50 / 67
episode.49
しおりを挟む
「あ、そういえば!」
瑞樹は横向けた顔を俺とグリムの方へと向け、何かを思い出したのか?閃きを得たように叫んだ。
今度は何だ?
「どうした?」
「なんやなんや?」
「裏回線のテレビつけるから見て」
瑞樹は茶の間のテレビをつけ、自分のスマホをポケットから取り出す。
次に可愛くデコレーションされた瑞樹のスマホとテレビを接続させる。
テーブルに置いてあったリモコンを操作し、裏回線なるものに繋げるための専用のキーをポチポチと入れて行き、普通のチャンネルでは見れない裏のチャンネルへ映像を切り替える。
『3週間ほど前から滋賀県にある湖中鳥居を中心に立ち入り禁止令が発令されておりましたが、本日の早朝未明にやっと解除されました。そこに住む住人は期間中、別の場所に強制的に移され、民間人は人っ子1人立ち入れなくされていましたが、日本国の自衛隊が厳戒態勢になってまで一体あの場で何に警戒していたのか?3週間と長い沈黙の期間中、何があの場で起こっていたのか?民間人の目を寄せつけず、厳重に何を隠していたのか?取材班が現在現場で取材を行なっております』
美人なアナウンサーは淡々と答え、
『映像行けますか?……取材班のいる現場と繋がっているようです。現場の仲居さん、そちらはどういった状況ですか?」
現場のリポーターと中継され、映像が切り替わる。
リポーターの後ろには、湖中鳥居がハッキリクッキリと大きく背景で映し出されている。
湖中鳥居。
あそこから俺たちの理不尽な戦いは始まり、長かった戦いが終わりを告げて終わった場所である。
湖中鳥居の周りには、小型のヘリコプターやドローンといった物が飛び交い、琵琶湖が綺麗に映っている。
『はい。こちら、湖中鳥居のすぐそばまで来ています。仲居です。えー今回の長期間にわたる立ち入り禁止令。その中心であったここ、湖中鳥居に来ていますが……あまりにも長い期間の発令だったこともあり、現場には何も手掛かりになるものは一切ありません』
現場のリポーターと映像を撮ってるカメラマンは船に乗っているのか?波の影響で、リポーターは船の手すりに何も持ってない手を当てる。
映像の方も、少し画面が揺れる。
体を張って、仲居というリポーターはマイクから手を離さない。
『ここを中心に何が起こったのか?それを知りたい方は発令直後から大勢いらっしゃると思います。今、日本国の非公式である裏チャンネルをご覧になってある方々の中には現場のすぐ近くまで見に行った人もいるでしょう。しかし自衛隊員に映像や写真の記録出来る類は全て没取され、何も記録を取れなかった方々ばかりだったと思います。そおいう私もデータに入っていた別件や関係のないもの全て消去された1人であります。……今は手掛かりとなるものはありませんが、近隣にお住いの方々に取材をする中で、何かしらの情報を得られましたらすぐにお知らせします。では裏チャンホームへお返しします』
仲居は険しい表情のまま、ビシッとカメラに人差し指を向ける。
仲居のいる中継画面から美人のアナウンサーへと画面が切り替わる。
『今現在、日本国政府は立ち入り禁止令をなぜ発令したのかの理由を一切公表はされていません。この――』
「……まじかよ。あそこ、立ち入り禁止令が出てたのかよ」
「今朝のトレンド1位のニュースで、全国民がこれに注目してるから。まさか、この現場が異世界に通じる場所だったとは千てめぇーに聞かなかったら思いもしねぇーよ。今これを見てる人は誰一人として、異世界なんて夢物語が関係してたなんて予想できねぇーよ。絶対」
グリムはテーブルに腰掛け、腕を組んだまま、初めて見るテレビ画面に食いつくように見つめる。
「ホンマにそうやでー。昨日の今日やからな。向こうはんも残りの関係ある人間を回収して撤退したんやろーな。そうに違いあらへんで」
「回収した人間……あいつらか。それを分かった上で、全部折り込み済みだったってわけか」
「やろーな」
「てめぇーと同じ境遇の人間を全部回収して撤退とか、やべーわ。まじもんのやべーやつじゃねーか」
瑞樹は茶の間のテレビに夢中で、グリムもまたテレビをじーっと眺めてる。
「やばいのは変わりないけど、もう関係のない俺にはどうでもいいニュースなんだけどな。とりあえず俺は髪が染まったか洗いに行ってくるな」
俺はテレビから視線を外さない瑞樹とグリムに伝え、風呂場に向かった。
そして黒染めした結果、髪の毛は白いままだった。
瑞樹に頼み、黒染めではない別の色染めで染めても染めても、白のまま。
強力な黒染めで染めても、完全に白髪から髪の毛1本も、別の色に染まることはなかったのだった。
瑞樹は横向けた顔を俺とグリムの方へと向け、何かを思い出したのか?閃きを得たように叫んだ。
今度は何だ?
「どうした?」
「なんやなんや?」
「裏回線のテレビつけるから見て」
瑞樹は茶の間のテレビをつけ、自分のスマホをポケットから取り出す。
次に可愛くデコレーションされた瑞樹のスマホとテレビを接続させる。
テーブルに置いてあったリモコンを操作し、裏回線なるものに繋げるための専用のキーをポチポチと入れて行き、普通のチャンネルでは見れない裏のチャンネルへ映像を切り替える。
『3週間ほど前から滋賀県にある湖中鳥居を中心に立ち入り禁止令が発令されておりましたが、本日の早朝未明にやっと解除されました。そこに住む住人は期間中、別の場所に強制的に移され、民間人は人っ子1人立ち入れなくされていましたが、日本国の自衛隊が厳戒態勢になってまで一体あの場で何に警戒していたのか?3週間と長い沈黙の期間中、何があの場で起こっていたのか?民間人の目を寄せつけず、厳重に何を隠していたのか?取材班が現在現場で取材を行なっております』
美人なアナウンサーは淡々と答え、
『映像行けますか?……取材班のいる現場と繋がっているようです。現場の仲居さん、そちらはどういった状況ですか?」
現場のリポーターと中継され、映像が切り替わる。
リポーターの後ろには、湖中鳥居がハッキリクッキリと大きく背景で映し出されている。
湖中鳥居。
あそこから俺たちの理不尽な戦いは始まり、長かった戦いが終わりを告げて終わった場所である。
湖中鳥居の周りには、小型のヘリコプターやドローンといった物が飛び交い、琵琶湖が綺麗に映っている。
『はい。こちら、湖中鳥居のすぐそばまで来ています。仲居です。えー今回の長期間にわたる立ち入り禁止令。その中心であったここ、湖中鳥居に来ていますが……あまりにも長い期間の発令だったこともあり、現場には何も手掛かりになるものは一切ありません』
現場のリポーターと映像を撮ってるカメラマンは船に乗っているのか?波の影響で、リポーターは船の手すりに何も持ってない手を当てる。
映像の方も、少し画面が揺れる。
体を張って、仲居というリポーターはマイクから手を離さない。
『ここを中心に何が起こったのか?それを知りたい方は発令直後から大勢いらっしゃると思います。今、日本国の非公式である裏チャンネルをご覧になってある方々の中には現場のすぐ近くまで見に行った人もいるでしょう。しかし自衛隊員に映像や写真の記録出来る類は全て没取され、何も記録を取れなかった方々ばかりだったと思います。そおいう私もデータに入っていた別件や関係のないもの全て消去された1人であります。……今は手掛かりとなるものはありませんが、近隣にお住いの方々に取材をする中で、何かしらの情報を得られましたらすぐにお知らせします。では裏チャンホームへお返しします』
仲居は険しい表情のまま、ビシッとカメラに人差し指を向ける。
仲居のいる中継画面から美人のアナウンサーへと画面が切り替わる。
『今現在、日本国政府は立ち入り禁止令をなぜ発令したのかの理由を一切公表はされていません。この――』
「……まじかよ。あそこ、立ち入り禁止令が出てたのかよ」
「今朝のトレンド1位のニュースで、全国民がこれに注目してるから。まさか、この現場が異世界に通じる場所だったとは千てめぇーに聞かなかったら思いもしねぇーよ。今これを見てる人は誰一人として、異世界なんて夢物語が関係してたなんて予想できねぇーよ。絶対」
グリムはテーブルに腰掛け、腕を組んだまま、初めて見るテレビ画面に食いつくように見つめる。
「ホンマにそうやでー。昨日の今日やからな。向こうはんも残りの関係ある人間を回収して撤退したんやろーな。そうに違いあらへんで」
「回収した人間……あいつらか。それを分かった上で、全部折り込み済みだったってわけか」
「やろーな」
「てめぇーと同じ境遇の人間を全部回収して撤退とか、やべーわ。まじもんのやべーやつじゃねーか」
瑞樹は茶の間のテレビに夢中で、グリムもまたテレビをじーっと眺めてる。
「やばいのは変わりないけど、もう関係のない俺にはどうでもいいニュースなんだけどな。とりあえず俺は髪が染まったか洗いに行ってくるな」
俺はテレビから視線を外さない瑞樹とグリムに伝え、風呂場に向かった。
そして黒染めした結果、髪の毛は白いままだった。
瑞樹に頼み、黒染めではない別の色染めで染めても染めても、白のまま。
強力な黒染めで染めても、完全に白髪から髪の毛1本も、別の色に染まることはなかったのだった。
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
従者が記す世界大戦記
わきげストレート
ファンタジー
世界中で戦争・紛争が巻き起こる時代、大国の聖女を連れ出して逃げた騎士がいた。聖女は戦争の原因となっていた『不老不死の秘法』を握ったまま、自国の騎士に連れ去られたのだ。聖女の行方は誰も知ることはなく、奇しくもそこから各地で戦争が沈静化していくのであった。
時は流れ、各国は水面下にて聖女と共に失われし『不老不死の秘法』を探し求めていた。今まさに再び世界は大戦争へと動き出そうとしていた。
永遠の誓い
rui
恋愛
ジル姫は22歳の誕生日に原因不明の高熱に倒れるが、魔女の薬により一命をとりとめる。
しかしそれは『不老不死』になるという、呪われた薬だった。
呪いを解く方法は、たったひとつだけ……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる