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episode.64
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「武軍人達は拠点を襲撃され、仲間の命を奪われた。新道様はギリギリのラインで、武軍人の命までは奪わなかった。しかし新道様とは違う選択を選んだ異界人が現れたのも事実。今後武軍人達は躍起になって、新道様をはじめとした異界人を捕らえに力を注いでくるでしょう」
「捕らえに来るなら、襲ってくる敵を全員無力化するまでだ」
「そうや、兄貴とわいがおったら無敵やでー。どんな奴か来はっても、負けることはあらへん」
「それに武軍人を滑る武帝は何を考えているのか?異界人を利用し、再び第2次世界大戦を行おうとしている。世界大戦であれだけ大勝利を喫したというのに……武帝は次は世界を統一する気か。滅ぼす気か。武帝の考えは分かりかねないが、第2次世界大戦が勃発すれば、今度こそジャバ武帝国の人々は誰1人として帰らぬ人に……ゴホッゴホッゴホッゴホッ!」
「親方様!落ち着いてください!お静まりになってください!怒りに我を忘れれば、お身体に触ります!」
斜め後ろに座っていた従者が、シロクマの背中を摩る。
シロクマの口に当てた白い手に黒い液体が大量に付着し、口の周りにも同じ液体が付着している。
「新道様、申し訳ないですが……親方様はジャバ武帝国平安成就を願うあまりにご自身に《禁》を課しているのです。《禁》は身体への負担が大きく、願いが成就するまで身体を《禁》によって蝕まれるのです。どうか、お引き取りをお願いします」
「……分かった。世界がどうなろうと違う世界の俺には関係ない話なんだが、俺に出来る範囲なら平安成就の手伝いはする。だからシロクマも無理したらダメだぞ」
「そうやで!兄貴の言う通りや!あんはんが倒れたら、敵対する武軍人を止められる抑止力がなくなるやろ!無理したら、あかんで」
「すまない。それでも……ゴホッゴホッ!……ジャバ武帝国平安成就が成されるまでは《禁》を解くわけにはならない。この身が滅びようと……ゴホッゴホッ!……新道千様、どうかそれまではお力をお貸しください」
「そこまで言われたら、やる以外に選択肢はないだろ。シロクマのあんたに代わって、俺に任せろ」
「そうやそれや!兄貴とわいに任せれば、すぐに平安の時代にしてやるわ。やから、あんはんはそれまで寝ときー」
「武軍人の中には……驚異的な特有の力を持ち合わせている者もいる。ゴホッゴホッゴホッゴホッ!……命までは奪わない新道様にも、限界が来る可能性がある。全員無力化して生かすという……ゴホッゴホッ!……甘い考えは持たれるな」
「分かっ――」
その瞬間、《敵感知》が反応する。
「敵や!兄貴!」
「なんですと⁉︎ここは親方様に信頼された者以外は知らぬ場所。敵に見つかるなど、ありえぬ。敵がこの場に足を踏み込むこと自体、そんなあるわけがない⁉︎」
「敵感知に反応してる。敵がいるのは間違いないからな」
「……なんと……いうことだ……」
「グリム、シロクマと従者の守りを頼む」
「了解や!任せときー。やから、兄貴は敵をボッコボッコに倒して来てくれやー」
「ああ、任せろ!」
俺は家の外に繋がる窓から飛び出す。
家の外に出るなり、敵が待ち構えていた。
「探しましたよ」
1人は、全身鎧。
[対象:スバル・ヤマモト
LV212
所属:ジャバ武帝国(仮)
推定脅威度:B]
1人は、生身の体。
[対象:アヤト・ヤマダ
LV224
所属:ジャバ武帝国(仮)
推定脅威度:B]
全身鎧の方は、武軍人の共有スキル《剣装》で間違いないな。
もう1人は、武軍人だと思うが生身で現れるのは今回が初めてだ。
油断ならない敵なのは変わらないか。
「家の中にいる人を守る為に現れましたか」
「なかなか、骨のある異界人と聞かされていたが、関係のない世界の人間を守る善人とはな」
アヤトは鞘から剣を抜く。
「戦う気満々だな。少しいいか?」
「なんですか?」
「ここでは戦えない。場所を変えよう」
「……いいでしょう」
「捕らえに来るなら、襲ってくる敵を全員無力化するまでだ」
「そうや、兄貴とわいがおったら無敵やでー。どんな奴か来はっても、負けることはあらへん」
「それに武軍人を滑る武帝は何を考えているのか?異界人を利用し、再び第2次世界大戦を行おうとしている。世界大戦であれだけ大勝利を喫したというのに……武帝は次は世界を統一する気か。滅ぼす気か。武帝の考えは分かりかねないが、第2次世界大戦が勃発すれば、今度こそジャバ武帝国の人々は誰1人として帰らぬ人に……ゴホッゴホッゴホッゴホッ!」
「親方様!落ち着いてください!お静まりになってください!怒りに我を忘れれば、お身体に触ります!」
斜め後ろに座っていた従者が、シロクマの背中を摩る。
シロクマの口に当てた白い手に黒い液体が大量に付着し、口の周りにも同じ液体が付着している。
「新道様、申し訳ないですが……親方様はジャバ武帝国平安成就を願うあまりにご自身に《禁》を課しているのです。《禁》は身体への負担が大きく、願いが成就するまで身体を《禁》によって蝕まれるのです。どうか、お引き取りをお願いします」
「……分かった。世界がどうなろうと違う世界の俺には関係ない話なんだが、俺に出来る範囲なら平安成就の手伝いはする。だからシロクマも無理したらダメだぞ」
「そうやで!兄貴の言う通りや!あんはんが倒れたら、敵対する武軍人を止められる抑止力がなくなるやろ!無理したら、あかんで」
「すまない。それでも……ゴホッゴホッ!……ジャバ武帝国平安成就が成されるまでは《禁》を解くわけにはならない。この身が滅びようと……ゴホッゴホッ!……新道千様、どうかそれまではお力をお貸しください」
「そこまで言われたら、やる以外に選択肢はないだろ。シロクマのあんたに代わって、俺に任せろ」
「そうやそれや!兄貴とわいに任せれば、すぐに平安の時代にしてやるわ。やから、あんはんはそれまで寝ときー」
「武軍人の中には……驚異的な特有の力を持ち合わせている者もいる。ゴホッゴホッゴホッゴホッ!……命までは奪わない新道様にも、限界が来る可能性がある。全員無力化して生かすという……ゴホッゴホッ!……甘い考えは持たれるな」
「分かっ――」
その瞬間、《敵感知》が反応する。
「敵や!兄貴!」
「なんですと⁉︎ここは親方様に信頼された者以外は知らぬ場所。敵に見つかるなど、ありえぬ。敵がこの場に足を踏み込むこと自体、そんなあるわけがない⁉︎」
「敵感知に反応してる。敵がいるのは間違いないからな」
「……なんと……いうことだ……」
「グリム、シロクマと従者の守りを頼む」
「了解や!任せときー。やから、兄貴は敵をボッコボッコに倒して来てくれやー」
「ああ、任せろ!」
俺は家の外に繋がる窓から飛び出す。
家の外に出るなり、敵が待ち構えていた。
「探しましたよ」
1人は、全身鎧。
[対象:スバル・ヤマモト
LV212
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推定脅威度:B]
1人は、生身の体。
[対象:アヤト・ヤマダ
LV224
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推定脅威度:B]
全身鎧の方は、武軍人の共有スキル《剣装》で間違いないな。
もう1人は、武軍人だと思うが生身で現れるのは今回が初めてだ。
油断ならない敵なのは変わらないか。
「家の中にいる人を守る為に現れましたか」
「なかなか、骨のある異界人と聞かされていたが、関係のない世界の人間を守る善人とはな」
アヤトは鞘から剣を抜く。
「戦う気満々だな。少しいいか?」
「なんですか?」
「ここでは戦えない。場所を変えよう」
「……いいでしょう」
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