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番外編
ハロウィン編②
しおりを挟む「兄さんっ」
「お、兄!!」
階下に降りていくと双子が同じ興奮状態で抱きついてきた。···僕、死ぬのかな?凄い可愛い。というか抱きついてきたの久しぶり······。
最近、妹たちより海渡との方が抱き合ってるかもしれない。···間違えた、抱きしめられてるかもしれない。僕は海渡を受け入れた覚えはない!···まぁ、認めてはいるけどね。
「雫ちゃんナイス!」
「静ちゃんも」
「「いぇーい!!」 」
「3人とも~行くわよ~。きゃ~!てっちゃん!可愛いぃ~!!お隣行ったら鳴海さんとツーショット頂戴っ!!」
「え?なると?俺は瑛子と撮りたいなぁ」
「撮る撮るぅ~♡」
ウチの親は既に壊れてる。まったく良い歳して仲良いのも良いんだけど思春期の子供の前でわちゃわちゃしないで欲しい。
「行くの?行かないの?」
「「「行くー!!」 」 」
海渡の家は僕の家を真正面から見れば大きさはあんまり変わらない······ように見える。と言うかそこは沖江家の大きな土地の端っこにある別邸。端っこって言ってもちゃんと仕切ってあるから外から見れば全く別の家だ。
あんまり大きな屋敷に住んでると色々危ないからって作ったんだって。結局、お屋敷の方は会社関係で使ってるらしくて海渡たち家族はこっちに住んでいる。
でもハロウィンパーティは毎年本宅の方でやらせて貰ってて、結構人も集まる。···なんかコスプレのイベントみたいって何度も思った。結構際どい衣装の人もいたりする。
「瑛子さん!いらっしゃいませ~」
「佐紀さん~!今年も場所提供ありがとう!」
「いえいえ。こっちは全然使ってないのでいつでも仰ってくれればお貸し出来ますよ~」
「佐紀さん可愛い~!」
「瑛子さんも凄く美しいです~!」
母さんと佐紀さんはきゃーきゃー言い合ってる。
既に母さんのお友達さんは集まりだしてるらしく、中庭がわいわいしている。···海渡はどこだろ?
「海渡君は?」
「ギリギリまで精神統一してるって部屋に篭ってます。ふふ、呼んできますね!」
「今年の海渡君の仮装も楽しみだわぁ~」
精神統一······?
そう言って佐紀さんは家まで走って行った。
胸が、なんか······。脈打つ鼓動が早い気がする。
············緊張なんてしてないし。
「はァーーーーーーーーー!!」
瑠衣ちゃん······。
頭の中では瑠衣ちゃんが仮装して、俺に馬乗りになって─。
「はっ!ダメだっ!!」
「うるせーよ」
ぼかっ
巳波兄さんに叩かれる。
うっ、痛い。でもちょっと感謝した。
·····想像してたらまた下半身の方が······。ごめん、瑠衣ちゃん。ホント好き。
俺の今年の仮装は巳波兄さんとお揃いで髪色違いのヴァンパイア。目もカラーコンタクトで色を変えてる。オールバックの金色の髪。···大丈夫かな?
瑠衣ちゃん······俺見たらなんて言うかな?
「海渡~。瑠衣ちゃん来たわよ~」
「!!今行くっ!」
それでも瑠衣ちゃんの仮装、見てみたい。
今年はどんな仮装かなっ。
十数分後。
瑠衣ちゃん···。
瑠衣ちゃん············。
瑠衣ちゃん······················!!
「可愛い─ゴフッ」
「ごめん。条件反射で」
「酷い、、けど······可愛いよ!すっごく似合ってる!」
瑠衣ちゃんはオオカミ男の仮装で来た。
ふわふわの耳と尻尾。瑠衣ちゃんが顔の角度を帰る度にほよほよと獣耳が揺れている。尻尾はだらりと瑠衣ちゃんの可愛いお尻から生えてて·····。
「お、男に可愛いとか···」
瑠衣ちゃんが照れてる!
目を伏せて頭にのってる獣耳を触る瑠衣ちゃん。
「だってほんとに可愛いんだよ!」
「だから!······可愛くないし」
······耳まで真っ赤だ。
「俺は?」
「っ、!」
「··········カッコ、イイよ。ばか」
思考が停止した。
瑠衣ちゃんが······あの、瑠衣ちゃんが······!!
デレてる!!
「海渡」
「·······あ、、何?どうしたの?瑠衣ちゃん···」
「っ、お、お菓子くれないなら···悪戯するぞ!」
「悪戯されたい!!」
「は、はぁ!?」
「俺の部屋行こ!すぐ行こう!うん」
「ば、ばかーーーーーーーー!!」
あたしは見た。中庭の端の端の方。
うちの兄さんと海渡兄さんが密会している所を······。
海渡兄さんの今年の仮装はヴァンパイア。
黄金の髪、真紅の瞳、赤い唇の端に生えた牙。
もーっ!完璧!!
さすがイケメン、様になる。
その横で兄さんたら顔を真っ赤にして食べてくださいとでも言っているようにしか見えない。オオカミなのに。
あれ?海渡兄さんが兄さんの腕を引っ張ってどこかに行こうとしてる······?
兄さんは必死に抗ってるけど力の差ってあるよねー。
ずるずると連れてかれていた。
あーあ。ありゃ、喰ってくださいって言ったな。
うん。言った。
確実だな。
あたしが教えた『お菓子くれないイタズラするぞ』は兄さんが言うと『お菓子の代わりに僕を食べて』にしか聞こえない。
可愛いからなー。ウチの兄さん。
今年のハロウィンも眼福眼福。
お菓子よりも甘くて、美味しいのはやっぱコレだよね!
「静ちゃん。ケーキ取ってきた。食べる?」
「にゃははっ。今はいっかな~。お腹いっぱーい」
「?」
あたしだけの美味しい秘密♪
********
詩音です。お久しぶりです。
オチなしごめんなさい。
今日、ハロウィンじゃん!と朝に気づいて仕事の合間に急いで書きました!なので、クオリティ低いです。すみません!
これからぼちぼち、更新して行こうと思いまーす。
宜しくお願いします。
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