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1章
23.しつこいハエ
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急に暗くなったり 急に明るくなったり
はっきりしてないそれはどこに?
いつか、いつか、
出会えるなら 届くのかな・・・
僕の気持ち
僕の思い
やっと気づけたほんとのコト
長い 長い このときまで待ってて
ごめんね もう・・・
「うわー。すごいね~今のなんて曲?」
「ふぇ?」
いきなりで変な声が出た。
パチパチと手を叩きながら、そのスーツの男はニコニコとこちらに寄ってきた。
・・・ドアが開いたの気づかなかった・・・。
「君、生徒だよね?・・・
「すっ、すみません!・・・・・・教室に居たくなかったもので・・・」
「あ、いや注意しに来たんじゃないんだよ~。俺は一之瀬龍臣。今日、この学校に赴任してしたんだ♪」
その先生はとても軽そうな人だった。
茶髪に少しウェーブがかったその髪をかきあげた。
「でさ、なんて曲なの?」
人懐っこそうな笑顔でその先生は聞いてきた。
・・・。
「曲名はないです。即興だから・・・たぶん。・・・それに僕、歌ってましたか・・・?」
思えば、外階段に来てから階段に腰かけて空を見てからぼーっとしてて記憶がない。
・・・空を見たら、なんか掴んでみたくなって・・・。
「え、即興?・・・えっ、マジ?」
「え、えぇ」
「すごく綺麗な発声だったし、何度も練習したのかなって思った・・・いや、でも・・・巧いなぁ。なんか音楽とかやってるの?」
「い、いえ・・・」
僕は昔、母さんに色々と習い事をさせられていた時期がある。ピアノ、バイオリン、手芸、料理、・・・・・・思い出せばきりがない。
音楽をやっていなかったって言うと嘘にはなるけど、実際歌はやってなかったのだから嘘にはならない。
「そっか・・・とりあえず、食堂にでも行ってお茶しない?」
は?
「いいじゃん?そりゃ、毎日毎日授業だと疲れてくるでしょー。たまには息抜きも必要だよ♪」
僕は気づいた。
――この人危ない人なんじゃ?
今まで海渡といたおかげなのか、その手の人に気づけるようになった。
この人の笑顔に何かを感じた・・・。
「それにさっ、ここじゃ危なくない?」
いや、あなたの方が危なそうな気が・・・。
ん?
僕は言われて周りを見ると、外階段。
外階段・・・ここは4階・・・・・・!
・・・あ、
「ぼっ僕、別に死のうとなんてしてませんよ!?ただ外の空気が吸いたくなっちゃって、ここにきて・・・」
僕は急いで弁解した。
恐らく、この先生はどこかからここに僕がいるのを見て自殺するんじゃって心配して来てくれたんだろう。普通、どんな先生であってもこんなとこまで来てくれる先生なんていない。
あそこに誰かいる程度かもしくは職員室でたくさんの先生と話し合ってからここに来る。
死んでからじゃ遅いのに。
そんな優しい先生を僕は・・・変態だと疑ってしまったのか・・・。
「すっ、すみません・・・」
「ん?別に謝るようなことはないでしょ♪じゃ、行こうよ。・・・・・・しつこいな」
「はい・・・・・・え?」
「ん~?こっちの話だから気にしないでね♪さぁ、行こう!!」
そう言って先生は僕の手を引いた。
・・・結局、少しも眠ることはできなかった。
手を繋がれたまま外階段を出た。
先生はゆっくりでいいから、何であそこにいたのか、何で教室に居たくなかったのかを教えてほしいと言った。
やはり、教員としてもいい先生なんだろうなと思った僕はいつの間にか「はい・・・」と答えてしまっていた。
ただ、食堂に向かうまでに虫でもいるのか時おり手で空をはらったり、パチンッと叩いたりしていた。
「まず名前を教えてくれる?」
僕はそう言われてまだ名乗っていないのに気がついた。
「あ、・・・はい。2年微生物科学科の宮代瑠衣です」
学年とクラス、名前を言うと先生頷きながら、食堂のおばちゃんに頼んで作ってもらった蜂蜜入りのホットミルクをすすめてくれた。
先生とおばちゃんは知り合いらしい。
ふぅと息を吹き掛けるとふんわりと甘い香りの湯気が上がった。
口に少し含むと熱すぎず、冷めすぎずとても飲みやすかった。
「落ち着いた?」
「はい、すみません・・・先生もお忙しいでしょう?ご迷惑を
「ふっ、そんなこと言わないで♪俺は当然のことしただけなんだから」
先生は優しく笑いかけてくれた。
ほっと心が和らいで・・・なんか・・・。
「瑠衣は何か悩んでることあるでしょ?」
「え、はっはい・・・ありますけど・・・。・・・あの、瑠衣、って」
「ああ、ごめんね?名前で呼ばれたくなかった?・・・俺、生徒とは近い存在でいたいからさっ。よく名前で呼んじゃうんだよね~。嫌なら苗字で呼ぶけど」
「あ、そ、そうなんですね。ふふっ、大丈夫です。瑠衣で構いません・・・」
急に名前で呼ばれたから驚いてしまった。
普段、特にクラスメイトには『宮代さん』って呼ばれることが多くて慣れてないから。それに今まで、先生にそんな風に呼ばれたこともなかったから。
「俺に話してみない?」
はっきりしてないそれはどこに?
いつか、いつか、
出会えるなら 届くのかな・・・
僕の気持ち
僕の思い
やっと気づけたほんとのコト
長い 長い このときまで待ってて
ごめんね もう・・・
「うわー。すごいね~今のなんて曲?」
「ふぇ?」
いきなりで変な声が出た。
パチパチと手を叩きながら、そのスーツの男はニコニコとこちらに寄ってきた。
・・・ドアが開いたの気づかなかった・・・。
「君、生徒だよね?・・・
「すっ、すみません!・・・・・・教室に居たくなかったもので・・・」
「あ、いや注意しに来たんじゃないんだよ~。俺は一之瀬龍臣。今日、この学校に赴任してしたんだ♪」
その先生はとても軽そうな人だった。
茶髪に少しウェーブがかったその髪をかきあげた。
「でさ、なんて曲なの?」
人懐っこそうな笑顔でその先生は聞いてきた。
・・・。
「曲名はないです。即興だから・・・たぶん。・・・それに僕、歌ってましたか・・・?」
思えば、外階段に来てから階段に腰かけて空を見てからぼーっとしてて記憶がない。
・・・空を見たら、なんか掴んでみたくなって・・・。
「え、即興?・・・えっ、マジ?」
「え、えぇ」
「すごく綺麗な発声だったし、何度も練習したのかなって思った・・・いや、でも・・・巧いなぁ。なんか音楽とかやってるの?」
「い、いえ・・・」
僕は昔、母さんに色々と習い事をさせられていた時期がある。ピアノ、バイオリン、手芸、料理、・・・・・・思い出せばきりがない。
音楽をやっていなかったって言うと嘘にはなるけど、実際歌はやってなかったのだから嘘にはならない。
「そっか・・・とりあえず、食堂にでも行ってお茶しない?」
は?
「いいじゃん?そりゃ、毎日毎日授業だと疲れてくるでしょー。たまには息抜きも必要だよ♪」
僕は気づいた。
――この人危ない人なんじゃ?
今まで海渡といたおかげなのか、その手の人に気づけるようになった。
この人の笑顔に何かを感じた・・・。
「それにさっ、ここじゃ危なくない?」
いや、あなたの方が危なそうな気が・・・。
ん?
僕は言われて周りを見ると、外階段。
外階段・・・ここは4階・・・・・・!
・・・あ、
「ぼっ僕、別に死のうとなんてしてませんよ!?ただ外の空気が吸いたくなっちゃって、ここにきて・・・」
僕は急いで弁解した。
恐らく、この先生はどこかからここに僕がいるのを見て自殺するんじゃって心配して来てくれたんだろう。普通、どんな先生であってもこんなとこまで来てくれる先生なんていない。
あそこに誰かいる程度かもしくは職員室でたくさんの先生と話し合ってからここに来る。
死んでからじゃ遅いのに。
そんな優しい先生を僕は・・・変態だと疑ってしまったのか・・・。
「すっ、すみません・・・」
「ん?別に謝るようなことはないでしょ♪じゃ、行こうよ。・・・・・・しつこいな」
「はい・・・・・・え?」
「ん~?こっちの話だから気にしないでね♪さぁ、行こう!!」
そう言って先生は僕の手を引いた。
・・・結局、少しも眠ることはできなかった。
手を繋がれたまま外階段を出た。
先生はゆっくりでいいから、何であそこにいたのか、何で教室に居たくなかったのかを教えてほしいと言った。
やはり、教員としてもいい先生なんだろうなと思った僕はいつの間にか「はい・・・」と答えてしまっていた。
ただ、食堂に向かうまでに虫でもいるのか時おり手で空をはらったり、パチンッと叩いたりしていた。
「まず名前を教えてくれる?」
僕はそう言われてまだ名乗っていないのに気がついた。
「あ、・・・はい。2年微生物科学科の宮代瑠衣です」
学年とクラス、名前を言うと先生頷きながら、食堂のおばちゃんに頼んで作ってもらった蜂蜜入りのホットミルクをすすめてくれた。
先生とおばちゃんは知り合いらしい。
ふぅと息を吹き掛けるとふんわりと甘い香りの湯気が上がった。
口に少し含むと熱すぎず、冷めすぎずとても飲みやすかった。
「落ち着いた?」
「はい、すみません・・・先生もお忙しいでしょう?ご迷惑を
「ふっ、そんなこと言わないで♪俺は当然のことしただけなんだから」
先生は優しく笑いかけてくれた。
ほっと心が和らいで・・・なんか・・・。
「瑠衣は何か悩んでることあるでしょ?」
「え、はっはい・・・ありますけど・・・。・・・あの、瑠衣、って」
「ああ、ごめんね?名前で呼ばれたくなかった?・・・俺、生徒とは近い存在でいたいからさっ。よく名前で呼んじゃうんだよね~。嫌なら苗字で呼ぶけど」
「あ、そ、そうなんですね。ふふっ、大丈夫です。瑠衣で構いません・・・」
急に名前で呼ばれたから驚いてしまった。
普段、特にクラスメイトには『宮代さん』って呼ばれることが多くて慣れてないから。それに今まで、先生にそんな風に呼ばれたこともなかったから。
「俺に話してみない?」
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