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episode.54
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物部真がシアタールームを出る3分前。
「ったく、出入り口を出たら映画館の廊下に出るのかと思えば……なんなんだここは⁉︎」
真がカルシウムが足りない男と心の中で呼んでいた男が、自分の今立っている場所を見渡す。
景色は暗闇。
明かりという灯りがない。
あるのは、暗闇と静寂。
真っ暗な空からは、小降りの雨が少々。
「汚い」
1人の女が雨に濡れた顔に手を当て、濡れた箇所を拭う。
拭う瞬間、ベトっとした感触を覚える。
ただの雨ではないようだ。
「灯り!灯りはないのか⁈」
「暗くて見えない」
「これじゃー外の出口を探すどころじゃないぞ!」
「そもそも、私たちは外にいるんじゃ?」
「言われてみたら、それな」
「だったら、あの熊が言った外に繋がる出口はどこにあるってんだ⁉︎」
「それが分かったら、苦労しない」
「とりま外にいるわけだし、歩いてみよ」
誰もが暗闇の中、己の足で一歩また一歩と進んで行く。
雨がやがて、雨量を増す。
視界が暗闇で定まらない中、更に辺り一帯が見えづらくなる。
方向感覚まで、失われる。
自分が今立ってる場所が、来た道を真っ直ぐ進んでいるのが?ぐるぐると回っているのか?全く定まらない。
そんな状況の中、唐突に悲鳴が上がった。
「きゃーーー‼︎」
「いやーーー‼︎」
「人がーーー‼︎」
「殺されるー‼︎」
「人が殺されたぞ‼︎」
「おい、やめろ‼︎離せ‼︎離せー‼︎」
「そんな……アホな‼︎……ぐぎゅわぁあああ‼︎」
「いやいやいやいやーー‼︎」
「し、死んだの⁉︎」
「え?殺されたの⁉︎」
「ど、どどどどっちだー⁉︎」
「落ち着け!」
「これは仕込みだ!仕込み!」
「俺たちを驚かすための悲鳴だろ⁉︎」
「今さっきの悲鳴も、どっかから……うわ‼︎」
「どうした⁉︎⁉︎」
「……たすけ――」
「どこにいる⁉︎」
「逃げろ!」
「とりあえず、逃げろ‼︎」
「どこにだよ‼︎」
「くそがー‼︎」
「そんな……撮影じゃないのか⁉︎」
「まさか……違うのか⁉︎」
「はは……もう笑うしかねー‼︎」
「いい加減にしてくれー!」
「何なんだよー⁉︎」
「嘘だろー⁉︎」
「うるさいうるさいうるさーい‼︎」
「黙って走れー‼︎そしてついてくんなー‼︎」
「やらせだーやらせー⁉︎‼︎」
「マジに何なんだよ‼︎」
「黙れ!黙れ!とにかく逃げるしか……ない‼︎」
全員が散らばるように走る。
足元はぬかるんで、安定しない。
「ぐっぎゃ!」
「ぁがぁあ!」
「ったぁー!」
「いってー!」
ぬかるみに足を取られて、転ぶ人もちらほらといる。
顔は泥だらけ、寝間着やパジャマ姿といった服はぐしょぐしょ。
「なんて日だー‼︎」
1人の男が叫ぶ。
男の後ろから、ペタッペタッと何かが近づく音がする。
「はっ⁉︎」
男が後ろを振り向いた瞬間、人の形をした何かが襲いかかった。
「ぎゅあああああああああああ‼︎」
男の絶叫が響く。
その声を耳にした誰もが、気づく。
これは撮影なんかじゃない。
これはガチで、やばい得体の知れない何か犯罪臭の香りがするなにかに巻き込まれたのだ、と。
「嫌だ!嫌だ!」
「こんなところで、死に――」
「頼む頼む頼む!」
「俺だけは逃げきって――」
「見逃してくれー‼︎」
「ドッキリじゃなかったのかー⁉︎」
「なわけねーだろ‼︎」
「やめてぇえええ‼︎」
「ったく、出入り口を出たら映画館の廊下に出るのかと思えば……なんなんだここは⁉︎」
真がカルシウムが足りない男と心の中で呼んでいた男が、自分の今立っている場所を見渡す。
景色は暗闇。
明かりという灯りがない。
あるのは、暗闇と静寂。
真っ暗な空からは、小降りの雨が少々。
「汚い」
1人の女が雨に濡れた顔に手を当て、濡れた箇所を拭う。
拭う瞬間、ベトっとした感触を覚える。
ただの雨ではないようだ。
「灯り!灯りはないのか⁈」
「暗くて見えない」
「これじゃー外の出口を探すどころじゃないぞ!」
「そもそも、私たちは外にいるんじゃ?」
「言われてみたら、それな」
「だったら、あの熊が言った外に繋がる出口はどこにあるってんだ⁉︎」
「それが分かったら、苦労しない」
「とりま外にいるわけだし、歩いてみよ」
誰もが暗闇の中、己の足で一歩また一歩と進んで行く。
雨がやがて、雨量を増す。
視界が暗闇で定まらない中、更に辺り一帯が見えづらくなる。
方向感覚まで、失われる。
自分が今立ってる場所が、来た道を真っ直ぐ進んでいるのが?ぐるぐると回っているのか?全く定まらない。
そんな状況の中、唐突に悲鳴が上がった。
「きゃーーー‼︎」
「いやーーー‼︎」
「人がーーー‼︎」
「殺されるー‼︎」
「人が殺されたぞ‼︎」
「おい、やめろ‼︎離せ‼︎離せー‼︎」
「そんな……アホな‼︎……ぐぎゅわぁあああ‼︎」
「いやいやいやいやーー‼︎」
「し、死んだの⁉︎」
「え?殺されたの⁉︎」
「ど、どどどどっちだー⁉︎」
「落ち着け!」
「これは仕込みだ!仕込み!」
「俺たちを驚かすための悲鳴だろ⁉︎」
「今さっきの悲鳴も、どっかから……うわ‼︎」
「どうした⁉︎⁉︎」
「……たすけ――」
「どこにいる⁉︎」
「逃げろ!」
「とりあえず、逃げろ‼︎」
「どこにだよ‼︎」
「くそがー‼︎」
「そんな……撮影じゃないのか⁉︎」
「まさか……違うのか⁉︎」
「はは……もう笑うしかねー‼︎」
「いい加減にしてくれー!」
「何なんだよー⁉︎」
「嘘だろー⁉︎」
「うるさいうるさいうるさーい‼︎」
「黙って走れー‼︎そしてついてくんなー‼︎」
「やらせだーやらせー⁉︎‼︎」
「マジに何なんだよ‼︎」
「黙れ!黙れ!とにかく逃げるしか……ない‼︎」
全員が散らばるように走る。
足元はぬかるんで、安定しない。
「ぐっぎゃ!」
「ぁがぁあ!」
「ったぁー!」
「いってー!」
ぬかるみに足を取られて、転ぶ人もちらほらといる。
顔は泥だらけ、寝間着やパジャマ姿といった服はぐしょぐしょ。
「なんて日だー‼︎」
1人の男が叫ぶ。
男の後ろから、ペタッペタッと何かが近づく音がする。
「はっ⁉︎」
男が後ろを振り向いた瞬間、人の形をした何かが襲いかかった。
「ぎゅあああああああああああ‼︎」
男の絶叫が響く。
その声を耳にした誰もが、気づく。
これは撮影なんかじゃない。
これはガチで、やばい得体の知れない何か犯罪臭の香りがするなにかに巻き込まれたのだ、と。
「嫌だ!嫌だ!」
「こんなところで、死に――」
「頼む頼む頼む!」
「俺だけは逃げきって――」
「見逃してくれー‼︎」
「ドッキリじゃなかったのかー⁉︎」
「なわけねーだろ‼︎」
「やめてぇえええ‼︎」
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