36 / 64
2章
2.そう言う訳で
しおりを挟む
「と、まぁこんなことがあって」
「・・・・・・瑠衣ちゃんの手料理・・・」
「ん?うん・・・その、お世話になる間は僕が家事とかやるから・・・。いやだった?」
途端に首を振る海渡。
・・・首がもげないか心配になるよ・・・。
「いや、嫌な訳ないじゃん!!瑠衣ちゃんの手料理だよ!?死んでも食べたいくらいなのに!!」
「え、死んでもって・・・僕は嫌だからね?海渡が死ぬなんて・・・そんなことになるなら作らない」
せっかく仲直りしたのにそれが無駄になるっ!!
僕の恥辱が無駄になるじゃないか!!
「・・・・・・瑠衣ちゃん。大丈夫、俺は死なないよ!!だって、瑠衣ちゃん・・・君を愛してるからぁっ!!」
「茶番劇はそれくらいにして――。好き嫌いあったっけ?あと凪さんと巳波さんも」
海渡は分かりやすく項垂れたあと、ポカーンとした表情で首を傾げた。
・・・犬っころまんまだけどな。
「なんで・・・兄貴たちも・・・・・・?」
「佐紀さんに頼まれたから。それにお世話になるんだから海渡の分だけ用意するなんて出来ないでしょ」
「・・・う、そっか。分かったよ」
今度は眉が八の字に下がってる・・・。
・・・・・・なんか・・・可愛く見える。後で眼科行こ。
「海渡?僕には海渡が犬にしか見えなくなってきたんだけど・・・」
「・・・え?・・・そっか、やっぱり抜けないもんだね・・・。
俺さ、瑠衣ちゃんに甘えたくてさ・・・。子供の頃からどうすれば瑠衣ちゃんは許してくれるんだろう?どうすれば瑠衣ちゃんは俺だけを見てくれるんだろ・・・ってずっと考えた挙げ句に――。子供の頃はさ俺の方が背、低かったから・・・まずは弟みたいな感じになれないかなって・・・思って。だから『こっち見てこっち見て!!』って無意識にアピールしてたんだと思う。多分それ。
仲直りのとき・・・言ったでしょ?犬を被らないように、って・・・。猫を被るじゃないけどさ、俺は瑠衣ちゃんの前ではほんとの自分でいたいなぁって・・・えへへ」
海渡ははにかんで笑った。その笑顔はとてもかっこよく見えた。・・・一瞬、ドキッとしたよ。やっぱり顔はイケメンだよね・・・。内容もカッコ可愛い感じで・・・なんかきゅんとした。
いやいやいや!!何思ってるんだ、僕!?
「・・・海渡・・・・・・あり・・・がとう・・・?」
僕はつい恥ずかしくなって目を背けてしまった。けど、これだけは伝えたくなった。
――好きになってくれてありがとう。
――教えてくれてありがとう。
――伝えてくれてありがとう。
とにかく言いたくて堪らなくなった。
海渡の真剣な表情とか、照れてはにかんだ顔とか、ずっと慕ってくれていたこととか。
僕は海渡が好きなのかもしれない。
まだ“たぶん”だけど・・・。今は“確かに”な気分だ。
「その・・・・・・言いたく・・・なった・・・から
「っ!!~~~!!瑠衣ちゃん!!」
え
ちゅっ
海渡の顔が離れていった。
「こちらこそありがとう!瑠衣ちゃ
「ふざけんな変態!!」
バチっ!!
前言撤回だ!!少し気を許しただけで手を出してくるなんて・・・!ただの変態だ!!
「瑠衣ちゃ~ん。ごめん~!!許して~」
「・・・・・・」
「だって、瑠衣ちゃん可愛かったんだもーん」
「・・・・・」
「あれは俺を煽った瑠衣も悪いでしょー」
「・・・・・」
現在、放課後。下校途中。
僕は開き直ってうざくなった海渡を無視している。それでもめげずに話しかけてくる海渡。
・・・確かに無意識に煽っていたのかもしれない。
でも、それとこれとは別。自制心を鍛えろと言うだけの話だし、煽った僕が悪いなんてそれこそただの被害妄想だ。
「あ、瑠衣ちゃん!!コンビニ寄るでしょ?」
僕は無言で頷く。
当たり前だ!!可愛い妹たちが家で待っているんだから!!もちろんフラッペだから一番家に近いコンビニに寄る。
急に海渡が静かになった。
もうそろそろかな・・・?
「・・・瑠衣ちゃん・・・。ごめん・・なさい・・・もうしないから・・・。お願い、せっかくのデートなのに」
よし、
「・・・言質は録ったぞ」
「え、、」
そう、僕は待っていた。
海渡が『もうしない』と言うのを。
それを録音機で録った。これは海渡から誕生日祝いに貰ったものだからね?
「さっ、デートしにコンビニへ行こう!!」
目的のコンビニまではあと300mほどだけどデートはデート。別に構わないよねー。
「・・・・・・瑠衣ちゃんの手料理・・・」
「ん?うん・・・その、お世話になる間は僕が家事とかやるから・・・。いやだった?」
途端に首を振る海渡。
・・・首がもげないか心配になるよ・・・。
「いや、嫌な訳ないじゃん!!瑠衣ちゃんの手料理だよ!?死んでも食べたいくらいなのに!!」
「え、死んでもって・・・僕は嫌だからね?海渡が死ぬなんて・・・そんなことになるなら作らない」
せっかく仲直りしたのにそれが無駄になるっ!!
僕の恥辱が無駄になるじゃないか!!
「・・・・・・瑠衣ちゃん。大丈夫、俺は死なないよ!!だって、瑠衣ちゃん・・・君を愛してるからぁっ!!」
「茶番劇はそれくらいにして――。好き嫌いあったっけ?あと凪さんと巳波さんも」
海渡は分かりやすく項垂れたあと、ポカーンとした表情で首を傾げた。
・・・犬っころまんまだけどな。
「なんで・・・兄貴たちも・・・・・・?」
「佐紀さんに頼まれたから。それにお世話になるんだから海渡の分だけ用意するなんて出来ないでしょ」
「・・・う、そっか。分かったよ」
今度は眉が八の字に下がってる・・・。
・・・・・・なんか・・・可愛く見える。後で眼科行こ。
「海渡?僕には海渡が犬にしか見えなくなってきたんだけど・・・」
「・・・え?・・・そっか、やっぱり抜けないもんだね・・・。
俺さ、瑠衣ちゃんに甘えたくてさ・・・。子供の頃からどうすれば瑠衣ちゃんは許してくれるんだろう?どうすれば瑠衣ちゃんは俺だけを見てくれるんだろ・・・ってずっと考えた挙げ句に――。子供の頃はさ俺の方が背、低かったから・・・まずは弟みたいな感じになれないかなって・・・思って。だから『こっち見てこっち見て!!』って無意識にアピールしてたんだと思う。多分それ。
仲直りのとき・・・言ったでしょ?犬を被らないように、って・・・。猫を被るじゃないけどさ、俺は瑠衣ちゃんの前ではほんとの自分でいたいなぁって・・・えへへ」
海渡ははにかんで笑った。その笑顔はとてもかっこよく見えた。・・・一瞬、ドキッとしたよ。やっぱり顔はイケメンだよね・・・。内容もカッコ可愛い感じで・・・なんかきゅんとした。
いやいやいや!!何思ってるんだ、僕!?
「・・・海渡・・・・・・あり・・・がとう・・・?」
僕はつい恥ずかしくなって目を背けてしまった。けど、これだけは伝えたくなった。
――好きになってくれてありがとう。
――教えてくれてありがとう。
――伝えてくれてありがとう。
とにかく言いたくて堪らなくなった。
海渡の真剣な表情とか、照れてはにかんだ顔とか、ずっと慕ってくれていたこととか。
僕は海渡が好きなのかもしれない。
まだ“たぶん”だけど・・・。今は“確かに”な気分だ。
「その・・・・・・言いたく・・・なった・・・から
「っ!!~~~!!瑠衣ちゃん!!」
え
ちゅっ
海渡の顔が離れていった。
「こちらこそありがとう!瑠衣ちゃ
「ふざけんな変態!!」
バチっ!!
前言撤回だ!!少し気を許しただけで手を出してくるなんて・・・!ただの変態だ!!
「瑠衣ちゃ~ん。ごめん~!!許して~」
「・・・・・・」
「だって、瑠衣ちゃん可愛かったんだもーん」
「・・・・・」
「あれは俺を煽った瑠衣も悪いでしょー」
「・・・・・」
現在、放課後。下校途中。
僕は開き直ってうざくなった海渡を無視している。それでもめげずに話しかけてくる海渡。
・・・確かに無意識に煽っていたのかもしれない。
でも、それとこれとは別。自制心を鍛えろと言うだけの話だし、煽った僕が悪いなんてそれこそただの被害妄想だ。
「あ、瑠衣ちゃん!!コンビニ寄るでしょ?」
僕は無言で頷く。
当たり前だ!!可愛い妹たちが家で待っているんだから!!もちろんフラッペだから一番家に近いコンビニに寄る。
急に海渡が静かになった。
もうそろそろかな・・・?
「・・・瑠衣ちゃん・・・。ごめん・・なさい・・・もうしないから・・・。お願い、せっかくのデートなのに」
よし、
「・・・言質は録ったぞ」
「え、、」
そう、僕は待っていた。
海渡が『もうしない』と言うのを。
それを録音機で録った。これは海渡から誕生日祝いに貰ったものだからね?
「さっ、デートしにコンビニへ行こう!!」
目的のコンビニまではあと300mほどだけどデートはデート。別に構わないよねー。
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
フィクション
犀川稔
BL
変わらない日常送る恋(れん)は高校2年の春、初めての恋愛をする。それはクラスメートであり、クラスのドー軍の存在に値する赤城(あかし)だった。クラスメイトには内緒で付き合った2人だが、だんだんと隠し通すことが難しくなる。そんな時、赤城がある決断をする......。
激重溺愛彼氏×恋愛初心者癒し彼氏
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)



【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる