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第四章 夢を見つけた
4、先生、ダダって本当は何?
しおりを挟む車で新橋から浅草橋に移動する道中、3人は後部座席でぎゅうぎゅうに移動した。
「やっぱり、私助手席に行きましょうか?」
櫻が遠慮がちにいう。
「江藤さん、ご遠慮なく。辻も喜んでるし、僕も3人で話しながら移動したほうがいいしね。ね、辻くん?」
「ああ、望月に気遣いは無用だよ。櫻さん、会話を楽しみながら移動しよう。」
「恐縮です。でも、望月さん、こんなに自由人なのにサラリーになるなんて思っても見ませんでした。でも、スーツとか着られないんですね。」
「スーツ作るとアグリが怒っちゃうでしょ。洋装店の旦那がどこかのテイラーにスーツ作らせるなんてね。僕もスーツは持ってるんだけどね。やっぱりこの羽織袴が僕にはしっくり来るんだ。編集長もそれでいいっって言ってくれるしね。」
「編集長はアグリ先生のご学友だとか。」
「そう。群馬で新聞社に勤めていたんだけど、アグリと連絡をとっているうちに、東京に出てきたいって思ったんだってね。」
「でも、文士の望月さんが逆に編集者って驚きました。」
「こんな僕のこと文士と言ってくれるんだね。僕は、文士の行き止まりみたいなものを感じてね。女性の生き方を書いてきたんだけど、僕と関わる女性しか実際はかけない。だから、僕と関わらない女性と話してみたいと思っていたところに、声がかかったんだよ。」
ニコニコと望月は話す。
「辻は書く意欲っていうのは全然ないんだよ、すごくいい文章を書くんだよ。でもね、僕は書いて世間にダダを主張してきたいんだ。」
ふむふむと言った表情で辻は話を聞いている。
「先生、前からダダイズムのことたくさん話してくれましたね。私まだ本質をわかっていなくて。」
「櫻さん、それはそうですよ。あえて僕はきみにダダを語ってこなかったからで。ダダイズムは自由主義で何にもとらわれない、生き方、世間との関わり方、書き方などです。本人がダダといえば、もうそれはダダであって、ダダとは簡単で難しいものです。」
「先生や望月さんが思っているダダイズムの理解ができたかわかりませんが、丁寧な解説ありがとうございます。私、まだまだ色んな小説や主張を読まなければいけませんね。」
「経験が人を伸ばします。もちろん、物を読むことは1番いい。でも、あなたはそのままで学校の勉強と洋装店の修行に光る経験があるでしょう。それがあなたの文章に生きてくるってもんです。いつになく、僕は教師らしいことを言ってしまったかな。ハハハハ。」
辻はちょっと照れた風でそれを望月に突っ込まれていた。。
それを見て、櫻は辻のことを可愛いなと思ったので合った。
そんなおり、車は浅草橋に着いたのだった。
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