【完結】幼馴染に婚約破棄されたので、別の人と結婚することにしました

鹿乃目めの

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婚約者は浮気者でした

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 ああ、まただわ——
 私は、めまいを覚えながら太い柱の影に隠れた。
 向こうから歩いてきたのはノランサス伯爵の長男アラン。
 そしてその隣にはモントワーレ子爵令嬢オルガ。
 二人は仲睦まじく、アランはオルガの腰に手を回し、オルガはアランの肩にしなだれかかっている。

 私は胸が苦しくなり、ドレスの胸飾りのレースをぎゅっと掴んだ。

 ——アランが、また違う女と一緒にいる

 私はセヴィニエ伯爵家の長女クララ。
 年は十八歳。
 今日は、王妃様主宰の夜会に参加するために王宮に来たのだけれど、嫌な場面に出くわしてしまった。

 アランは、私の幼馴染であり、婚約者だ。
 セヴィニエ家とノランサス家は古くから交流があり、幼い頃、互いの邸の庭で仲良く遊ぶ私たちを見た周囲の人たちは「小さな恋人さんたちね」、「将来はさぞ仲の良い夫婦になるだろう」なんて微笑ましそうに言い合っていた。

 両家は家格の釣り合いも取れていて、私たちの婚約は自然な流れだった。
 親同士が決めた婚約だったけれど、幼い私は仲良しのアランと将来をともにできることを素直に喜んだ。
 アランも、「これでクララは俺のものだな」なんて言っていたから、きっと喜んでくれていたんだと思う。

 私は、妻は夫を愛するものだと思っていたし、次第にすらりとした美男子に成長していくアランにちゃんと恋をした。
 アランの妻になれる日を夢見て、彼と釣り合うようになりたくて、美しくあろうと努力したし、亜麻色の髪の手入れも怠たらなかった。

 それなのに——

 いつからか、アランは他の女をとっかえひっかえするようになった。
 初めてアランの浮気に気がついたとき、私はアランを責めた。
 すると、彼は

「おまえの勘違いだ」

 と言った。

「たまたまエスコートを頼まれて、一緒にいただけだ。誓って何もしていない」
「そうだったのね」

 と私は素直に言った。
 疑って悪かったとさえ思った。

 けれど、それからたびたび同じように別の女といるところを見かけたり、噂に聞くようになって、やっぱり浮気をしているのだとわかった。
 私がいくら問い詰めても彼はとぼけるばかり。

 やがて私は悟った。
 彼が私のところにやってくるのは、浮気相手とうまくいかなくなった時だけだということに。
 そして、「俺にはクララだけだ」とうそぶくのだ。

 愚かな私は、今度こそ私だけを見てくれるだろうと期待してしまう。
 けれど舌の根も乾かないうちに、彼はまた別の女と浮名を流し始めるのだ。
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