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3章
6.訪問内容
しおりを挟むキーンコーンカーンコーン
ようやく放課後。
隣には前の席に陣取った担任の一ノ瀬先生とニコニコバチバチ火花を散らす海渡が。
あくまでもニコニコしている。
「···何の用ですか?一ノ瀬先生」
「沖江ー。そんな顔されると先生悲しぃな?」
「こんな顔にするのはどこの誰だろうな」
「まぁまぁ、そんな警戒することもないじゃない。俺としては2人に交渉に来てるんだから」
「何の交渉ですかね?」
「もうー。さっきも言っただろう?···同じ日なのは隣同士らしいから別に良いんだけど、俺としては沖江の家行ってから瑠衣の家に行きたいんだけどさぁ?」
そう。一ノ瀬先生の交渉は家庭訪問の日程のこと。
僕達の当初の希望は宮代家→沖江家で時間は最終。時間に関しては午後14:00頃まではお仕事の電話対応があるらしく、沖江家で先生の対応をしてくれる凪さんの要望で念の為最終ということになった。
「すみませんね。当日、俺の家で先生の相手してくれる人が兄しかいないんですよ。その兄の仕事事情で最終にして頂きたいのですが?」
「んー。じゃあ別の日とかは?」
「無理ですね」
「瑠衣の家は?」
「僕の家も基本は家族みんないるんですけど、なんかお母さんがふぇす?とかなんとかので色々忙しいらしくて···。その日しか難しいんです」
「そっかー······」
「一ノ瀬先生。他にその日のその時間にして欲しいって生徒は居なかったんでしょう?なら、別に構わないでしょう」
「まぁ······って、なんでそれを」
「?」
「······あくまでも知らない···か。はぁ、まぁ良いけどさ。分かった、今回は俺の負け。
了解したよ。親御さんに宜しくね」
「なら良かったです。話し終わったんで帰りますね。
······瑠依ちゃん、帰ろうか?」
「う、うん」
話が終わると途端に海渡の甘くなる声。
この変わりようはどうにかならないものかな?
周りの女の子たちの視線が怖いし。
「あ、でもどうして先生はその日程が良かったんですか?」
「ん?なんでって瑠衣の家を最後にすれば親御さんとじっくり話が出来るかなーと思って」
「え···?」
ま、まさか、、僕学校で何かやらかした······?
「な、なんの話を···」
「あぁ······夏休みの小論文の宿題がね···」
「え、ま、まさか···」
あまりにも文法に欠けてたとか?それとも小論文になってなかったとか?え、もしかして句読点ついてなかったとこが多かったとか?
「完璧」
「······は?」
「完璧だったよー。まあ、表現の乏しい所はちょこっとあったけど、それ以外はよくあの観点に目をつけたなぁと国語担当としては感心してね···今度の小論文のコンクールとかどうかなと」
「···?」
「あれ?実感してない感じ?」
小論文のコンクール······うーん。面倒。
高校入学までにも結構その手の話しあったんだけど、文の構成を考えるのも、文の内容を考えるのも色々と面倒で断ってきた案件だ。
「すみません。僕、そういうのはちょっと···」
「えぇ?大学進学の内申点とかで結構有利だと思うけど」
「んー···その話はまた後でいいですか?」
「まぁ···。じゃあ、その件も含めた内容で訪問するけど大丈夫か?」
「はい、そこは大丈夫です。ただ今すぐには考えられないと言うか···少し考えたいと言うか······」
確かに進学には有利かもしれない······でも。
······文を書くのは、、ちょっと···。怖い。
「まぁ、それは瑠衣の自由だからね。無理強いはしないし、瑠衣は内申も悪くないし、ちょこーっと言うと数学のテストがヤバめかな☆って感じ?」
「ちょ、先生!」
「んじゃ、道草食わずに高校生は早く帰るんだぞー」
そう言い残して一ノ瀬先生はスタコラと教室を出てった。
なんか僕だけ成績がバレた気がする···!
「個人情報の漏洩は犯罪だよ?殺ろうか?」
「······殺人予告も犯罪だろ?」
にこにこして言うことじゃありません!!
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ぽん 様
[訂正板]
ご指摘ありがとうございます。
先程158センチの42キロも返信させていただきましたが、すみませんこれも訂正させて頂きます。158センチの52キロです。ほんとに毎度毎度申し訳ありませんm(__)m。
これもよろしくお願いします!!
…犯罪ですよ。こ、小型カメラ1日で作るとか…ヤバイ。
ていうか、なんか、えっと…怖いです。笑笑
セン 様
ご感想ありがとうございます!!
そーですよね・・・海渡はヤンデレ感のある変態と言った方が正しいかも知れません(笑
タグに追加して置きました。ご指摘ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします!