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episode.59
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赤い雨が俺の体や顔をバチバチと打ち、視界を完全に奪ってくる。
だが、俺は視界を奪われようと速度を落としたり、減速したりはしない。
ただ一点突破で、雲を突き破る。
ズバッと雲を突き破り、雨が一滴も降ってない満天の星空に辿り着く。
そこで、俺とグリム以外の存在を確認する。
[対象:キング・ディケイウォーカー
LV50
推定脅威度:H]
ディケイウォーカーの上位版と言うべき存在なのは、間違いないな。
ディケイウォーカーよりも全体を酷く腐敗させ、年季が入って金が剥げきったボロボロの王冠を被ったキング・ディケイウォーカー。
俺のように翼を生やして飛んでいるのかと思えば、翼は背中に生えていない。それどころか、背中には何も生えてもいなければ、何も搭載していない。
腐敗しきった二本の足で、何もない空中で立っている。それだけだ。
何かしらのスキルを使ってるのか?
「兄貴、周りには扉のようなもんは一個も見当たらへんでー」
「まじかよ」
上空にあると思ってたけど、扉がないとなると見当違いだったか。
「もしかしたらやけど、あれを倒せば、出口が出てくる感じやろか?」
グリムの言葉を聞き、その可能性はなきにしもあらずと思えた。
「グリム、それだ!それが答えかもな」
俺は上空の何処にもない扉が、キング・ディケイウォーカーを倒す事で出現する可能性がある。
その可能性に賭け、俺はキング・ディケイウォーカーへと一直線に加速する。
加速からの更に加速。
ディケイウォーカーと何度となく戦い、ディケイウォーカーの特性は知り尽くした。
ディケイウォーカーは触れたものを全て腐敗させ、触れた箇所からジワジワと全身に広がって腐らせる。
普通の人だったら、まず手袋や靴などで撃退しない限りは倒せない厄介な相手と言える。
だが、俺の両腕に装着している復讐者の籠手はディケイウォーカーの腐敗化を全く受けない。
練成度や俺のレベルも関係するのかもしれないが、それが功を奏し、全てのディケイウォーカーを難なく一撃で屠れた。
万が一、腐敗化を受けたとして、俺は不死身の特性がある。
腐敗化は俺には効かない。
その点、復讐者の籠手は替えはない。
それ故に復讐者の籠手を壊されるくらいなら、素手で戦う覚悟で拳を交えるだけだ。
キング・ディケイウォーカーの特性が通常のディケイウォーカーと同じ特性か分からない以上、俺は間合いに入るのと同時に指輪に復讐者の籠手を仕舞い、右拳を振り上げた。
「この一撃で終わりだ!」
ズバァン!
キング・ディケイウォーカーは全身の腐敗を加速させ、俺の右拳が触れた瞬間に骨ごと腐らせようとした。
しかし俺の右拳の加速はキング・ディケイウォーカーの予測を超えていた為、皮膚がちょっぴり腐っただけで終わった。
[対象:キング・ディケイウォーカー 消滅]
俺の右拳で全身を破裂させたキング・ディケイウォーカーはクリスタルカードを残し、消滅する。
「意外に単純な冒険だったな」
俺は最後のボス的な立ち位置だったと思えるキング・ディケイウォーカーの消滅を確認し、そう口にした――その時、
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎
だが、俺は視界を奪われようと速度を落としたり、減速したりはしない。
ただ一点突破で、雲を突き破る。
ズバッと雲を突き破り、雨が一滴も降ってない満天の星空に辿り着く。
そこで、俺とグリム以外の存在を確認する。
[対象:キング・ディケイウォーカー
LV50
推定脅威度:H]
ディケイウォーカーの上位版と言うべき存在なのは、間違いないな。
ディケイウォーカーよりも全体を酷く腐敗させ、年季が入って金が剥げきったボロボロの王冠を被ったキング・ディケイウォーカー。
俺のように翼を生やして飛んでいるのかと思えば、翼は背中に生えていない。それどころか、背中には何も生えてもいなければ、何も搭載していない。
腐敗しきった二本の足で、何もない空中で立っている。それだけだ。
何かしらのスキルを使ってるのか?
「兄貴、周りには扉のようなもんは一個も見当たらへんでー」
「まじかよ」
上空にあると思ってたけど、扉がないとなると見当違いだったか。
「もしかしたらやけど、あれを倒せば、出口が出てくる感じやろか?」
グリムの言葉を聞き、その可能性はなきにしもあらずと思えた。
「グリム、それだ!それが答えかもな」
俺は上空の何処にもない扉が、キング・ディケイウォーカーを倒す事で出現する可能性がある。
その可能性に賭け、俺はキング・ディケイウォーカーへと一直線に加速する。
加速からの更に加速。
ディケイウォーカーと何度となく戦い、ディケイウォーカーの特性は知り尽くした。
ディケイウォーカーは触れたものを全て腐敗させ、触れた箇所からジワジワと全身に広がって腐らせる。
普通の人だったら、まず手袋や靴などで撃退しない限りは倒せない厄介な相手と言える。
だが、俺の両腕に装着している復讐者の籠手はディケイウォーカーの腐敗化を全く受けない。
練成度や俺のレベルも関係するのかもしれないが、それが功を奏し、全てのディケイウォーカーを難なく一撃で屠れた。
万が一、腐敗化を受けたとして、俺は不死身の特性がある。
腐敗化は俺には効かない。
その点、復讐者の籠手は替えはない。
それ故に復讐者の籠手を壊されるくらいなら、素手で戦う覚悟で拳を交えるだけだ。
キング・ディケイウォーカーの特性が通常のディケイウォーカーと同じ特性か分からない以上、俺は間合いに入るのと同時に指輪に復讐者の籠手を仕舞い、右拳を振り上げた。
「この一撃で終わりだ!」
ズバァン!
キング・ディケイウォーカーは全身の腐敗を加速させ、俺の右拳が触れた瞬間に骨ごと腐らせようとした。
しかし俺の右拳の加速はキング・ディケイウォーカーの予測を超えていた為、皮膚がちょっぴり腐っただけで終わった。
[対象:キング・ディケイウォーカー 消滅]
俺の右拳で全身を破裂させたキング・ディケイウォーカーはクリスタルカードを残し、消滅する。
「意外に単純な冒険だったな」
俺は最後のボス的な立ち位置だったと思えるキング・ディケイウォーカーの消滅を確認し、そう口にした――その時、
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎
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