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episode.56
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俺の名は、新道千。
工藤瑞樹の家で夕食を呼ばれ、グリムは俺の新しいペット的なポジションで、瑞樹の両親に紹介して何気ない会話から自然な会話の流れから『家出は大変だっただろう。よく頑張ったな。この時期の男の子なら、そおいう事はよくあることだよ』を繰り広げる。
俺は心の中で、『家出じゃないんだけどなー。説明すると後々ややこしいことに発展しそうだからなー。とりあえず、家出の方向で話を合わせておくか』と確固たる何かしらの決意を秘めて家出した俺という設定を演じながら、瑞樹や瑞樹の両親と楽しく脇和気藹々とした瑞樹宅での夕食を召し上がった。
その後、居心地のいい瑞樹宅で、瑞樹から「明日は朝一で学校に行くから寝坊すんじゃねーぞ」と軽く明日の打ち合わせをさせられ、ペットとして食事をたんまり食したグリムと共に家に帰宅した。
その時点で、違和感に気づく。
誰もいない家に何かの気配を感じた。
俺とグリムは気配のするリビングへと物音一つ立てずにダッシュで、リビングの扉をガタッと開ける。
扉を開けた瞬間、テーブルに置いておいたはずの黒フォンが画面を光らせた状態で、俺に向かって飛んでくる。
俺はすぐに飛んできた黒フォンを左手で掴み取り、テーブルの方へと視線を向ける。だが、もうそこには誰の姿もない。さっきまであったはずの気配すらも、ない――そう思ったその時、
画面を光らせた黒フォンが、眩い光を放ったのだ。
あの時点から、30~40分の時間が経過した。その間に謎の劇場型にいたり、謎のクマが大画面に映ったりと常識破りの連続だった。
まぁ、拉致られた経験がある俺にしたら、黒フォンの画面から光が消え去った後、別の場所に立っていました的な展開なんて、もう迷宮界を通して慣れに慣れたようなもの。そんなことで、心が揺らいで動じることはないんだけどな。
動じなかった俺とグリムは謎の劇場型にいた時点で、黒フォンの画面が光った原因だけは解明している。
俺の持つ黒フォン宛に『映画館への招待券』というメッセージが、連絡先不明で転送して送られてきていたのだ。
転送されて送られてる事から、誰もいないはずの俺の家に気配を狙ってか?無意識なのか?感じさせた何者かが、この一件に噛んでる事は確かだ。
俺が何に巻き込まれたのか?原因解明するためにも、先を急ぐ。
今現在、俺は暗闇の中を疾走する。
辺り一帯から土砂降りの雨が降り、視界は最悪だ。
最悪の天候の中、俺は左眼を細めて視界を確保しながら先へ先へと進む。
[対象:ディケイウォーカー
レベル:10
推定脅威度:L]
慣れ親しんだ声が脳内に響き、左眼の視界に白文字で表示される。
俺は左手を軽く握り、数メートル先にいた腐敗臭を漂わせて、全身を腐った腐敗と化した人間もどきのディケイウォーカーを軽く叩く。
[対象:ディケイウォーカー 消滅]
慣れ親しんだ声が脳内に響き、敵の消滅を知らせてくれる。
やっぱりか。
やっぱり、そうなのか。
俺の左肩に乗るグリムは、全身を雨に打たれながら言う。
「兄貴、また迷宮界に関わってしもたな」
工藤瑞樹の家で夕食を呼ばれ、グリムは俺の新しいペット的なポジションで、瑞樹の両親に紹介して何気ない会話から自然な会話の流れから『家出は大変だっただろう。よく頑張ったな。この時期の男の子なら、そおいう事はよくあることだよ』を繰り広げる。
俺は心の中で、『家出じゃないんだけどなー。説明すると後々ややこしいことに発展しそうだからなー。とりあえず、家出の方向で話を合わせておくか』と確固たる何かしらの決意を秘めて家出した俺という設定を演じながら、瑞樹や瑞樹の両親と楽しく脇和気藹々とした瑞樹宅での夕食を召し上がった。
その後、居心地のいい瑞樹宅で、瑞樹から「明日は朝一で学校に行くから寝坊すんじゃねーぞ」と軽く明日の打ち合わせをさせられ、ペットとして食事をたんまり食したグリムと共に家に帰宅した。
その時点で、違和感に気づく。
誰もいない家に何かの気配を感じた。
俺とグリムは気配のするリビングへと物音一つ立てずにダッシュで、リビングの扉をガタッと開ける。
扉を開けた瞬間、テーブルに置いておいたはずの黒フォンが画面を光らせた状態で、俺に向かって飛んでくる。
俺はすぐに飛んできた黒フォンを左手で掴み取り、テーブルの方へと視線を向ける。だが、もうそこには誰の姿もない。さっきまであったはずの気配すらも、ない――そう思ったその時、
画面を光らせた黒フォンが、眩い光を放ったのだ。
あの時点から、30~40分の時間が経過した。その間に謎の劇場型にいたり、謎のクマが大画面に映ったりと常識破りの連続だった。
まぁ、拉致られた経験がある俺にしたら、黒フォンの画面から光が消え去った後、別の場所に立っていました的な展開なんて、もう迷宮界を通して慣れに慣れたようなもの。そんなことで、心が揺らいで動じることはないんだけどな。
動じなかった俺とグリムは謎の劇場型にいた時点で、黒フォンの画面が光った原因だけは解明している。
俺の持つ黒フォン宛に『映画館への招待券』というメッセージが、連絡先不明で転送して送られてきていたのだ。
転送されて送られてる事から、誰もいないはずの俺の家に気配を狙ってか?無意識なのか?感じさせた何者かが、この一件に噛んでる事は確かだ。
俺が何に巻き込まれたのか?原因解明するためにも、先を急ぐ。
今現在、俺は暗闇の中を疾走する。
辺り一帯から土砂降りの雨が降り、視界は最悪だ。
最悪の天候の中、俺は左眼を細めて視界を確保しながら先へ先へと進む。
[対象:ディケイウォーカー
レベル:10
推定脅威度:L]
慣れ親しんだ声が脳内に響き、左眼の視界に白文字で表示される。
俺は左手を軽く握り、数メートル先にいた腐敗臭を漂わせて、全身を腐った腐敗と化した人間もどきのディケイウォーカーを軽く叩く。
[対象:ディケイウォーカー 消滅]
慣れ親しんだ声が脳内に響き、敵の消滅を知らせてくれる。
やっぱりか。
やっぱり、そうなのか。
俺の左肩に乗るグリムは、全身を雨に打たれながら言う。
「兄貴、また迷宮界に関わってしもたな」
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