ダレカノセカイ

MY

文字の大きさ
上 下
37 / 67

episode.36

しおりを挟む
 俺たちは否応がなく、ジープの車に乗り込んだ。
 ジープは外見とは裏腹に内装は全く違った。外見から見たら、俺たち8人が乗れる人数キャパを超えている。それなのにドアを開けてみれば、外から見た内装とは全く違う。俺たち8人を余裕で入る空間スペースがある。
 一体どれだけの人数を入れられるのか?後ろを覗き込んでも、目で見るには遠い奥まで座席と窓が続いている。
 もう訳の分からない状況には慣れたつもりだったが、まさかこんなものまであるとは想像外で、訳の分からない世界は何処まで行っても理解不能なんだなと今回学ばされたい。
 驚きを隠せない俺たちは運転席と助手席の真後ろに座り込む。
 1列目、空席・美男子。
 2列目、千葉・遠山・戸倉。
 3列目、仁・守山・天音。
 4列目、夏奈華・俺・グリム。と言った座席で座っている。
 美男子は俺たちが座席に座り、シートベルトを締めたのを確認すると「発進しますね」と伝え、ジープを運転し始める。
 運転席と助手席以外の窓は黒張りだ。
 運転席と助手席の窓も、かなり黒に近いがサイドミラーが見えないのが難点らしく、黒張りよりは外の景色は見やすいようだ。
 俺のいる位置は4列目の真ん中。その位置からは運転席と助手席の窓は、薄っすらとしか確認出来ない。
 外の様子を窺いたくても、一切見えない。俺は4列目の席から前方を見つめ、美男子が運転し向かおうとする先を確認する。
 手錠や身動きを拘束させる類のものを装着されなかったのが、幸運だった。
 俺は前屈みで、3列目のシートに両手を置き、前方を眺めていると500メートル先か?一直線の道路から突如、真下へ繋がる別の道路が現れる。真っ直ぐ進む為の道路は真上に上昇し、美男子は鼻歌を歌いながら何も問題なさそうに真下へ繋がる道路に突入した。
 真下へジープが降り、斜め急斜面を下降する。少しばかりジェットコースターの気分を味っていると平坦な道に出る。
 そこは、高さも横幅も異常に広い道路――トンネル――だ。信号機と言った交通規制は何もない。
 天井には薄明るいオレンジ系統の明かりが設置され、全体を照らしてる。左右の下部に機関銃マシンガンが一直線にズラーッと配置されてる。それが切れてる箇所は、今のところ視界には見えない。
 俺のいる左右の窓。ジープの黒張りの窓に赤いマーカーの点が光る。
 なんだ?好奇心に忠実に右窓に光る赤マーカーを確認する。
 天音が疑問形で言う。
「狙われてる?」
 狙われてる?
 天音が向いてる方向は、前。
 再び、俺は前を向く。
 前の窓から見れる天井を一点に眺め、明かりで気付けなかったものを見つけてしまう。
 天井の左右の上部に下部同様で、一直線にズラーッとアサルトライフルが180°自動で動きながら動いているものがないか?赤外線のレーダーを通して、確認の動作していた。
「やばいな」
 俺は声を上げ、俺と同じく気付いた全員が声を上げた。
 ただ真っ直ぐ一直線に伸びた道路。
 そんな道を美男子は鼻歌を歌いつつ、ギアを最大にフルスロットルさせて、最大速度でジープを走らせる。
 景色が一瞬で変わる。
 ジープが速すぎて、少し酔いそうになる。だけど、不死身の特性ですぐに緩和される。
 [スキル:酔い耐性 習得]
 速度が最大に上がって、曲がり角でもあったら一大事だぞ。そう思い、ヒヤヒヤさせられるが曲がり角は1つもない。今現時点で、一直線のままだ。
 ここは……普通じゃない。特別な地下トンネル?道路なのか?
 俺は真下に降りた際に地下道路?と頭を過ぎったが、知ってる地下道路とは100%違う。こんな一直線しかない地下道路なんて、俺は知らない!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

永遠の誓い

rui
恋愛
ジル姫は22歳の誕生日に原因不明の高熱に倒れるが、魔女の薬により一命をとりとめる。 しかしそれは『不老不死』になるという、呪われた薬だった。 呪いを解く方法は、たったひとつだけ……。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

従者が記す世界大戦記

わきげストレート
ファンタジー
世界中で戦争・紛争が巻き起こる時代、大国の聖女を連れ出して逃げた騎士がいた。聖女は戦争の原因となっていた『不老不死の秘法』を握ったまま、自国の騎士に連れ去られたのだ。聖女の行方は誰も知ることはなく、奇しくもそこから各地で戦争が沈静化していくのであった。 時は流れ、各国は水面下にて聖女と共に失われし『不老不死の秘法』を探し求めていた。今まさに再び世界は大戦争へと動き出そうとしていた。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...