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episode.61
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四隅に灯が灯った部屋。
「お呼びでしょうか?」
「うむ」
「何用でしょうか?」
「すまぬが……この男を迎えに行って欲しい」
顔全体を隠すように覆った仮面の何者かは写真を右手に持ち、写真を呼び出した従者の女性へ向ける。
その写真には、1人の男が写っている。
白髪の男。
桃色の眼帯。
漆黒の服装。
写真を見ただけで、この写真の男が只ならぬ人物なのが窺える。
「名を新道千という」
♦︎
ここは新道千が暮らす世界ではない。
全く別の世界。
名をヤマト。
ヤマトでは、世界大戦に大勝利を収めた国があった。
その国の名は、ジャバ武帝国。
その国に新道千はいる。
彼が今、ジャバ武帝国の何処にいるかは分からない。
ただ分かっていることは、ジャバ武帝国に彼がいるということのみ。
彼と会えるだろうか?
♦︎
団子屋。
俺は今団子屋にいる。
「どうぞ」
可愛い看板娘が、俺にお茶を差し出す。
「ありがとう」
看板娘は笑顔で笑う。
「どういたしまして。どうぞ、ごゆっくりしていってください」
看板娘は団子屋の中へと戻って行く。
「兄貴、ここは他にお客はおらんようやな」
グリムが俺の左肩に座り、喋る。
「お客さんはいなくても、敵はいるようだけどな」
俺はスキル《敵感知》で、団子屋を中心として周囲に敵がいないかを確認したところ、敵は一体いる。
「しゃーないな。敵は兄貴に勝てへんと分かってんのに……毎回毎回よく来るわ。ホンマに根性だけはあるでー」
「そういうなって、相手さんは俺を本気で潰しに来てるし、どう見積もっても本気度は高いだろ?」
団子屋の少し離れた先、森から数羽の鳥がバサバサと飛び立つ。
「動いたようやな?兄貴、どないする?」
「どうするも、向こうが来るなら倒すだけだ」
俺はお茶碗に入ったお茶をグイッと飲み干し、椅子から立ち上がる。
「兄貴、上や!」
「分かってる」
俺は真上を見上げる。
空から竜巻が生じる。
本来なら大地から竜巻って、生じるものなんだよな?
「本当にジャバ武帝国様々だな」
自然に発生したものではない。
そう一目見ただけで、分かる竜巻の中心から敵の姿が現れる。
ゴオオオオ‼︎
[対象:武軍人NO.085
LV180
所属:ジャバ武帝国
推定脅威度:C]
「ホンマそれな!あんな流星群みたいな登場とか、ホンマ敵は何考えてるやろな?登場シーンが派手やったら、勝ちじゃあらへんのにな」
高速で竜巻の中心から飛び出し、姿を現した敵は1秒立たずに俺の目の前に轟音と共に着地する。
団子屋はもちろん、辺り一帯の森が吹き飛ぶ。それだけの規模を伴った爆撃といえばいいのか、敵の登場はグリムの言う通り、派手の一言で締めくくられる。
俺は敵の登場シーンの間に団子屋にいた看板娘や亭主、料理人の3人を遠く離れた箇所に移動させる。
落下地点に煙と共に立ち上がった敵は俺とグリムを見つめ、他にいたはずの人間がこの場にいないのを確認し、若干想定外の雰囲気を醸し出す。
「お出ましだな」
「兄貴、来るでー」
ブオォーーン!
煙を刀一つで振り払い、敵は己の姿を晒す。
敵は全身を鎧で包み、頭は兜を被って顔は見えない。腰には鞘がぶら下がってる。
「新道千、確認」
敵は今まで相手にした敵と同じだ。
「新道千、投降を命じる」
「命じられて、はいそうですかと頷く奴は馬鹿以外にいないな」
「お呼びでしょうか?」
「うむ」
「何用でしょうか?」
「すまぬが……この男を迎えに行って欲しい」
顔全体を隠すように覆った仮面の何者かは写真を右手に持ち、写真を呼び出した従者の女性へ向ける。
その写真には、1人の男が写っている。
白髪の男。
桃色の眼帯。
漆黒の服装。
写真を見ただけで、この写真の男が只ならぬ人物なのが窺える。
「名を新道千という」
♦︎
ここは新道千が暮らす世界ではない。
全く別の世界。
名をヤマト。
ヤマトでは、世界大戦に大勝利を収めた国があった。
その国の名は、ジャバ武帝国。
その国に新道千はいる。
彼が今、ジャバ武帝国の何処にいるかは分からない。
ただ分かっていることは、ジャバ武帝国に彼がいるということのみ。
彼と会えるだろうか?
♦︎
団子屋。
俺は今団子屋にいる。
「どうぞ」
可愛い看板娘が、俺にお茶を差し出す。
「ありがとう」
看板娘は笑顔で笑う。
「どういたしまして。どうぞ、ごゆっくりしていってください」
看板娘は団子屋の中へと戻って行く。
「兄貴、ここは他にお客はおらんようやな」
グリムが俺の左肩に座り、喋る。
「お客さんはいなくても、敵はいるようだけどな」
俺はスキル《敵感知》で、団子屋を中心として周囲に敵がいないかを確認したところ、敵は一体いる。
「しゃーないな。敵は兄貴に勝てへんと分かってんのに……毎回毎回よく来るわ。ホンマに根性だけはあるでー」
「そういうなって、相手さんは俺を本気で潰しに来てるし、どう見積もっても本気度は高いだろ?」
団子屋の少し離れた先、森から数羽の鳥がバサバサと飛び立つ。
「動いたようやな?兄貴、どないする?」
「どうするも、向こうが来るなら倒すだけだ」
俺はお茶碗に入ったお茶をグイッと飲み干し、椅子から立ち上がる。
「兄貴、上や!」
「分かってる」
俺は真上を見上げる。
空から竜巻が生じる。
本来なら大地から竜巻って、生じるものなんだよな?
「本当にジャバ武帝国様々だな」
自然に発生したものではない。
そう一目見ただけで、分かる竜巻の中心から敵の姿が現れる。
ゴオオオオ‼︎
[対象:武軍人NO.085
LV180
所属:ジャバ武帝国
推定脅威度:C]
「ホンマそれな!あんな流星群みたいな登場とか、ホンマ敵は何考えてるやろな?登場シーンが派手やったら、勝ちじゃあらへんのにな」
高速で竜巻の中心から飛び出し、姿を現した敵は1秒立たずに俺の目の前に轟音と共に着地する。
団子屋はもちろん、辺り一帯の森が吹き飛ぶ。それだけの規模を伴った爆撃といえばいいのか、敵の登場はグリムの言う通り、派手の一言で締めくくられる。
俺は敵の登場シーンの間に団子屋にいた看板娘や亭主、料理人の3人を遠く離れた箇所に移動させる。
落下地点に煙と共に立ち上がった敵は俺とグリムを見つめ、他にいたはずの人間がこの場にいないのを確認し、若干想定外の雰囲気を醸し出す。
「お出ましだな」
「兄貴、来るでー」
ブオォーーン!
煙を刀一つで振り払い、敵は己の姿を晒す。
敵は全身を鎧で包み、頭は兜を被って顔は見えない。腰には鞘がぶら下がってる。
「新道千、確認」
敵は今まで相手にした敵と同じだ。
「新道千、投降を命じる」
「命じられて、はいそうですかと頷く奴は馬鹿以外にいないな」
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