ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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2章

9.静かな食事

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午後7時。
宿題に切りがついたため、夕飯にすることにした。
もちろん凪さんと巳波さんにも声をかけた。鳴海さんに言われた通りにご飯はちゃんと食べてもらわないと駄目だ。最悪、部屋に持っていくこともできるけどご飯はみんなで食べた方がより美味しい。

そして――。

今、テーブルには僕と海渡、凪さんと巳波さんが向かって座ることになっていた。
呼びに行ったとき、巳波さんは寝ていた。ご飯を・・・って声をかけたら食べないと言うので、引きずってきた。本人から敬語は無しにしようと言われてたし、『お兄さん!早く来ないと怒るから!』とちょっと切れ気味に言わせてもらった。
凪さんは凪さんで声をかけても、応答が無かったため不可抗力でドアを外させてもらった。それから、無理矢理?巳波さんと同じように引きずって連れてきた。
(流石に階段ではこのまま引きずっられるか、自分で歩くか、選ばせてあげたけれど)

「ご飯はみんなで食べるのが一番ですから」

「・・・俺は瑠衣ちゃんと二人だけでも・・・・・・」
「俺、朝と夜は食べない派なんだよねー。あ、腹へったなと思ったら買い溜めしといたゼリーとか・・・・・・何でもないヨ。ははは」
「・・・・・・」

なんだこの兄弟はっ!!
イケメンなのは分かった。顔面偏差値すごいのも分かった。でもね?食べないってどうなの?ご飯はエネルギー源なんだよ?

「・・・この一週間の間は四人揃ってご飯を食べましょう。昼食は大目に見ましたが、、ちゃんと食べて下さいね?」

僕は比較的穏やかに言った。多分。
海渡と巳波さんの顔が引きつってたから失敗だったのかも。まぁ、『一日三食 朝・昼・晩 ご飯はしっかり食べましょう!!』は人間としての基礎だからね。

「「「・・・・・・はい(・・・・・・)」」」



・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


夕食の間ずっと沈黙だった。
凪さんは黙々ともぐもぐしてたし、巳波さんは早々と食べてお風呂に行った。海渡はずっとにやにやして時おり僕の方を見て、またにやにやしてた。

・・・・・・明日からは話題を考えとこ。





「ふんふんふーん♪ふふん~・・・・・・」
「瑠衣ちゃん♪・・・・・・瑠衣ちゃん~♪瑠衣~」

沈黙の夕食を終えて僕は食器を洗っている。僕の鼻歌に合わせて僕の名前をわんこの如く連呼しているのはもちろん海渡。
・・・・・・躾がなってないな。て、野良犬か。

「海渡。先、お風呂入っといで」
「一緒に入る?」
「馬鹿」

なんか隣でくぅんくぅん煩かったけど、無視したら大人しく行った。確か、犬には自分より下だって思わせちゃいけないんだよね。効果覿面でしたっと。
明日は朝どうしようかな・・・・・・。













「瑠衣ちゃんの部屋はこっちね」
「ありがと」
「で、俺の部屋は向かい側だから。寂しかったら夜這してきていいよ~♪」
「誰がそんなことするか!!バカ!!」


僕はお風呂上がりでぽかぽかしつつ、凪さんも巳波さんもお部屋に戻ってしまったので僕も今日は休むことにした。

今日も一日海渡は変わらずワンコでした。

日記に書くとしたらそんな感じかな?
明日は凪さんと巳波さんと・・・・・・もっと、話せるといいな。特に凪さん、今日は一言も口を聞いてない。
僕が小さい頃――佐紀さんは凪さんが僕を知ってるって言ってたけど――僕は凪さんと会った記憶はない。
記憶がないだけで、もしかしたら会ったのかも?






ん、・・・・・・なんか、熱い?


お風呂上がりでぽかぽかしてるのかと思えば、なんか――可笑しい。気のせい?でも・・・・・・。

「んっ・・・・・・ふ・・・・・・熱・・・・・・?」

可笑しい。
これは絶体可笑しい。体が熱くて、熱くて――。

「な、に・・・・・・これっ・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・アイツかっ!!
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