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第四章 夢を見つけた
16、望月の父親の思い
しおりを挟む「え!なんで、駅前の車に磯部がいるんだい?」
目を丸くして、望月が聞いてきた。
「電車に乗る直前に君のお父様の会社に今から行くと電話をしたんだ。」
「本当に君は策士だね。」
「頭がいいと言ってくれ。」
喜んだ笑顔の番頭の磯部が望月に近寄ってきた。
「坊っちゃま!カシラが家でお待ち金ですよ。本当に久しぶりで。もう、磯部も喜ばしいです!」
「もう、磯部、、、。全部辻くんの策略だからね。」
「理由はなんでもいいのです。ご家族皆さんが東京に行かれてしまって、カシラも最近張り合いがなくなってしまっていて。坊ちゃんがお戻りになるって聞いたら、はっぴ出していてお楽しみにしてますよ。」
ほっぺたを膨らませて、望月は辻を睨む。辻はニヤニヤしてその姿を可愛いと思う。
「さあ、早速車で望月家に行こうじゃないか。磯部さんよろしく。」
「はい、さあ行きましょう。」
3人は車に乗り込んで、30分くらいすると望月の実家に着いた。
「タノモー!あ、こういう時は、お邪魔しますか。」
「もう、辻くん、冗談は実家ではやめてくれ。」
すると、家の奥から望月の父親が出てきた。
「やあ、辻くん、久しぶり。ヨウスケお前は正月も戻らずに。。」
「お父様、さあさあ、客間にお願いしますよ。僕も東京での望月くんの話などもお父様としたいので。」
辻が助け舟を出した。
その隙にさっと、望月は離れの方に行く。
「こら。ヨウスケどこへ行く。」
「まったあとでー」
客間へは望月の父と辻の二人が向かい合う形になった。
「すみません。今日は急な立ち寄りで。」
「いや、辻くんが連れてくれていなかったら、ヨウスケがこの家に来るなんてことはないからね。親不孝だよ。」
「いやいや望月くんはお父さんの事、気にしてますよ。お母さんも東京に来てしまってるので。」
「あいつも本当に、勝手なことして、商売に支障が出るのに。。いまは女中頭のミヨに代わってもらってるんだ。」
ふふふと辻が笑った。
「実はですね、東京に来ている望月くんのお母様、ミヨさんとお父さんがねんごろだって知ってたみたいですよ。」
「え!ゴホゴホ。それは本当か?」
「だから今年お正月にも帰りたがらなかったみたいですよ。そこで交渉です。ミヨさんにはちゃんと亭主がいて、お父様とは関係ないと僕が説得したら、、、」
「うん、ぜひそうしてほしい。どうすればいいんだ?」
「僕と望月、これから北へ向かって旅行するんですよ。ちょこっと用意してくれたら嬉しいなと。」
「それは厭わない。しかし、ちゃんと説得してくれるか?こう言ったらなんだが、あいつが出ていって心の中が寂しくてのう。」
「それをどうしてお母様に言わないんですか?」
「男がそれを言って知ったら男じゃなくなるだろう。」
「お父さまのそういう姿を本当はお母様見たいのかもしれません。将来の望月もそこにキーがあるかもしれませんね。」
奥の机から、封筒お出して望月の父は金を入れた。それを辻に渡す。
「ありがとうございます。」
「辻くん、君することはえげつないけど、前より丸くなったね。あ、印象だよ。」
「僕、愛を知ってしまったんですよ。一生縁がないと思ってたんですけどね。」
「ハハハハハハハハハ。辻くんから愛なんて言葉が聞けるとはおもわた買ったね、わしは。」
「望月くんからも言われました。お恥ずかしい限りです。」
それから1時間ばかし小話をして家を後にすることにした。望月は家中逃げ回っていたようだ。
「磯部さん、電報打ってもらえませんか?」
「え!なんか急ぎ起きたんですか?」
「いや、急ぎじゃないんですけどね。
このメモを、東京の望月の家にお願いします。
「望月方 エトウサクラ様
コチラ サミシサノナカニ アイジョウ ミツケタリ ティ」
「これを送るんですか?」
「はい、よろしくお願いします。」
辻は、櫻に会いたくてたまらない、その思いを詩に込めた。ありがとうという気持ちを込めて。
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