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1章
24.嫉妬
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「・・・何を・・・ですか?」
言うべきか困った。
まだ知り合って間もない先生に海渡とのことを話して理解出来るのか。
「俺さ・・・好きな人がいたんだ・・・」
先生は静かに語りだした。
「高校のとき。・・・同級生でね、あいつは優しくって可愛かった。・・・けど、家の事情で・・・まぁいろいろあったんだ、俺はあいつが憎い。そう思わされてるのかもしれない。けど、憎い。好きなのに憎い・・・それは一生拭えないだろうし、もう諦めてるけど・・・。あのとき、誰か・・・父さんが話を聞いてくれてたらここまでにならなかったんだろうな・・・って」
先生の話はどこか遠回しに濁していて分かりにくかった。けど、それだけ心の傷として残っていると言うのは伝わった。
「だから、今度はさ。・・・俺みたいに話を聞いて助言してくれる人を待ってる・・・そんなやつを一番に見つけて、後戻りできなくなる前に助けてやりたいんだ・・・」
・・・。
僕が・・・僕と海渡が後戻りできなくなる前に・・・。
「ごめんな?・・・こんな話聞きたくないよね。ははっ、俺の悪い癖。すぐ同情して貰おうとしちゃうんだよ・・・これもある一種の呪いかな?」
先生は言ってることは悲しいはずなのに笑ってそう言った。
もし、・・・もし僕も今、海渡と元に戻れなかったらこんな風に悲しいを何も感じられなくなるのかな?
「まぁ、つまんない話はここらで終わりにして・・・。瑠衣?俺に相談するかは君自身の問題だけど君も、その悩みのことも遅くなればなるほどきつく自分を締め付けるよ」
先生・・・。
僕は自分が起こしたことなんだから自分で何とかしなくちゃ、誰かに頼っちゃ駄目なんだ。と無意識のうちに思い込んでたらしい。
今、先生になら・・・相談出来るように思えた。
「・・・先生・・・。相談しても良いんですか・・・?」
先生は会ったときのチャラくて軽そうな笑顔がどこへ行ってしまったのかも思えるほどに優しく微笑んで頷いた。
「・・・ありがとうございます。・・・僕、
ーーーーーーーーーーーー
・・・・・・。
その男は誰?なに軽々しく俺の瑠衣ちゃんに触れてんの?瑠衣ちゃん・・・何でそいつを許すの?
どうして?俺じゃダメなの?俺がそんなに嫌い?ねぇ、どうして?
あ、いけない。こんなじゃまた瑠衣ちゃんに嫌われる。もう嫌われててもこれ以上避けられるのはきついよ。
俺は意識が危ないところに行きかけたのをギリギリのところで引き寄せた。
手元をもう一度見る。
スマホ型のコントローラーに映る瑠衣ちゃん。とスーツの男。外階段にいたはずの瑠衣ちゃんはいつの間にかその男と一緒に廊下を歩いていた。時折その男は小型カメラに気づいているのかカメラを手ではらったり、パチンッと叩き潰そうとしている様子だった。
・・・ちっ、こっちの奴か。
だいたい察しがつく。どうせ、ライバル会社のスパイとかそこらだろ?あとは開発担当者とかが新商品を実地見聞するために学校にもぐりこんだとかだろうね・・・最近は若者受けの良い新商品はうちでも結構出してるし。
そんな奴らはだいたい他の会社の試作品を壊しにまわるからなぁ・・・厄介厄介。
そう思いつつ、俺はもう一度画面を確認する。
・・・スマホみたいなの弄ってると先生に目をつけられかねないし・・・あーあ、本気で作っとくべきだったなぁ。
――ダテメ。
「っ!!・・・なんで・・・っ」
驚きで俺は目を見開く。
そこには、食堂で中身がホットミルクらしいマグカップを両手で包むように持ち瞳を揺らめかせた瑠衣ちゃんがいた。
・・・やばい可愛い。あ、違った。
それはともかく置いといて、その向かい側にはその男がこちらはコーヒーを飲みながら、微笑んでいた。
その瞳には『瑠衣ちゃんを狙ってます』と堂々と写し出されていた。
こんなやつ死ねば良いんだ。
あっ、危ない危ない。
瑠衣ちゃんに嫌われないようにこんな考えはデリートしないと。
でも
「良いなぁ・・・。ふふっ・・・俺、このままじゃ分からなすぎてどうしよう?(頭に血が上りすぎて、何するか分かんないよ?・・・狂ってしまいそうなくらい・・・)」
「沖江君?・・・どこが分からないのかね?」
「え、あぁ・・・独り言です。俺は自分で考えないと分かんないたちなんです」
つい口に出ていて先生に気づかれてしまった。しかし、先生が授業で分からないのかと勘違いしてくれたことが助けになった。
そう、俺は自分の頭のなかで全てを構築してからじゃないと分かんないんだよ。
言うべきか困った。
まだ知り合って間もない先生に海渡とのことを話して理解出来るのか。
「俺さ・・・好きな人がいたんだ・・・」
先生は静かに語りだした。
「高校のとき。・・・同級生でね、あいつは優しくって可愛かった。・・・けど、家の事情で・・・まぁいろいろあったんだ、俺はあいつが憎い。そう思わされてるのかもしれない。けど、憎い。好きなのに憎い・・・それは一生拭えないだろうし、もう諦めてるけど・・・。あのとき、誰か・・・父さんが話を聞いてくれてたらここまでにならなかったんだろうな・・・って」
先生の話はどこか遠回しに濁していて分かりにくかった。けど、それだけ心の傷として残っていると言うのは伝わった。
「だから、今度はさ。・・・俺みたいに話を聞いて助言してくれる人を待ってる・・・そんなやつを一番に見つけて、後戻りできなくなる前に助けてやりたいんだ・・・」
・・・。
僕が・・・僕と海渡が後戻りできなくなる前に・・・。
「ごめんな?・・・こんな話聞きたくないよね。ははっ、俺の悪い癖。すぐ同情して貰おうとしちゃうんだよ・・・これもある一種の呪いかな?」
先生は言ってることは悲しいはずなのに笑ってそう言った。
もし、・・・もし僕も今、海渡と元に戻れなかったらこんな風に悲しいを何も感じられなくなるのかな?
「まぁ、つまんない話はここらで終わりにして・・・。瑠衣?俺に相談するかは君自身の問題だけど君も、その悩みのことも遅くなればなるほどきつく自分を締め付けるよ」
先生・・・。
僕は自分が起こしたことなんだから自分で何とかしなくちゃ、誰かに頼っちゃ駄目なんだ。と無意識のうちに思い込んでたらしい。
今、先生になら・・・相談出来るように思えた。
「・・・先生・・・。相談しても良いんですか・・・?」
先生は会ったときのチャラくて軽そうな笑顔がどこへ行ってしまったのかも思えるほどに優しく微笑んで頷いた。
「・・・ありがとうございます。・・・僕、
ーーーーーーーーーーーー
・・・・・・。
その男は誰?なに軽々しく俺の瑠衣ちゃんに触れてんの?瑠衣ちゃん・・・何でそいつを許すの?
どうして?俺じゃダメなの?俺がそんなに嫌い?ねぇ、どうして?
あ、いけない。こんなじゃまた瑠衣ちゃんに嫌われる。もう嫌われててもこれ以上避けられるのはきついよ。
俺は意識が危ないところに行きかけたのをギリギリのところで引き寄せた。
手元をもう一度見る。
スマホ型のコントローラーに映る瑠衣ちゃん。とスーツの男。外階段にいたはずの瑠衣ちゃんはいつの間にかその男と一緒に廊下を歩いていた。時折その男は小型カメラに気づいているのかカメラを手ではらったり、パチンッと叩き潰そうとしている様子だった。
・・・ちっ、こっちの奴か。
だいたい察しがつく。どうせ、ライバル会社のスパイとかそこらだろ?あとは開発担当者とかが新商品を実地見聞するために学校にもぐりこんだとかだろうね・・・最近は若者受けの良い新商品はうちでも結構出してるし。
そんな奴らはだいたい他の会社の試作品を壊しにまわるからなぁ・・・厄介厄介。
そう思いつつ、俺はもう一度画面を確認する。
・・・スマホみたいなの弄ってると先生に目をつけられかねないし・・・あーあ、本気で作っとくべきだったなぁ。
――ダテメ。
「っ!!・・・なんで・・・っ」
驚きで俺は目を見開く。
そこには、食堂で中身がホットミルクらしいマグカップを両手で包むように持ち瞳を揺らめかせた瑠衣ちゃんがいた。
・・・やばい可愛い。あ、違った。
それはともかく置いといて、その向かい側にはその男がこちらはコーヒーを飲みながら、微笑んでいた。
その瞳には『瑠衣ちゃんを狙ってます』と堂々と写し出されていた。
こんなやつ死ねば良いんだ。
あっ、危ない危ない。
瑠衣ちゃんに嫌われないようにこんな考えはデリートしないと。
でも
「良いなぁ・・・。ふふっ・・・俺、このままじゃ分からなすぎてどうしよう?(頭に血が上りすぎて、何するか分かんないよ?・・・狂ってしまいそうなくらい・・・)」
「沖江君?・・・どこが分からないのかね?」
「え、あぁ・・・独り言です。俺は自分で考えないと分かんないたちなんです」
つい口に出ていて先生に気づかれてしまった。しかし、先生が授業で分からないのかと勘違いしてくれたことが助けになった。
そう、俺は自分の頭のなかで全てを構築してからじゃないと分かんないんだよ。
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