ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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3章

1.帰ってきた変態

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恋人って何だと思いますか?

好きな人?
両想いで互いに愛し合ってる人?
いつも常に一緒に居る人?

・・・・・・僕は分からない。



じゃあ、結婚って何?

恋人の延長戦?
恋人の進化系?
恋人の・・・恋人よりも強い関係?

・・・・・・やっぱり分からないや。
好きなら恋人?好きあってるなら恋人?
・・・婚約して、結婚して、子供が出来て?いや、子供が出来るかどうかはまた別の話としても・・・。

好きならそれで良いのかな・・・。


僕にはまだ、分からない。















***   ***   ***   ***   ***




「る~いっ!!」
「え?、わわっ!!」

登校中、後ろから僕に飛び付いてくるあいつ。
・・・変わらないな。

「あ~、これだこれ!!・・・癒されるなぁ」
「ちょっ、離してっ・・は、な、せっ!!」
「えーやだ」
「やだ、じゃないっ!!ちょっ、どこ触って」

あいつは僕の話も聞かないでべたべたと触ってくる。
・・・これは制裁を加えてもセクハラで正当防衛だから、大丈夫だな。被害者の僕を誰が責めようか。


ペシッ

「ハウスっ!!」

しゅんっと途端に尻尾が垂れ下がって耳がペタンと伏せられる。ふるふるしたその姿はほんとに・・・。

「・・・・・・反省した?」
「(コクコクコクコクコクコクコクッ)」
「・・・はぁ。
いいよ。でも、僕が嫌って言ったら止めてね?
・・・しつこいのは好きじゃないから」
「分かった。・・・でも、久しぶりだから・・・。
瑠衣ちゃんに会えたの嬉しくってつい・・・」
「・・・うん。僕も久しぶりに海渡に会えたの嬉しい」


あれは半年前。

夏休みが終わってすぐくらいに海渡は急に半年間の留学に行ってしまった。なんでも、沖江グループの企画がどうとかで未来を担う若い人材を育てるって名目でドイツに行ってしまった。

海渡も最初は嫌がってたんだけど、お義父さん・・・いや違うよ!?認めた訳じゃなくてね?

・・・鳴海さんに男性でも妊娠が可能になる薬を開発した以上は海渡には学ぶ責任があるって説得された形だ。僕も鳴海さんの意見に賛成してたし・・・。
それに・・・ほんとは海渡はもっと学びたいんじゃないかなって感じたから。

ふふ、図書館デートのときとかいつも僕を優先してくれたけど、興味のある本が目につくとチラチラ見てたの知ってるし。


でも考えてた以上に半年って長かった・・・。
ここ最近はずっと海渡のこと考えてたし・・・。と言うか、ずっと隣にいて・・・隣にいないってことが慣れなくて・・・。
・・・思ってた以上に僕は海渡が好きだったってことに気づいた。だから、あんまり海渡のこと言えないんだ。
寂しかったのは僕も同じだから・・・。



「海渡」
「何?瑠衣ちゃん」
「・・・・・・おかえり」
「っ!!・・・・・・ただいま」








***   ***   ***   ***   






「・・・・・・・・・と言うことで今年度も頑張っていきましょう!!このあとは新任の先生の紹介や各クラスの担任発表です。お楽しみに。ふぉっふぉっふぉっ」


いつもの校長先生の長ーい話を終え、僕たちは自分達のクラスに戻ってきた。
今年も海渡と同じクラスだった。
ホッとしたようなこれからが心配になるようなそんな心境だけど、友達増えるといいなぁ。

ガラッ

「みんな席に着いてー。
おはようございます。今年、このクラスを担当することになった一之瀬 龍臣です。24才、独身!趣味は工作かな?よろしくね♪」

あ、一之瀬先生だ。
ざわざわ。
予想してた通りにクラス内もざわつく。

「きゃーっ!当りだ!」
「・・・良かったぁ。しかもイケメンだし」
「やりー。一之瀬なら校則とか疎そうだしな」
「このクラス顔面偏差値高っ」
「お前を除くな(笑)」
「うるせー」
「はーい。静かにー。
それと三番目に発言したやつマイナスな」
「お、俺じゃねーし」
「よし、お前か」

どっとクラスに笑いが起こった。
・・・楽しいクラスになりそう。
去年は一之瀬先生にはかなりお世話になった。・・・いや、ご迷惑をおかけした・・・かな?
ほんとに今思うと何であんなケンカしちゃったんだろう。
バカみたい。

「ふふ」
「ん?どうした、瑠衣」
「あ、何でもないです」

・・・あれ?
みんなが僕の方に注目してる・・・・・・?
・・・あ、違った。
僕の後ろに注目してた。

僕の席は一番窓側の列の3番目。
その後ろが・・・・・・海渡の席。

「・・・ねぇ、なんであいつ瑠衣ちゃんのこと呼び捨てにしてんの?ねぇ、なんであいつが担任なの?と言うか瑠衣ちゃんもなんでそんなに親しげに・・・」

ぶつぶつ聞こえる。
なんか・・・・・・怖いよ?海渡・・・・・・。

「沖江君、どうしたのかな?
先生のこと・・・そんなに嫌いなのかな?傷つくなぁ」
「は、嫌い・・・・・・?そうだね。今すぐ消えて?俺の瑠衣ちゃんに話しかけないで?汚れるから」

おいおいおいおい・・・ヤキモチだとしても重いぞ。
それに凄く怖いんだけど・・・。

「なるほどねー。でも俺、先生だし?
みんなと仲良くしたいし」
「じゃあ、俺と瑠衣ちゃん以外と仲良くしなよ」
「みんなとって言ってるじゃん♪そのみんなには瑠衣も沖江も含まれてんだから―」
「じゃあ、俺と瑠衣ちゃんは含めないで?」
「それは無理だな♪」

バチバチバチッ

・・・・・・なんのケンカを見せられてるんだろうね。
目が笑ってない海渡と笑顔で受け答える一之瀬先生。
・・・似た者同士?
クラスのみんなもびっくりして凍りついてるよ・・・。





「はーい、てことでみんなよろしく!
そして今年も恒例の家庭訪問があるから、今から配布する紙に希望の日付を書いて提出な」

この状況をまとめるには無理矢理過ぎる気がする。
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