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第五章 新たなる世界へ
3、櫻を感じる温泉街
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バスは40分ほどして伊香保に着いた。
有名な石段などぐるりと回ってみると、これはよくできた温泉街だと思った。
辻はそんな時も、櫻がここにいたらどういう反応をしたのだろうと思わざる得なかった。
「ねえ、辻くん、さっきから上の空だね。」
「いいや、上の空じゃなくて、櫻くんのことを考えていたんだよ。」
「恥ずかしくないの?本人がここにいないのにそんな事言って?」
「愛情表現はどこでしても、構わないじゃないか。本人に聞かれてようと、聞かれてまいと同じさ。」
ふうん、と心無い返事をした望月は早速射的をしたりして遊んでいる。
「わー!キャラメル落ちたよ!」
「いいねえ、温泉に来た雰囲気が出てきたね。」
二人は望月が手に入れたキャラメルを口に含ませながら、今日泊まる宿を探すことにした。
「宿泊紹介所に行こうか?」
「そうだね。僕たちみたいな不審者、人を通して予約しないと泊まれなそうだしね。」
不審者、そうだなと辻も思った。男二人の気儘な旅。
目的もなく旅行してると聞いたら、自殺に来た男色とも思われる。
「あ、辻さん、あそこに紹介所あったよ。」
早速向かう。
「失礼します。今日泊まれる宿を探しておりまして。」
「あーはいはい。何名様で?」
「二人です。男二人で。」
「一部屋でよろしでございますか?」
「はい。あ、でも布団は二つですよ。ハハハハ。」
「あー、お客さんびっくりしましたよ。男色の方だったらどうしようかと思ったところでした。」
「僕が教師をしておりまして、夏休みしか旅行に行けないから、急に思い立って伊香保に来たのですよ。」
「へえ、先生をされとるんですか。ご立派ですな。じゃあ、そこそこいいところってな感じですか?」
「ああ、最高級じゃなくていい。身の丈にあった、雰囲気のいいところをよろしく頼みます。」
総辻が伝えると、紹介所の職員はしばらく宿に掛け合ってくるといいの残し、辻と望月二人になった。
「どんなところに泊まるのかね?」
「まあ、あの感じだとおすすめのところじゃないか。」
「湯治じゃない旅は久しぶりだなあ。料理も楽しみだ。」
「僕は望月と旅行に来れたことが嬉しいけど、やっぱり櫻くんのことを考えてしまうね。」
「恋は人を変えるんだねえ。そこまで夢中になった辻くん、みたことないから新鮮だよ。」
辻もそう思った。しかし、ここに櫻がいなくても櫻を感じることができる。
自分の中の彼女が心の中で大きくなればなるほど、その自由な櫻が心の中で遊ぶのだ。
この不思議な感覚を楽しむことにした。
この思いを櫻に早く伝えたい、辻であった。
有名な石段などぐるりと回ってみると、これはよくできた温泉街だと思った。
辻はそんな時も、櫻がここにいたらどういう反応をしたのだろうと思わざる得なかった。
「ねえ、辻くん、さっきから上の空だね。」
「いいや、上の空じゃなくて、櫻くんのことを考えていたんだよ。」
「恥ずかしくないの?本人がここにいないのにそんな事言って?」
「愛情表現はどこでしても、構わないじゃないか。本人に聞かれてようと、聞かれてまいと同じさ。」
ふうん、と心無い返事をした望月は早速射的をしたりして遊んでいる。
「わー!キャラメル落ちたよ!」
「いいねえ、温泉に来た雰囲気が出てきたね。」
二人は望月が手に入れたキャラメルを口に含ませながら、今日泊まる宿を探すことにした。
「宿泊紹介所に行こうか?」
「そうだね。僕たちみたいな不審者、人を通して予約しないと泊まれなそうだしね。」
不審者、そうだなと辻も思った。男二人の気儘な旅。
目的もなく旅行してると聞いたら、自殺に来た男色とも思われる。
「あ、辻さん、あそこに紹介所あったよ。」
早速向かう。
「失礼します。今日泊まれる宿を探しておりまして。」
「あーはいはい。何名様で?」
「二人です。男二人で。」
「一部屋でよろしでございますか?」
「はい。あ、でも布団は二つですよ。ハハハハ。」
「あー、お客さんびっくりしましたよ。男色の方だったらどうしようかと思ったところでした。」
「僕が教師をしておりまして、夏休みしか旅行に行けないから、急に思い立って伊香保に来たのですよ。」
「へえ、先生をされとるんですか。ご立派ですな。じゃあ、そこそこいいところってな感じですか?」
「ああ、最高級じゃなくていい。身の丈にあった、雰囲気のいいところをよろしく頼みます。」
総辻が伝えると、紹介所の職員はしばらく宿に掛け合ってくるといいの残し、辻と望月二人になった。
「どんなところに泊まるのかね?」
「まあ、あの感じだとおすすめのところじゃないか。」
「湯治じゃない旅は久しぶりだなあ。料理も楽しみだ。」
「僕は望月と旅行に来れたことが嬉しいけど、やっぱり櫻くんのことを考えてしまうね。」
「恋は人を変えるんだねえ。そこまで夢中になった辻くん、みたことないから新鮮だよ。」
辻もそう思った。しかし、ここに櫻がいなくても櫻を感じることができる。
自分の中の彼女が心の中で大きくなればなるほど、その自由な櫻が心の中で遊ぶのだ。
この不思議な感覚を楽しむことにした。
この思いを櫻に早く伝えたい、辻であった。
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