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3章
5.無意識
しおりを挟む「海渡っ、海渡っ」
思わず殴っちゃった······。
海渡は意識を完全に飛ばしちゃってるのか白目で半目だ。
イケメンもこんな顔するのか······。
いくら思わずとはいえ、日頃の癖とはいえ、さっきのは本当に痛かっただろう。まぁ、海渡の日頃の行いが悪かったせいでもあるんだけど······。
横からはジトーっと僕を見る目が3対。
「瑠衣ちゃん······」
「お兄ぃ······」
「兄さん······」
し、仕方ないじゃないかっ。
そんな目で僕を見るなーーー!見ないでっ!(泣)
✻✻✻✻ ✻✻✻✻ ✻✻✻✻ ✻✻✻✻
と言うのが昨日の話。
「海渡······ほんとごめんね」
いつものこととは言え、また海渡のことを傷つけたんじゃってあのあと凄く心配だった···。(物理的には確実にダメージ与えてる)
「瑠衣ちゃん、もういいよ」
「でも······」
海渡は何故かいつもよりにこにこしてる気がするけど。
「瑠衣ちゃん。俺、嬉しいんだ」
「······殴られるのが?···海渡がそんな趣味持ってたなんて······知らなか―
「違います!」
海渡は僕が言い終える前に断言した。
うーん?でも前に僕に殴られるのも嬉しいって言ってなかったけ?
······やっぱり···。
「確かに瑠衣ちゃんがくれるものは何でも嬉しいいんだけど···」
拳でもか······。
僕は海渡と少し距離をとる。
慌てて海渡は言葉を続けた。
「瑠衣ちゃんが俺を認めてくれたことが凄く嬉しいんだ」
······僕が?
「ははっ、······うん。瑠衣ちゃんは無自覚なんだろうけど、最近は俺の理性が耐えらんないくらい。俺のこと認めてくれてるんだよ?まぁ、まだギリギリ保ってるけど」
「嘘···」
「嘘じゃないよ」
「そ、そんなことないっ」
「そんなことあるよ。無意識なのに俺のこと意識しちゃってるでしょ?」
え······どういうこと?
「最近、俺の事よく見てるよね。目が合うと少し赤くなって目を逸らしちゃうけど。それに手も繋いでくれるようになったし、俺の言動の一々を、俺の言動の意味を理解して受け入れてくれる。これはほんの一部でしかないけど、いっぱい俺の事理解してくれようとしてるのが凄く嬉しいんだ···。ごめんね、歪んでて。瑠衣ちゃんが好きすぎて、大好きだから、自分に歯止めかかんなくて。···まぁ、それは瑠衣ちゃんのせいでもあるんだけどね」
「だから、俺のことは心配しなくて大丈夫だよ!それよりも瑠依ちゃんは自分の身を守って?思わず俺が襲いかかったときに存分に抵抗してください。分かった?」
つまりは海渡が言いたいのはー。
······馬鹿でしょ。なんなの、?こいつ······。
「······ふふ。分かった!じゃあ、これからも嫌だったら全力で拒否させて貰いますっ。······まぁ、急所はなるべく避けるようにはしてあげるから」
「·······っ、あ、ありがとう?」
「どういたしまして?」
「······ぷ」
「······ふっ」
「「ふはははははっ」」
本当にこの犬は僕のこと大好きすぎるでしょ···。
呆れるけど、ちょっと気分がいい。これがつかの間の恋愛だとしても海渡の思いが凄く嬉しい。って、僕目が合っただけで赤くなって目を逸らすとかそんなことしてないからね!確かに目は逸らした気はするけど。
2人して朝から大声で笑っていたことでご近所さんに微笑ましげに見られてしまったけれど、海渡とまたギクシャクしなくて良かった。···家庭訪問、無事に終わるといいな。
「それじゃあ、学校行こうか」
「ふふっ。うん!」
「手繋ぐ?」
「馬鹿なの?」
「うっ······可愛い」
「変態」
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