望月何某の憂鬱(完結)

有住葉月

文字の大きさ
上 下
12 / 16
第二章 執筆

6、取材してやるぞ

しおりを挟む
僕の名前は望月何某。気になってる人も少なくなってきたのかな。
僕の名前を好きにしていいよ。うん、それくらい僕はやけになっているんだな。

辻がなんと、僕のワイフにドレスをプレゼントというなんとも男として廃る出来事が起きたんだよね。
ああ、君たちはずっと僕のそばで見ていてくれたからわかるかな。
僕とっても可哀想な感じになってるよね。

ということで、かわいそうな僕は早速、助手とみられる女性に取材することにしたんだ。
だって、ここで尻尾巻いて帰ったら本当に僕バカ扱いされるでしょ。

「ねえ、仕立てのことで相談したいんだけど。」
「はい、お客様、辻様のお連れ様ですね。」
「うん、大学の学友で。」
「帝都大の方ですか!すごいですね。どのようなお洋服をお探しで?」
「スーツは一着持ってるから、作るとしたらどんなのがおすすめ?」
「そうですね。サマースーツというものがありまして、白色のスーツなんておすすめです。」
「よくスイスイおすすめが出てくるね。素晴らしい。この業界は何年くらいなの?」
「私は6年目です。店頭に出られるようになってまだ2年で。勉強の毎日です。」
僕はすかさず聞いた。

「助手の修行ってどれくらいなの?」
「2年は先生の家に入って、家事からお子様のお世話などいろいろあります。その後はお店の隅々の修行なので、まだ私も修行中です。」
「二年間は通いじゃなくて先生の家に住むんだ?」
「そうです。だから、みんな若くて独身の子が。」

ああ、アグリ。残念だけど、君は既婚で子持ちだ。ここの修行は無理かもしれない。
でも、ここのドレスを毎月買ってやるほどの甲斐性は僕にはない。

そんなことを考えていて、店内を見ていたら、辻に話しかけられた。
「アグリくんは実にチャーミングだね。」
「え?群馬から出てきたばかりの田舎娘だよ。」
「17歳に見えない、しっかりとしてると思いきや、純だしね。」
「君、まさか親友の奥さんを手出ししようなんて思っているんじゃないのかね?」
「そんな無粋なことはしないよ。でも、奥さんを綺麗にしてあげるのもご主人の仕事だよ。」

わー。そんなことわかってるよ。でも僕大学生だよ。君みたいに財閥様でもないし。
急に群馬に帰ってこいって言われて、稼ぎもないのに、仕送り断たれて、どうするっていうんだい!
ああ。もう僕は文筆で売れっ子になるしかない!この取材を元に小説を書いてやる!

「辻、僕の作品を楽しみにしてなよ。」
「ああ、早く読みたいね。」

宣戦布告と来たものか!うけて立つぞ!
僕の闘志はメラメラと燃え上がっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

知らぬ仏より馴染みの鬼

EASTWALK
キャラ文芸
超常存在の異常な日常物語

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

処理中です...