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2章
17.キス
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気づいてしまった・・・・・・。
凪さんから迫られてあんなに嫌悪感があったのに、何故海渡からされても嫌でなかったのか・・・。
いや、ちょっと待って?
もしかしたら『慣れ』ということも・・・。いや、あんなことに慣れて堪るか!でもそれなら説明が・・・。
「・・・・・・瑠衣ちゃん?」
あ、、。
少し顔をあげると、こちらを振り向こうとしている海渡の横顔があった。思わず海渡の頬を後ろから両手で挟んで、前を向かせた。
「ぐえっ」
「あ、ごめっ・・・」
首痛めたかな・・・?いや、今はそのことじゃなくて!
僕は自分が行動したのに、訳分からなくてそのままイスに座る海渡の背中に額を伏せた。
「・・・・・・瑠衣ちゃん」
「待って!・・・・・・ちょっと、混乱してる」
「・・・・・・うん。いいよ。大丈夫」
海渡は静かにそう言った。
「・・・・・・僕、分からなかったんだ。
海渡のことは好きだよ?それは友達として好きってことは確かで、恋人とか恋愛とか、そう言う好きとは違うんだっ」
「うん」
「っ・・・。でも、、海渡に・・・キスとかされて嫌じゃなかったんだ。嫌だったけど、嫌悪って言うか・・・結婚してって言われた後も言われる前と同じだったんだよ。・・・なんて言えば良いのかな?別に軽視してたわけじゃなくて、重んじてなかったわけじゃなくて・・・」
「分かってるよ?」
「・・・うん。でも同姓なんて・・・無理だし・・・それに、幼馴染の海渡となんてなおさら無理だと思った。・・・今までの関係とか全部壊れちゃうんじゃって・・・。でも、単純なことだったんだっ・・・・・・」
「うん・・・。大事なことだけどね・・・」
「・・・うん」
「俺も自分勝手で、自分の気持ち押し付けてたからなおさら。瑠衣ちゃんも分かんなくなっちゃったよね・・・。それでも瑠衣ちゃんは友達として居てくれるから、甘えちゃった」
「・・・僕、海渡のこと好きだよ・・・。・・・・・・恋愛の方で・・・でもまだ結婚とか恋人とかそんな関係になるのはちょっとハードル高いって言うか・・・・・・」
そう。
僕が僕の気持ちに気づいて、一番困惑してるのは関係の変化。・・・今まで友達として付き合ってたのに明日から恋人とか・・・今から恋人とか。分からないから。
「ふふ、瑠衣ちゃんは慎重だね。いいよ。俺もそれで良いと思う。・・・でも、恋人にはなってほしい。だめ?」
「っ・・・?・・・・・・だめ、じゃないけど・・・」
「もちろん、今まで通りの関係でいいよ。いきなり何しようとかは言わない。デートじゃなくて、遊びに行こう?でいい。恋人だから、ナニしてとかは我慢するし」
「・・・。そのナニにはナニが含まれてるんだ・・・」
「ふふ、まぁ、徐々に恋人になろうよ。ね?」
・・・ほんとに僕は海渡に甘いと言うか・・・。
海渡は僕の手を自信の両手で包むとゆっくり外した。コロコロと海渡が椅子を回す。僕は額を支える背中がなくなって、うつ向いた。
海渡がこちらに体を向けたようだ。
「瑠衣ちゃん、ありがとう。それとごめんね・・・。ほんとに俺、待てが出来ないからさ。好きだよ」
「っ―!・・・・・・ばか」
僕は恥ずかしくなって海渡の肩に顔を伏せた。僕の髪が顔に触れて擽ったいのか、海渡はくすくす笑っている。
「でも、どうしたの?急に・・・。地下に来るなんて」
「あ、あぁ、はっきり言って凪さんや巳波さんが海渡の発明でどうなろうと知ったことなかったんだけど・・・。あんないい人たちを危険な目に合わせるのはやっぱり忍びないなと・・・・・・」
「・・・どんな心境の変化があったの」
「ふふ。でも良かった、かも?」
「何が?」
「・・・・・・気づけたから?」
「そっか」
海渡がすごく優しい笑顔をこちらに向ける。
・・・・・・凪さんも巳波さんも容姿端麗だけど、やっぱり海渡が一番カッコいいと思う。
「ほんとに凪さんには感謝しかないよ。ふふ。
凪さんじゃダメで、海渡なら嫌じゃない・・・むしろ嬉しいって思えることの違いを教えてもらったようなもんだから」
「ふーん・・・・・・。
何が、凪兄さんがダメで、俺なら良かったの?」
「・・・・・・キス、、?」
「・・・兄さんがしたの?キス」
「え、、」
あ、空気変わってる・・・。
海渡の背後に黒いオーラが見える・・・。
「ち、違うよ!されてない!・・・嫌だったんだってば!される直前で、体が勝手に動いたって言うか・・・」
「へぇ?」
「思えば、海渡にキスされたことなんて数えられないくらいあるだろ!?だから、なんで海渡は許せて凪さんはって・・・」
「・・・俺、毎回する度に痛い思いしてたんだけど」
「うっ・・・。多分、海渡には心から心を許してるのかなって・・・?される前に突き飛ばしちゃったし・・・凪さんには申し訳な―」
「でも、まさかあの凪兄さんが瑠衣ちゃんに手を出すなんてなー。巳波兄さんなら手を出すなんてもんじゃすまないだろうし・・・。これは凪兄さんに感謝するべきか、すぐに牽制しに行くべきか・・・」
そう言って海渡は体を斜めにして手元の『何か』を弄り始めた。
これはほんとにヤバいんじゃ・・・・・・?
「海渡っ―チュウッ・・・・・・だめだよ。止めて?」
う~・・・・・・恥ずかしい。
僕は海渡の頬に軽くキスした。
僕からなんて初めてだし、キスってどうしたらいいとか全く分かんないし、ぐるぐるだけど・・・・・・。
「ね?」
「・・・・・・瑠衣ちゃん、ほんと狡い・・・」
海渡はその場で頭を抱えた。
・・・でも、なんとか抑えてくれたみたい。良かった。
凪さんから迫られてあんなに嫌悪感があったのに、何故海渡からされても嫌でなかったのか・・・。
いや、ちょっと待って?
もしかしたら『慣れ』ということも・・・。いや、あんなことに慣れて堪るか!でもそれなら説明が・・・。
「・・・・・・瑠衣ちゃん?」
あ、、。
少し顔をあげると、こちらを振り向こうとしている海渡の横顔があった。思わず海渡の頬を後ろから両手で挟んで、前を向かせた。
「ぐえっ」
「あ、ごめっ・・・」
首痛めたかな・・・?いや、今はそのことじゃなくて!
僕は自分が行動したのに、訳分からなくてそのままイスに座る海渡の背中に額を伏せた。
「・・・・・・瑠衣ちゃん」
「待って!・・・・・・ちょっと、混乱してる」
「・・・・・・うん。いいよ。大丈夫」
海渡は静かにそう言った。
「・・・・・・僕、分からなかったんだ。
海渡のことは好きだよ?それは友達として好きってことは確かで、恋人とか恋愛とか、そう言う好きとは違うんだっ」
「うん」
「っ・・・。でも、、海渡に・・・キスとかされて嫌じゃなかったんだ。嫌だったけど、嫌悪って言うか・・・結婚してって言われた後も言われる前と同じだったんだよ。・・・なんて言えば良いのかな?別に軽視してたわけじゃなくて、重んじてなかったわけじゃなくて・・・」
「分かってるよ?」
「・・・うん。でも同姓なんて・・・無理だし・・・それに、幼馴染の海渡となんてなおさら無理だと思った。・・・今までの関係とか全部壊れちゃうんじゃって・・・。でも、単純なことだったんだっ・・・・・・」
「うん・・・。大事なことだけどね・・・」
「・・・うん」
「俺も自分勝手で、自分の気持ち押し付けてたからなおさら。瑠衣ちゃんも分かんなくなっちゃったよね・・・。それでも瑠衣ちゃんは友達として居てくれるから、甘えちゃった」
「・・・僕、海渡のこと好きだよ・・・。・・・・・・恋愛の方で・・・でもまだ結婚とか恋人とかそんな関係になるのはちょっとハードル高いって言うか・・・・・・」
そう。
僕が僕の気持ちに気づいて、一番困惑してるのは関係の変化。・・・今まで友達として付き合ってたのに明日から恋人とか・・・今から恋人とか。分からないから。
「ふふ、瑠衣ちゃんは慎重だね。いいよ。俺もそれで良いと思う。・・・でも、恋人にはなってほしい。だめ?」
「っ・・・?・・・・・・だめ、じゃないけど・・・」
「もちろん、今まで通りの関係でいいよ。いきなり何しようとかは言わない。デートじゃなくて、遊びに行こう?でいい。恋人だから、ナニしてとかは我慢するし」
「・・・。そのナニにはナニが含まれてるんだ・・・」
「ふふ、まぁ、徐々に恋人になろうよ。ね?」
・・・ほんとに僕は海渡に甘いと言うか・・・。
海渡は僕の手を自信の両手で包むとゆっくり外した。コロコロと海渡が椅子を回す。僕は額を支える背中がなくなって、うつ向いた。
海渡がこちらに体を向けたようだ。
「瑠衣ちゃん、ありがとう。それとごめんね・・・。ほんとに俺、待てが出来ないからさ。好きだよ」
「っ―!・・・・・・ばか」
僕は恥ずかしくなって海渡の肩に顔を伏せた。僕の髪が顔に触れて擽ったいのか、海渡はくすくす笑っている。
「でも、どうしたの?急に・・・。地下に来るなんて」
「あ、あぁ、はっきり言って凪さんや巳波さんが海渡の発明でどうなろうと知ったことなかったんだけど・・・。あんないい人たちを危険な目に合わせるのはやっぱり忍びないなと・・・・・・」
「・・・どんな心境の変化があったの」
「ふふ。でも良かった、かも?」
「何が?」
「・・・・・・気づけたから?」
「そっか」
海渡がすごく優しい笑顔をこちらに向ける。
・・・・・・凪さんも巳波さんも容姿端麗だけど、やっぱり海渡が一番カッコいいと思う。
「ほんとに凪さんには感謝しかないよ。ふふ。
凪さんじゃダメで、海渡なら嫌じゃない・・・むしろ嬉しいって思えることの違いを教えてもらったようなもんだから」
「ふーん・・・・・・。
何が、凪兄さんがダメで、俺なら良かったの?」
「・・・・・・キス、、?」
「・・・兄さんがしたの?キス」
「え、、」
あ、空気変わってる・・・。
海渡の背後に黒いオーラが見える・・・。
「ち、違うよ!されてない!・・・嫌だったんだってば!される直前で、体が勝手に動いたって言うか・・・」
「へぇ?」
「思えば、海渡にキスされたことなんて数えられないくらいあるだろ!?だから、なんで海渡は許せて凪さんはって・・・」
「・・・俺、毎回する度に痛い思いしてたんだけど」
「うっ・・・。多分、海渡には心から心を許してるのかなって・・・?される前に突き飛ばしちゃったし・・・凪さんには申し訳な―」
「でも、まさかあの凪兄さんが瑠衣ちゃんに手を出すなんてなー。巳波兄さんなら手を出すなんてもんじゃすまないだろうし・・・。これは凪兄さんに感謝するべきか、すぐに牽制しに行くべきか・・・」
そう言って海渡は体を斜めにして手元の『何か』を弄り始めた。
これはほんとにヤバいんじゃ・・・・・・?
「海渡っ―チュウッ・・・・・・だめだよ。止めて?」
う~・・・・・・恥ずかしい。
僕は海渡の頬に軽くキスした。
僕からなんて初めてだし、キスってどうしたらいいとか全く分かんないし、ぐるぐるだけど・・・・・・。
「ね?」
「・・・・・・瑠衣ちゃん、ほんと狡い・・・」
海渡はその場で頭を抱えた。
・・・でも、なんとか抑えてくれたみたい。良かった。
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