ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

文字の大きさ
上 下
28 / 64
1章

26.紅の魔女

しおりを挟む
保健室。
そこは、またの名を『魔女の間』と呼ばれている。そこの住人は『紅の魔女』と言われ恐れられている。
なぜなら・・・。



ガラッ

「失礼しま
「あ゙ぁ゙~~~?」

ガラッ
「失礼しました。
ガラッ
「愛してんぜっ!!瑠衣」

そう言ってもちろん抱きつく。(叫んで?かな)
なるべくこの人にはお世話になりたくなかった。けど状況が状況だし。
とにかく眠い。

「お久しぶりです。・・・紅子べにこさん」

この人、宮代紅子さん。『紅の魔女』と呼ばれてる。その理由は、言葉遣いとその腕。豪快な言葉遣いに校内のヤンキーどもは制圧され、怪我をした生徒には的確に対応する。その姿から命名(?)されたらしい。

そして彼女は母さんの姉で僕の伯母。海渡の母の義理の姉。・・・身内が先生だと大変。

「あー?ったく、つれねぇなぁ。瑠衣、オレのことは紅姉で良いっていってんだろ」

いや、もうそんな子供じゃないし。
・・・あともう姉はきつい。

「あー、宮代先生?」
「んー・・・?るーい?」
「ほへんははい(ごめんなさい)」

宮代先生と呼んだら僕の両頬を引っ張った。
・・・すごく痛い・・・・・・。
とても女性の力じゃ・・・あ、
痛い痛い痛い痛い!!・・・この人はエスパーか何かなのか!?

「離してくらしゃいっ。紅姉ちゃんっ」

僕が涙目で訴えるとニヤリとしてようやく離してくれた。(あー、両頬がひりひりする・・・)

「ほい。・・・で、珍しいな!瑠衣がオレんとこ来るなんてなぁガハハッ」

豪快に笑うその姿は確かに美しいが品がない。・・・こんなこと言ったら僕はさっきのだけじゃ済まされない。うん、殺されかねないだろうね。

「・・・ちょっと、気分悪くて・・・少し休ませてもらっても良いですか?」
「それは別に構わねぇよ?・・・ん、海渡のことか?瑛子から聞いた」
「・・・はい、昨日から考えすぎちゃって寝不足なんです」
「・・・ふ~ん・・・若いねえ。青春だねぇ。・・・あぁ一応保健医として言っておくが、ちゃんど慣らせよ゙ぜってーいてぇから」

は?

「若い=仲直りは性交・・・ってのが定番じゃね?・・・・・・薬あるし、万が一は対処できっけど。海渡のやつ、結構性欲強そうだしなぁ・・・・・・あ、人居なかったらここも場所提供するぜっ(o≧▽゜)o」

・・・・・・は?
いやいやいやいや、なんでそーなる?
片目ウィンクってそれも場所提供も要らないです。

「あー、肛門交合だし・・・・・・あんまお勧めはできねぇけど・・・・・・うん、頑張れよ」
「なっ、何をですか!?・・・僕はそんな気なんてありませんし第一、その海渡と・・・そういうこと・・・をしたいとも思いませんし
「まぁまぁまぁ、瑠衣がそうでもあっちは分かんねぇぜ?ガハハッ」

また豪快に笑う。
この魔女は二つ名の二つ名に『紅の御社』とも呼ばれている。まったく動じない、凄まじい精神力と多くの人から崇められてる(?)らしく御社と表したらしいが。(宮代と御社もかけている・・・うまいっ!、と言うかなんと言うか)

「はぁ・・・とにかく、休ませてもらっても良いですか?」
「あ゙?いいよ。・・・ただ、ベッドが二つあるが一つはあたしの荷物が、な。あっ、オレの腕ん中でも良いぜっ。どっちにする?オレの腕ん中かオレの荷物ん中か」
「左のベッドを使わせてもらいます」

僕はそう言って、ごみ置き場と化していない方のベッドを指差した。と言うか、その二択って究極過ぎますよ?無理無理!!

「はいはい。・・・じゃあ、一時間・・・二時間にしとくかとりあえず時間になったら起こす。それまでお休み」

ベッドに横たわった僕に布団をかけながら先生はそう言った。「はい、ありがとうございます」お礼を言って目を閉じると、微かに頭を撫でられた感触があったが・・・眠い。寝よう・・・と僕の意識は遠ざかっていった。










ーーーーーーーーーーーーーーー


まっさか、瑠衣たんが来るなんて思わねぇよ・・・。
オレ、宮代紅子は内心ニヤける。

瑛子には今の現状を知らされてたから、海渡辺りは来るかとは思っていたが瑠衣たん来た。あのいつもオレがいるからか、保健室になんてめったに来ないのに。

今はすやすやと可愛い寝顔で寝てる。
・・・ほんと天使だよなぁ・・・。
瑠衣たんがちっせー頃なんか「紅姉っ!紅姉っ!」って可愛くって可愛くって・・・。
今じゃ、逆鱗に触れないように必死になるわぁハハハ。

「ん~・・・ふぅ・・・・・・だよ」

ん?

「僕も・・・・・・っ、ごめん・・・」

寝言・・・か。
瑠衣の寝言は珍しい。
・・・それだけ、病んじまってるってことか・・・。

保健医としても、瑠衣の伯母としても・・・うん、辛いな。

「か・・・・・・いと・・・す・・・・・・き」

!!

「ん、瑠衣たん・・・?・・・もっかい言って?」
「・・・・・・スゥ・・・スゥ・・・・・・うざい」

だっ!!、これはオレに言ってんのか?それとも海渡に言ってんのか?
瑠衣は今、寝てる。薄く涙が目尻に浮かんでる。
無意識に寝言を言うくらいなんだから自分の気持ちに気づいてるはず。
だけど・・・・・・。

「まったく、昔から瑠衣たんの頑固は変わらないね~」

瑠衣たんの寝顔をスマホのカメラに収めながら自然とニヤける。
うちの(?)天使ちゃんたちは奥手過ぎてむしろ可愛いなっ!

「頑張れよ・・・る

ガラッ

「紅子先生っ!!急患です!!」

ちっ、オレの癒しタイムを邪魔したその急患は誰だぁ?オイ・・・・・・っておっふ・・・マジかー。

保健室のベッドの薄橙色のカーテンを開けるとそこにいたのはガチムチマッチョのラグビー部顧問の矢馳やばしごう姫抱き・・・にされた――。


「・・・海渡・・・・・・か?」





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...