタスタとそこから去っていった。

5年間くらい、彼女とは恋人だった。あるパーティーで出会った。
強すぎない物腰が好きだった。でも、書き出すとこもりきりになるので、いつの間にか会わなくなっていて、手紙を送ったら宛先不明になっていた。
自分を通り過ぎた女性には拘らない。
しかし、今、アグリお腹に子供を宿している。今はちょっと控えておこうと思った。
でも、自由で恋愛をまたしたいな、と彼女に会ってまた望月は思うのだった。
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