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本編 1章
7.
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「ユウ先輩のせい?」
「うん・・・・・・」
「・・・・・・俺は・・・俺は違うと思いますよ?それはユウ先輩のせいなんかじゃなくて、称号のせいです」
・・・・・・伽南と同じだ。
僕が伽南の方を見ると伽南も笑っている。
「・・・・・・僕は能力の対価で相手を自分に惹かせるんだよ?ほんとの僕は本当に地味で暗くて――」
「ユウ先輩。顔あげて?」
「・・・・・・好きって、、郁は言うけど。違うよ?」
「ユウ先輩・・・・・・」
「僕を好きじゃなくて、対価のせいで僕に惹かれてるんだよ?そのうちこんな僕、嫌になるよ?」
「ユウ先輩。俺の目、見て?」
そう言うと僕の顔を覗きこんだ。
「・・・・・・何?」
「俺は――俺も、桐谷先輩も。ユウ先輩の性格やちょっとした仕種・・・少し天然なところ。器用なのに無器用で、素直で優しいユウ先輩が好きなんです。運命とか関係ないです」
「でも――っ」
「お前が自分に自信ないのはアイツのせいだろ?それは運命のせいでもあるけど、お前がそこまで思い込んでるのはアイツのせいだ」
「アイツ?」
「あ、・・・・・・ユウト・・・アイツのことは、、話すのか?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・アイツ?」
あの人――。
「イク、、抑えろよ?」
「ユウ。おはよ」
「・・・・・・ぉ・・・ょぅ・・・ぃ・・・・・」
「ん?」
「お、、おは、、、」
「おはよ。寝癖ついてる・・・可愛い。好きだよ?」
「へ、、?/////」
五十嵐 叶先輩。僕が初めてお付き合いした人。
今までも告白されたりしたけど付き合うのは初めてだった。
高校生になって先輩と出会ったんだ・・・。
「ユウ。手、繋ご?」
「!・・・うん、、」
「今日は少し寒いね・・・もう四月も半ばなのに」
「・・・・・・うん。寒冷前線が近づいてるって」
「え、ほんと!?昨日はぽかぽかしてたのにね。ようやく春らしいと思ったら・・・まぁ冬でもユウが暖かいからいいか」
「え?」
「冗談」
「むー!!先輩、からかわないでよっ」
「はいはい。ははっ」
楽しかった。
ほんと。
でもあの日はもう戻ってこない。
叶先輩には称号のことは言わなかった。
先輩は知らない人だし、言わなければこのまま、、このままで居られるような気がしたから・・・・・・。
いつも笑顔で優しくて、かっこよくて、強くて――。
尊敬してた。でもそれがいつなのか『好き』になった。
叶先輩のことを思うと自然と『好き』って言葉が出てくる。
毎日ってほど叶先輩は僕に好きと言った。
僕もつい言いそうになったけど、恥ずかしくて言えない。
そんな日が続いた。
「先輩」
「あ、ユウ・・・・・・。来てたんだ」
「えっと・・・風邪でお休みって聞いて、、その――」
「だぁれ?その子」
その日は先輩が風邪で学園をお休みしてた。
先輩は一般からこの学園に来たから一般寮に住んでた。三学年の一般寮の寮長さんにお願いして先輩のお部屋で待たせて貰ってたんだ。
でも、先輩は部屋にいなくて・・・風邪なのに無理してお買い物にでも行ったのかなって思って待ってた。
なのに――戻ってきた先輩は綺麗な男の人を連れていた。
「ん?・・・友達?」
「え・・・」
「もうー!カナタの友達?だったら言ってよー!!もし浮気相手とかだったらって睨んじゃったじゃん」
「・・・・・・そんな訳ないだろ?」
「何その間ー」
「ユウ。今日は帰って」
「・・・先輩――」
「万智。少し待ってて」
「おっけー。買ってきたお菓子食べてる」
先輩は微笑んだ。
僕に向けてたみたいな優しい眼差しで。
腕を引かれて、外に出る。
先輩が帰ってきたときに寒くないように付けてた暖房の暖かさから、五月に変わろうとしてるのに未だ三月のような冷気に身を震わせてもう一度先輩を見る。
先輩の目は外の冷気より凍えそうなほど冷たかった。
「別れる」
「・・・・・・え?」
「・・・やっぱり、ユウへの好意はユウの称号せいだって気づいたんだ。俺はユウを好きじゃない。好意であっても好きじゃないんだって」
「先輩――」
「だから別れる。よく考えたらユウみたいな地味な子好みじゃないし。恋愛対象でもない。・・・好きでもない」
「っ・・・・・・・・・」
「じゃ」
ガチャン
目の前のドアは閉じた。
・・・・・・なんで・・・・・・・・・?なんで――。
「・・・・・・あれ?ユウト?・・・泣いてんの・・・・・・?」
「え、、?」
「ユウトっ!!」
「・・・・・・郁も叶先輩みたいになると思う。あれだけ好きって言ってくれた先輩でさえそうなのに・・・僕を知っていくうちに離れたくなるんだもん」
「イク」
「だから、、僕は・・・郁に後悔してほしくない。僕のこと好きって一時の気の迷いで離れてほしくない。ごめんね」
「イク!!」
「?郁・・・・・・??どうしたの?」
僕が話終わって、伽南が郁を呼ぶ声が聞こえた。
思わず顔をあげた。
・・・・・・え?
「酷い・・・。なんで・・・・・・」
「・・・郁?」
「ユウ先輩に、、よくそんなこと・・・・・・許せない」
郁の目には怒りとも悲しみとも似つかない感情が映っていた。憤り、憤怒、焦燥、悲観、・・・分からない。
なんで郁がそんな顔をするの・・・・・・?
「郁・・・・・・怒ってる?」
「ええ。今すぐに転移してその五十嵐って人を殴って葬りさりたいくらいには」
「イク・・・・・・大丈夫だ。殴るぶんには俺がユウトの仇とったから」
「足りませんよ!!」
「・・・足りないな。でもこういうのは今じゃないだろ?」
「チッ・・・・・・」
「焦んなよ。こういうのはゆっくり・・・・・・」
「なんの話??」
「ユウトは気にするな」
「ユウ先輩のことは俺が守ります」
伽南・・・・・・。郁・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・勝手にして」
「ユウト・・・・・・」
「はい!勝手にします。俺がユウ先輩を――」
「でも、郁はそれを聞いても僕と友達でいてくれるの?」
「ユウ先輩が望むなら友達以上でも――」
「それ以上は言わせねぇよ!?」
「ちょっと桐谷先輩は黙っててもらえます?」
「さっきから、聞いてりゃお前は――」
「ありがとう!!」
「え、、?」
「二人とも。ありがとう・・・僕のことが嫌になったら言ってね」
「そんなこと絶対ない!!」
「生涯有り得ません!!」
そんなことはないと思うんだけど・・・・・・。
でも、、すごく嬉しい・・・。
「うん・・・・・・」
「・・・・・・俺は・・・俺は違うと思いますよ?それはユウ先輩のせいなんかじゃなくて、称号のせいです」
・・・・・・伽南と同じだ。
僕が伽南の方を見ると伽南も笑っている。
「・・・・・・僕は能力の対価で相手を自分に惹かせるんだよ?ほんとの僕は本当に地味で暗くて――」
「ユウ先輩。顔あげて?」
「・・・・・・好きって、、郁は言うけど。違うよ?」
「ユウ先輩・・・・・・」
「僕を好きじゃなくて、対価のせいで僕に惹かれてるんだよ?そのうちこんな僕、嫌になるよ?」
「ユウ先輩。俺の目、見て?」
そう言うと僕の顔を覗きこんだ。
「・・・・・・何?」
「俺は――俺も、桐谷先輩も。ユウ先輩の性格やちょっとした仕種・・・少し天然なところ。器用なのに無器用で、素直で優しいユウ先輩が好きなんです。運命とか関係ないです」
「でも――っ」
「お前が自分に自信ないのはアイツのせいだろ?それは運命のせいでもあるけど、お前がそこまで思い込んでるのはアイツのせいだ」
「アイツ?」
「あ、・・・・・・ユウト・・・アイツのことは、、話すのか?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・アイツ?」
あの人――。
「イク、、抑えろよ?」
「ユウ。おはよ」
「・・・・・・ぉ・・・ょぅ・・・ぃ・・・・・」
「ん?」
「お、、おは、、、」
「おはよ。寝癖ついてる・・・可愛い。好きだよ?」
「へ、、?/////」
五十嵐 叶先輩。僕が初めてお付き合いした人。
今までも告白されたりしたけど付き合うのは初めてだった。
高校生になって先輩と出会ったんだ・・・。
「ユウ。手、繋ご?」
「!・・・うん、、」
「今日は少し寒いね・・・もう四月も半ばなのに」
「・・・・・・うん。寒冷前線が近づいてるって」
「え、ほんと!?昨日はぽかぽかしてたのにね。ようやく春らしいと思ったら・・・まぁ冬でもユウが暖かいからいいか」
「え?」
「冗談」
「むー!!先輩、からかわないでよっ」
「はいはい。ははっ」
楽しかった。
ほんと。
でもあの日はもう戻ってこない。
叶先輩には称号のことは言わなかった。
先輩は知らない人だし、言わなければこのまま、、このままで居られるような気がしたから・・・・・・。
いつも笑顔で優しくて、かっこよくて、強くて――。
尊敬してた。でもそれがいつなのか『好き』になった。
叶先輩のことを思うと自然と『好き』って言葉が出てくる。
毎日ってほど叶先輩は僕に好きと言った。
僕もつい言いそうになったけど、恥ずかしくて言えない。
そんな日が続いた。
「先輩」
「あ、ユウ・・・・・・。来てたんだ」
「えっと・・・風邪でお休みって聞いて、、その――」
「だぁれ?その子」
その日は先輩が風邪で学園をお休みしてた。
先輩は一般からこの学園に来たから一般寮に住んでた。三学年の一般寮の寮長さんにお願いして先輩のお部屋で待たせて貰ってたんだ。
でも、先輩は部屋にいなくて・・・風邪なのに無理してお買い物にでも行ったのかなって思って待ってた。
なのに――戻ってきた先輩は綺麗な男の人を連れていた。
「ん?・・・友達?」
「え・・・」
「もうー!カナタの友達?だったら言ってよー!!もし浮気相手とかだったらって睨んじゃったじゃん」
「・・・・・・そんな訳ないだろ?」
「何その間ー」
「ユウ。今日は帰って」
「・・・先輩――」
「万智。少し待ってて」
「おっけー。買ってきたお菓子食べてる」
先輩は微笑んだ。
僕に向けてたみたいな優しい眼差しで。
腕を引かれて、外に出る。
先輩が帰ってきたときに寒くないように付けてた暖房の暖かさから、五月に変わろうとしてるのに未だ三月のような冷気に身を震わせてもう一度先輩を見る。
先輩の目は外の冷気より凍えそうなほど冷たかった。
「別れる」
「・・・・・・え?」
「・・・やっぱり、ユウへの好意はユウの称号せいだって気づいたんだ。俺はユウを好きじゃない。好意であっても好きじゃないんだって」
「先輩――」
「だから別れる。よく考えたらユウみたいな地味な子好みじゃないし。恋愛対象でもない。・・・好きでもない」
「っ・・・・・・・・・」
「じゃ」
ガチャン
目の前のドアは閉じた。
・・・・・・なんで・・・・・・・・・?なんで――。
「・・・・・・あれ?ユウト?・・・泣いてんの・・・・・・?」
「え、、?」
「ユウトっ!!」
「・・・・・・郁も叶先輩みたいになると思う。あれだけ好きって言ってくれた先輩でさえそうなのに・・・僕を知っていくうちに離れたくなるんだもん」
「イク」
「だから、、僕は・・・郁に後悔してほしくない。僕のこと好きって一時の気の迷いで離れてほしくない。ごめんね」
「イク!!」
「?郁・・・・・・??どうしたの?」
僕が話終わって、伽南が郁を呼ぶ声が聞こえた。
思わず顔をあげた。
・・・・・・え?
「酷い・・・。なんで・・・・・・」
「・・・郁?」
「ユウ先輩に、、よくそんなこと・・・・・・許せない」
郁の目には怒りとも悲しみとも似つかない感情が映っていた。憤り、憤怒、焦燥、悲観、・・・分からない。
なんで郁がそんな顔をするの・・・・・・?
「郁・・・・・・怒ってる?」
「ええ。今すぐに転移してその五十嵐って人を殴って葬りさりたいくらいには」
「イク・・・・・・大丈夫だ。殴るぶんには俺がユウトの仇とったから」
「足りませんよ!!」
「・・・足りないな。でもこういうのは今じゃないだろ?」
「チッ・・・・・・」
「焦んなよ。こういうのはゆっくり・・・・・・」
「なんの話??」
「ユウトは気にするな」
「ユウ先輩のことは俺が守ります」
伽南・・・・・・。郁・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・勝手にして」
「ユウト・・・・・・」
「はい!勝手にします。俺がユウ先輩を――」
「でも、郁はそれを聞いても僕と友達でいてくれるの?」
「ユウ先輩が望むなら友達以上でも――」
「それ以上は言わせねぇよ!?」
「ちょっと桐谷先輩は黙っててもらえます?」
「さっきから、聞いてりゃお前は――」
「ありがとう!!」
「え、、?」
「二人とも。ありがとう・・・僕のことが嫌になったら言ってね」
「そんなこと絶対ない!!」
「生涯有り得ません!!」
そんなことはないと思うんだけど・・・・・・。
でも、、すごく嬉しい・・・。
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