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第一章 先生との出会い

1、出逢い

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女学校の中は賑やかだ。どれ、新しい着物を仕立てたとか、髪飾りを百貨店でかってきたなど。
そんな会話を毎日聞きながら、女学校に転入するまでの現実との違いに、辟易した。
(からっぽな女学生ばかりだわ。この子たちがよを背負う世継ぎたちを産むなんて)

そう、ここは銀上女学校。選ばれし女学生しか通うことを許されない、社交界なのだ。

(私はもっと勉学に勤しみたいのに)

『江藤、今日は日直だろう、新しく来る先生を教員室まで迎えに行って欲しい』

ふいに担任教諭が、本に目を落としていた自分に話しかけてきた。

『は、はい。承知いたしました。』

今は6月。そういえば、先月辞めた教師の代わりに新しい教師が来るとは聞いていた。でも、その授業も前のものと同じで、差し障りない本を読むだけだろう。
期待も何もない。

教室の出口へ向かうと、学友の志磨が話しかけてきた。
『ねえ、江藤さん!素敵な紳士だったら先生に私のことよろしくお伝えしてね!』

『は、はい、承知いたしました。』

(ますます気が重い)

さて、その教師とやらを迎えに行きながら、櫻は自分の夢を胸いっぱいに想像していた。

勿論、嫁に行くことではない。
わたしには大きな夢がある。

そんなことを考えていたら、教員室までついていた。

『あの、新しい先生をお迎えに来た、3年葉組の江藤です。』

教員室に響き渡る声で顔を下げた。

『ありがとう。とても助かる。』

顔を上げると手には不思議な人形を持った袴姿の男性。

『はじめまして、教師の辻です。こちらは絡繰(からくり)の、、』

これが2人の出会い。

ここから、2人の物語が始まる。

フワッと風が通り抜けた。櫻の髪に紫陽花の花びらが髪飾りのように舞い降りた。

『あ、すみません。』
『不思議ですね。花びらが貴方を選んで飛んだとしか計算がつかない。』

(???????)

会話が変だ?普通、もっとまともなこと言うはずなのが教師の、、、。

これはまだ序章。辻と櫻の出会いだった。
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