ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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2章

16.変化

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・・・・・・さっきのはなんだったんだろ・・・。
僕はあのあと、凪さんに戻っていいと告げられて何が何やら分からず混乱しながら凪さんの部屋を後にした。

「・・・・・・どう言うことなんですか・・・?」

凪さんの言っている意味が分からない。
僕は大丈夫って・・・。
何が大丈夫なんだろう。海渡への気持ち、全然分からなくって全く大丈夫じゃないのに・・・・・・。またケンカになったら・・・?
・・・・・・そんなの、、嫌だよ。







一階のダイニングルームを通って、キッチンに入ると巳波さんがいた。水につけて置いたお皿が無くなってる・・・。よく見ると、巳波さんがお皿を持っていた。

「え、お皿洗っといてくれたんですか!?」
「うん。何か問題あった?」
「いえ・・・、その、ありがとうございます・・・。すみません」
「別に謝ることじゃないだろ?・・・で?」
「はい?」

巳波さんは最後のお皿を食洗機に入れると僕に向き直った。腕を組んで、食器棚に寄りかかる。

「兄貴のとこ。行ってたんだろ?」
「・・・そうですが何か?それより、体調は大丈夫なんですか?」
「ふ、あぁ。・・・何を話した?」
「・・・・・・別に。巳波さんには関係ない」

・・・凪さんの話だと巳波さんや海渡は凪さんが養子だと言うこと知らない。・・・話せるわけない。
どれくらい僕と巳波さんは黙っていたかは分からない。
僕は何も言えないから、巳波さんと目を合わせないように外方を向いていたし、巳波さんは僕が話し出すのを待つかのようにじっとこっちを見てたみたいだし。

「分かった。いい。問い詰めた所で、瑠衣は口が固いから何も言わないだろうしな・・・」
「・・・はい」
「でも、抜けてるとこあるから少しは口を滑らすかとも思ってたんだけどなぁ・・・」
「・・・はい?」
「ふふ。なんてな?冗談だ。それともう『さん』なんてつけなくていいぞ?俺に対する不快感が口調に現れてる、いっそ呼び捨ての方が安心するしな」
「あ、、」

確かにさっきから僕は巳波さんに敬語のようなタメ口のような、そんな言葉を使ってた気がする。

「・・・いえ、巳波さんで良いです」
「なんで?」
「・・・・・・海渡とは違うから・・・」
「・・・ふーん、なるほどな」
「・・・何、ニヤついてるんですか?」
「いーや?はぁ、、」

巳波さんはため息をついた。
・・・ため息つきたいのは僕の方なんですが。

「分かった、分かったから。そう不機嫌にならないでくれる?俺もそこまで図々しくねぇよ。弟の嫁に嫌われたくねーし」
「は、、?嫁って・・・。僕は海渡と結婚なんて―」
「ははっ、分かってる。結婚はまだ早かったよなっ、ははっ、いや~ほんと、これだから兄ちゃんとしてお前らの背中押してやりたくなる」

そう言って、巳波さんは僕の頭をポンッと撫でるとキッチンから出ていった。
・・・凪さんも巳波さんもどう言うことですか?
僕は何が何やら分からなくてその場に立ち尽くしてしまった。・・・沖江家の人はなんでこんな人たちばかりなの・・・?


あ、それよりも海渡・・・・・・!
早く止めなくちゃ、凪さんや巳波さんが危ないかもしれない・・・!今まではどうでもいいやって思ってたけど、あんな家族思いな凪さんを危険な目に合わせるわけにはいかない・・・!
僕はいてもたってもいられず、研究室だと言う地下に向かった。












地下に降りると、薄っすらと電灯が点いていてまっすぐ通路があった。左右に二部屋ずつある。そのうち、一番奥の部屋は電気がついていた。
・・・多分、あそこが海渡の―。
研究室。

今までの危険な発明はここで生まれてきたんだろうな・・・。ある意味感心すると言うか・・・いやいや!あれは犯罪だから!
そっとその部屋に近づく。
中からは何も音はしない。・・・ん?海渡の声は聞こえる・・・。何かぶつぶつ言ってるみたいで上手く聞き取れないけど・・・。
・・・入るべきは入らないべきか・・・・・・。
いや、ここは平和的解決を目指して!

コンコンッ!
僕は強く二回、ノックした。
中から聞こえる海渡の声は途切れない。・・・すごい集中力だな・・・。僕だったらこんなに一つのことに集中するなんて、出来ないよ・・・。

「・・・・・・海渡、入るよ」

そう言ってドアを開ける。
中は案外片付いていて、散らかってはいなかった。まぁ、机の上は色んなものでごちゃごちゃしてたけど。


「・・・海渡」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・だから、・・・・でも・・・・・・ん、、・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・っ・・・」

海渡は僕が入ってきたのも気づかない様子で、一心不乱にノートを書いていた。ぶつぶつと何かを呟きながら。
異様と言えば異様なその光景。
でも、少し、何て言えば良いのかな?
・・・安心してる。
海渡が一生懸命になるのはいつだって僕が関わってる。・・・媚薬のときだって、あんな真剣な表情で・・・。いつもの発明だって犯罪だけど、それも僕のことを好いてくれてるから。
・・・その狂った想いも、はっきり言うと嫌じゃない。むしろ・・・嬉しいと思ってたりする。

好き・・・なのかな・・・。
恋人同士が好き合うそんな好き。・・・でも、恋人みたいなのは無理だよ。ムリムリ。・・・凪さんに迫られたときだってあんなに嫌悪感があったのに。同姓なんて、しかも幼馴染の海渡となんて―。
・・・・・・キス、海渡からもされたことあるな・・・。
・・・思い返せば両手で数えられるくらいある。毎回僕が沈めるから、大事には至らなかったけど・・・。
でも・・・・・・嫌では無かった。かな?
え、、?
・・・あれ、、、・・・・・・それって―。





「海渡・・・・・・」

僕は思わず海渡の背中に抱きついた。
・・・混乱してる。

「っ・・・え、、、?る、瑠衣ちゃん・・・!?」
「・・・今気づいたの?」
「う、、うん・・・。えっと・・・え?」
「・・・・・・僕も、、今気づいた」
「・・・ん?」
「・・・・・・・・・・・・・好き、ってこと」
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