ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

文字の大きさ
上 下
59 / 64
3章

1.帰ってきた変態

しおりを挟む


恋人って何だと思いますか?

好きな人?
両想いで互いに愛し合ってる人?
いつも常に一緒に居る人?

・・・・・・僕は分からない。



じゃあ、結婚って何?

恋人の延長戦?
恋人の進化系?
恋人の・・・恋人よりも強い関係?

・・・・・・やっぱり分からないや。
好きなら恋人?好きあってるなら恋人?
・・・婚約して、結婚して、子供が出来て?いや、子供が出来るかどうかはまた別の話としても・・・。

好きならそれで良いのかな・・・。


僕にはまだ、分からない。















***   ***   ***   ***   ***




「る~いっ!!」
「え?、わわっ!!」

登校中、後ろから僕に飛び付いてくるあいつ。
・・・変わらないな。

「あ~、これだこれ!!・・・癒されるなぁ」
「ちょっ、離してっ・・は、な、せっ!!」
「えーやだ」
「やだ、じゃないっ!!ちょっ、どこ触って」

あいつは僕の話も聞かないでべたべたと触ってくる。
・・・これは制裁を加えてもセクハラで正当防衛だから、大丈夫だな。被害者の僕を誰が責めようか。


ペシッ

「ハウスっ!!」

しゅんっと途端に尻尾が垂れ下がって耳がペタンと伏せられる。ふるふるしたその姿はほんとに・・・。

「・・・・・・反省した?」
「(コクコクコクコクコクコクコクッ)」
「・・・はぁ。
いいよ。でも、僕が嫌って言ったら止めてね?
・・・しつこいのは好きじゃないから」
「分かった。・・・でも、久しぶりだから・・・。
瑠衣ちゃんに会えたの嬉しくってつい・・・」
「・・・うん。僕も久しぶりに海渡に会えたの嬉しい」


あれは半年前。

夏休みが終わってすぐくらいに海渡は急に半年間の留学に行ってしまった。なんでも、沖江グループの企画がどうとかで未来を担う若い人材を育てるって名目でドイツに行ってしまった。

海渡も最初は嫌がってたんだけど、お義父さん・・・いや違うよ!?認めた訳じゃなくてね?

・・・鳴海さんに男性でも妊娠が可能になる薬を開発した以上は海渡には学ぶ責任があるって説得された形だ。僕も鳴海さんの意見に賛成してたし・・・。
それに・・・ほんとは海渡はもっと学びたいんじゃないかなって感じたから。

ふふ、図書館デートのときとかいつも僕を優先してくれたけど、興味のある本が目につくとチラチラ見てたの知ってるし。


でも考えてた以上に半年って長かった・・・。
ここ最近はずっと海渡のこと考えてたし・・・。と言うか、ずっと隣にいて・・・隣にいないってことが慣れなくて・・・。
・・・思ってた以上に僕は海渡が好きだったってことに気づいた。だから、あんまり海渡のこと言えないんだ。
寂しかったのは僕も同じだから・・・。



「海渡」
「何?瑠衣ちゃん」
「・・・・・・おかえり」
「っ!!・・・・・・ただいま」








***   ***   ***   ***   






「・・・・・・・・・と言うことで今年度も頑張っていきましょう!!このあとは新任の先生の紹介や各クラスの担任発表です。お楽しみに。ふぉっふぉっふぉっ」


いつもの校長先生の長ーい話を終え、僕たちは自分達のクラスに戻ってきた。
今年も海渡と同じクラスだった。
ホッとしたようなこれからが心配になるようなそんな心境だけど、友達増えるといいなぁ。

ガラッ

「みんな席に着いてー。
おはようございます。今年、このクラスを担当することになった一之瀬 龍臣です。24才、独身!趣味は工作かな?よろしくね♪」

あ、一之瀬先生だ。
ざわざわ。
予想してた通りにクラス内もざわつく。

「きゃーっ!当りだ!」
「・・・良かったぁ。しかもイケメンだし」
「やりー。一之瀬なら校則とか疎そうだしな」
「このクラス顔面偏差値高っ」
「お前を除くな(笑)」
「うるせー」
「はーい。静かにー。
それと三番目に発言したやつマイナスな」
「お、俺じゃねーし」
「よし、お前か」

どっとクラスに笑いが起こった。
・・・楽しいクラスになりそう。
去年は一之瀬先生にはかなりお世話になった。・・・いや、ご迷惑をおかけした・・・かな?
ほんとに今思うと何であんなケンカしちゃったんだろう。
バカみたい。

「ふふ」
「ん?どうした、瑠衣」
「あ、何でもないです」

・・・あれ?
みんなが僕の方に注目してる・・・・・・?
・・・あ、違った。
僕の後ろに注目してた。

僕の席は一番窓側の列の3番目。
その後ろが・・・・・・海渡の席。

「・・・ねぇ、なんであいつ瑠衣ちゃんのこと呼び捨てにしてんの?ねぇ、なんであいつが担任なの?と言うか瑠衣ちゃんもなんでそんなに親しげに・・・」

ぶつぶつ聞こえる。
なんか・・・・・・怖いよ?海渡・・・・・・。

「沖江君、どうしたのかな?
先生のこと・・・そんなに嫌いなのかな?傷つくなぁ」
「は、嫌い・・・・・・?そうだね。今すぐ消えて?俺の瑠衣ちゃんに話しかけないで?汚れるから」

おいおいおいおい・・・ヤキモチだとしても重いぞ。
それに凄く怖いんだけど・・・。

「なるほどねー。でも俺、先生だし?
みんなと仲良くしたいし」
「じゃあ、俺と瑠衣ちゃん以外と仲良くしなよ」
「みんなとって言ってるじゃん♪そのみんなには瑠衣も沖江も含まれてんだから―」
「じゃあ、俺と瑠衣ちゃんは含めないで?」
「それは無理だな♪」

バチバチバチッ

・・・・・・なんのケンカを見せられてるんだろうね。
目が笑ってない海渡と笑顔で受け答える一之瀬先生。
・・・似た者同士?
クラスのみんなもびっくりして凍りついてるよ・・・。





「はーい、てことでみんなよろしく!
そして今年も恒例の家庭訪問があるから、今から配布する紙に希望の日付を書いて提出な」

この状況をまとめるには無理矢理過ぎる気がする。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

処理中です...