離れる気なら言わないで。~運命に振り回される僕はいつ自由になれるのかな?~

紡月しおん

文字の大きさ
上 下
2 / 23
本編 1章

2.

しおりを挟む
1.『好き』なんて言わないこと
あの人みたいに何度も何度も。
確証のない言葉・・・もう、、聞きたくない・・・・・・。
すぐに離れていくなら言わないでほしい・・・だから。


2.僕を女の子と同じように扱わないこと
あの人がやったように。
僕を、、、代わりになんてしないで・・・・・・。


3.別れるときは短的に告げること
別れるなら、、せめて・・・・・・。






めんどくさいとか思ってくれるかと思ったけど、僕への告白は減らなかった。増えもせず、減りもせず。変わらなかった。

伽南曰く、それだけ僕が可愛いらしい。
そんなことないと思うけど。
逆に暗くて地味で反応薄い僕なんて嫌われてるならともかく可愛いとか思われてるわけない。だから一瞬でも好きになってくれたそれだけで十分すぎるくらい・・・・・・。
















「・・・・・・、、悠仁君!」
「え、、あ、、」
「後ろ回して。・・・ボーッとしてたけど、大丈夫?」
「え、う、うん。大丈夫。ありがとう。ごめんね?」

気づけば、伽南ももう戻ってきていて前からテストが回ってきていた。僕は謝ると、急いで後ろに回した。
後ろの席の子も「大丈夫?」って。
・・・・・・心配かけちゃったな・・・ごめんなさい。


「それでは小テスト。始めて下さい」

あ、やらないと。
先生の号令で始まる。

魔学は主に魔法関連の授業。
魔学の小テストは基本の五教科より簡単だし面白いから好き。それに、難しい計算がないのがいい。
小テストは5分間で10問を解いていく。
僕は5分なんて多いとは思うんだけどな?少し予習さえしとけば3分くらいで終わるし。
・・・・・・簡単なんて、僕だけかもだけど――。

ピリピリ ピリピリ
テスト終了の電子音がした。

「はい。ペンを置いて。後ろから集めて下さい」
「先生ー!あと1分!!」
「桐谷君は遅れてきたので猶予はあげません」
「えー」

伽南がぐだぐだ言ってるのを先生は近づいていって伽南の答案を回収した。・・・・・・ちらっ、と見えたけど真っ白だった。分かんなかったのかな?

「皆さん、テスト難しいですか?」

先生の声にみんな「難しー!」とか「大丈夫でーす」と言った声が飛ぶ。まぁ、ひとそれぞれ。

「ふふっ、そうですね。しかし魔学の勉強は基礎科目の五教科よりずっと大切な課程です。皆さんが将来、王家に仕えるとしても、社会に出るとしても、或いは世界を巡るとしても、きっと皆さんを助けてくれます。いつか皆さんもあのとき勉強していて良かったと思う日が来ますよ」
「先生、長ーい」
「はい。すみませんでした。それでは、今日も――」

そして魔学の授業を始める先生。
魔学って言うのはこの世界の常識。
魔法を知るための授業。
魔法ってのは色んな種類があって、人によっては得意分野が違ったりする。僕は主に回復系の魔法が得意。だから将来は薬師になって旅をしようかなと思ってたんだけど、、それもダメかもしれない。



「今日は『称号』について学びましょうか」

ざわざわ。教室がざわめいた。
・・・・・・みんなが、クラスの大半が僕をみる。

「・・・・・・先生、、」
「なんですか?桐谷君」
「えっ、、と・・・・・・」
「ん?・・・・・・それでは、質問が言葉になったらまた言ってください。皆さんも知っている通りに『称号』とは個人に与えられた能力のようなものです」

伽南は知ってるから・・・・・・。
もっと言えば、幼い頃からここにいる人もみんな。

「この世に生を受けて、初めに行われる『称号検査』で自分の称号を知ることが出来るのです。これは魔法との関連が深く、例えば・・・私の称号は『導き』でした。これは称号ランクのA。つまり、レアといえばレアな称号ですね。私が今、ここにいるのも称号があったからこそなんですよ?ふふっ。『導き』は指導者や指揮者に向いているんです。私が先生になったのもその理由です」

「また、さっきも言った『称号ランク』とは称号の能力やその称号の現れる確率に基づいたもので、ランクはSS~Eまであります。ランクが高くなるほど、現れるのは稀です。・・・ただ、確か現れる確率など関係なく、一人が死んだらまた別の人に現れるといった受け継ぎ型の称号もありますね。しかし、受け継ぎ型は能力はランクSS以上であるにしても、副作用が強いんだとかで、ランクは最低ランクとなっています」

「それ故に、事故に巻き込まれやすい。・・・・・・私の友人にもそんな人がいました。・・・・・・ですから、、最低ランクだからと蔑んだり、その副作用が原因であるとかでケンカはしないで下さいね?」

「まぁ、それは置いておきまして・・・・・・」


・・・・・・先生は知らないんだ。たぶん。
僕もあれ以来言ってないし、仕方ないかもだけど・・・。僕に集まった視線が辛い。自意識過剰かもだけど、みんなが僕を見てる気がする。
これも僕の称号が『聖姫』だから・・・・・。















「・・・・・・ユウト、、大丈夫か?」
「ん、伽南・・・・・・。大丈夫だよ?大丈夫。大丈夫だよ」
「それならいいけど・・・」

ほんとに伽南はいいやつ。優しい。
もうこんなになってから二年経つのに、面倒くさがることもなく僕を心配して、落ち着かせてくれる。
今は休み時間。伽南から僕の机のとこに来てくれた。

「・・・・・ユウト、、聞いてもいいか?」
「何を?」
「・・・・・・その、、、あの、こと」
「・・・・・・いいよ」

あのこと・・・。
伽南は躊躇っているようでなかなか口に出さない。

「・・・・・・・・・・・・何でもない。ごめんな」
「・・・・・・聞かないんだ」
「ん?」
「何でもない。伽南って、ほんと良いやつだよね」
「っ、、ユウト・・・・・・!!」

ぎゅむと抱きついてくる伽南。
・・・・・・苦しいんだけどな・・・・・・・・・・・・。

「む、離してくれない?」
「もー少し!!」
「うーん・・・・・・・・・・・・」
「ほんと好き!!大好き!!マジ俺の天使――っ痛っ!!」
「失礼してまーす。桐谷先輩。俺のユウ先輩に触らないでくれませんか?ユウ先輩も嫌がってます」

いつの間にか郁が天井にぶら下がってて、上から伽南を引き剥がしてくれた。・・・・・・助かった・・・・・・。

「大江くーん・・・・・・何してくれてんの?」
「ユウ先輩!また困ったことがあったら何でも言ってくださいね!!俺、いつでもすっ飛んできますんで!!」
「俺んことは無視かいっ!!」
「は?あぁ、居たんですね」
「居たんですね、ってお前、、さっき俺の肩つかんで放り投げただろが!!この性悪が!!」
「仲良いな――」
「「良くない(良くないです)」」

僕からみたらすごく仲良さそうで羨ましいんだけど・・・。まぁ、僕みたいなのとはそこまで仲良くできないか・・・僕がそう言うの苦手だもん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

主人公は俺狙い?!

suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。 容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。 だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。 朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。 15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。 学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。 彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。 そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、 面倒事、それもBL(多分)とか無理!! そう考え近づかないようにしていた。 そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。 ハプニングだらけの学園生活! BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息 ※文章うるさいです ※背後注意

今世では誰かに手を取って貰いたい

朝山みどり
BL
ノエル・レイフォードは魔力がないと言うことで、家族や使用人から蔑まれて暮らしていた。 ある日、妹のプリシラに突き飛ばされて、頭を打ち前世のことを思い出し、魔法を使えるようになった。 ただ、戦争の英雄だった前世とは持っている魔法が違っていた。 そんなある日、喧嘩した国同士で、結婚式をあげるように帝国の王妃が命令をだした。 選ばれたノエルは敵国へ旅立った。そこで待っていた男とその日のうちに婚姻した。思いがけず男は優しかった。 だが、男は翌朝、隣国との国境紛争を解決しようと家を出た。 男がいなくなった途端、ノエルは冷遇された。覚悟していたノエルは耐えられたが、とんでもないことを知らされて逃げ出した。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

処理中です...