ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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2章

21.僕の返答

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つまりはあの僕が変になっちゃった原因は巳波さん・・・・・・ってこと?僕の方に頭を下げたままの巳波さん。

「あの、頭を上げて下さい」
「・・・すまなかった」

そう言って頭を上げる様子のない巳波さん。
うーん、イマイチ理解できないけど・・・。さっき海渡の話では巳波さんにとって知られたくないこと・・・。だったら詳しく問いただすのは良くないよね・・・。
それに、媚薬の件は変な感じになったけど・・・気づいたこともある。・・・海渡のあんな顔、初めて見た。


「巳波さん・・・。・・・・・・ありがとうございました」
「・・・は?」
「・・・海渡のこと、恋愛感情の意味で好きって気づけたのはもちろん凪さんのおかげですが、巳波さんのおかげでもあります。・・・媚薬の一件で、僕が知らなかった海渡の一面を見たから。・・・だから、それもあるんです。ありがとうございました」
「なっ、、」
「もし、あれが無かったら・・・。きっと僕はまた気づかないふりをしたと思います・・・。でも、やっぱり海渡は僕のこと好きなんだって、本気で好きなんだって思えたから。だから許します」

・・・・・・あれ?僕、おかしなこと言ったかな・・・?
巳波さんはぽかんとしてこっち見てるし、凪さんは目頭抑えてうつ向いてるし、海渡は・・・死んでる?

「瑠衣ちゃん・・・・・・!瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん瑠衣ちゃん!!酷いっ!このタラシ!瑠衣ちゃんのタラシ!」
「は?」
「瑠衣ちゃん・・・・・・本当に素直で優しいね。僕は君の義兄になれることにとても喜びを覚えるよ」
「・・・凪さん・・・?」
「瑠衣・・・。すまない。媚薬の件は俺が悪いが、今の発言は瑠衣が悪い。海渡がこんななるのも分かる」
「えぇ?」

なんか・・・僕が悪いみたいになってる・・・・・・。
ほんとのこと言っただけなんだけどな・・・。

「ははっ、でも、ありがとな。
・・・俺、家を出てもお前らのことは忘れない」
「・・・え?」

しばらくして巳波さんが口を開いた。
とても穏やかな笑顔でそう言った。

「母さんには相談してた。そろそろ毎週帰ってくるのは止めようかなって・・・親離れか?そんな感じ。だから、今回瑠衣がウチに泊まりにくる間の期間で帰ってくるのは最後にしようと思っていた。

・・・媚薬のこと。ほんとにごめんな。余計なお節介ってのは分かってたんだが、お前らのこと見てられなくてつい手を出した。母さんもノリノリで手伝ってくれたから、一応母さんも共犯ってことだけは忘れないでくれよな?

ってことで・・・・・・え」


そのとき僕は海渡から目を離してしまっていた。巳波さんが海渡を凝視しているのを見て海渡の方に視線を向けると―。

「兄さん、言うことはそれで終わり?」

にこにこと例の爆弾を持っていた。

「か、か、海渡!?・・・ちょ、わ、待て!!」
「海渡!ダメだよ!危ないよ!」
「うん。だから瑠衣ちゃんは俺の後ろにいて?」

僕は海渡に引っ張られて、海渡の後ろに引き寄せられてしまった。もちろん僕も腕力には自信はあるけど、僕よりも腕の太い海渡に叶うはずなんかなくて海渡と巳波さんの間に割り込もうとすら出来ない。

「・・・・・・なんてね?俺が瑠衣ちゃんのいるところで爆発させるわけないでしょ?ねー、凪兄さん」
「そうだね。冷静になれば分かることだよ?巳波。ふふ」

え・・・?
そう言うと海渡は爆弾を持つ手を下げた。凪さんは平静としてにこにこ微笑んでいる。

「・・・驚かすなよ・・・。マジで俺、死んだと思ったわ」
「うん。だからこれは兄さんにあげるよ。好きに使えばいいと思う。威力は弱めてあるから、早くて3日で回復するよ」
「・・・は?俺に?」
「まぁ、巳波。餞別だと思って貰ってあげれば?」
「うん。そのつもりで渡してるんだけど・・・」

巳波さんは受け取ろうかどうしようか迷っているようだった。
そうだよね・・・。そんな物騒なもの貰ったら、僕だって受けとるべきか警察に通報するべきか迷うよ・・・。まぁ、警察に通報したところで海渡だからな。

「・・・・・・分かった。受け取っておく・・・」
「うん。それと、兄さん」
「ん?」

海渡は巳波さんに近づいていった。

「・・・瑠衣ちゃんに手出したら・・・どうなるか分かるよね?だめだよ?瑠衣ちゃんは俺のだから」

何やら巳波さんの耳元で囁いた。
・・・あれ?巳波さん青ざめてる・・・・・・?

「ちょ、海渡!巳波さんになに言ったの!?」
「何でもないよ。瑠衣ちゃん、愛してる」
「は、、?ふ、今はふざけるときじゃないよ!」
「うん。ふざけてないから。愛してる」
「・・・僕らは何を見せられてるんだろうねー。微笑ましいけど、ちょっと複雑?」
「そ、そうだよなー・・・」
「兄さん・・・さっき言ったこと、忘れないでね?」
「ヒッ、、わ、分かってる!」


・・・・・・海渡はほんとに何て言ったんだろ・・・。
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