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1章
21.見られてる・・・?
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学校について自分の席に荷物を置く。
――海渡、まだ来てないんだ。
いつもであれば僕と同時か、或いは僕より早くついていて『おはよう!瑠衣ちゃん、今日も可愛いねっ』と無駄口を叩いたり。『あ、瑠衣ちゃんはココアだよね』と言って飲み物を用意してたりしているのに。
やっぱり、海渡は怒ってるんだ。
昨日の今日だもん・・・学校、来づらいよね。
僕は席に座って、HRが始まるのを読書しながら待った。
今日はいつもより集中できてない。それが自分でも分かった。
ページを何度も飛ばしたり、文字が頭に入ってこない。
――こんなに後悔するなら海渡の話をちゃんと聞くべきだった・・・。でも、謝ってももう遅いんだよね・・・。
その気持ちが僕の集中力を欠かせる理由の1つ。あと、なぜだかさっきから視線を感じる。海渡かと思い周囲を見渡しても海渡はいない。
「おはようー」
「おっ、海渡~。はよ、ってなんだよその隈っ」
「うわっ、まじかー。うけるぅー」
海渡が登校してきて、みんな海渡に集まる。
海渡は元々顔も良いし、性格も普段は良いのでモテるし、頼られる事が多い。そのため、みんなはそんな海渡が顔に隈を作っているということの注目している。
・・・そんなに眠れなかったのかな?
海渡はみんなと話していて、僕と目が合うこともない。それなのに感じるこの視線は何なのか。
僕は居たたまれなくなって教室を出た。
ーーーーーーーーーーーー
瑠衣ちゃんは既に教室にいるみたいだ。
後ろのドアから入ると数人に囲まれた。
・・・顔、なんか言われるな。
「おはようー」
「おっ、海渡~。はよ、ってなんだよその隈っ」
「うわっ、まじかー。うけるぅー」
周りにはやはり笑いが起こっていた。
瑠衣ちゃん気づいてるかなぁ?
俺は集まってくるやつらを社交辞令で話を交わしながら、スマホ型のGPSの位置確認装置を作動させ現在のカメラの位置を確認した。
――うまく飛んでるみたいだね。
あのカメラは対象を50メートル先からもとらえることができる。ただし、室内では直線上でのみというのが難点だが。
今は教室の・・・瑠衣ちゃんの席の真上にいる。
俺が確認を終え顔をあげると瑠衣ちゃんが席を立とうとしていた。
・・・そんなに俺がいる空間に居たくないのかな?
少し・・・辛くなった。
でも、カメラが瑠衣ちゃんを追ってるから大丈夫。何かあったらすぐ行くからね。
ーーーーーーーーーーーー
「はぁー・・・なんで出てきちゃったんだよ」
海渡にもう一度言おうとしていたのに。
ごめんなさい、って。
昨日から後悔ばっかりだから・・・。この痛いって気持ちを確認するために・・・。
教室を出た僕は外階段へ向かった。
あそこは僕にとって唯一安らげる場所。
長い廊下の端にあるそこは昼休み以外はあまり使用しない。あと少しで1限の授業が始まるのに僕は足を進めた。
外階段に続く扉を開ける。
開けた瞬間に外の空気が僕の胸にすっと入ってきた。
・・・気持ちいいなぁ。
今日は晴れていても雲があるのであまり日が強くなく、ふんわりとそよぐ風が気持ちの良い天気だった。
そっと階段に腰かけて空を見上げた。
青い空を薄く包む雲。
・・・こんなにゆっくり空を見たことなんて最近は無かったかも・・・。
徐々に落ち着き始めた。けど、
「こんな固くなんないで、普通に話せば良いのに。・・・今まで、こんなこと無かったからなぁ。はははっ僕ら子供でも出来る『仲直り』をしようにも一苦労なんだな~」
笑えない。
涙は出るけど、笑えない。
「・・・ん、こんな顔じゃ教室戻れないな・・・」
僕は濡れた目を瞑って頭を膝に抱え込んだ。
・・・1限はさぼろう・・・その間だけ少し、寝てよう・・・。
ーーーーーーーーーーーー
「んー?んんん・・・」
「あれ、どうしましたか?一之瀬先生?」
俺は南校舎の外階段にいる子に目が釘つけられた。
・・・・・・綺麗な子だな。
「いえ、なんでもないですよ?あっ、すみません。資料室に忘れ物をしてしまったので先に行っていてもらえますか~?」
「あぁ分かりました。あっでもなるべく早く戻って下さいね?これから先生方に一之瀬先生をご紹介しなくてはならないので」
「はい、了解です」
そう言って俺はあの外階段の子を見に行った。
・・・ヤバイなぁ・・・生徒に一目惚れ?とか?(笑。
俺は足を速めて、南校舎とは反対側の北校舎の資料室に向かった。南校舎の外階段は北校舎の資料室から丸見えだから。
資料室に着いて俺はまず鞄から゙あれ゙を取り出した。・・・一之瀬財閥の息子に生まれてて良かった~。そう、それは最新の双眼鏡。
一之瀬財閥の苦悩の一作。
「俺は嘘なんて言ってないもんね~♪」
事実、北校舎の資料室に来ている。
それに・・・精神的に危なそうな子を助けるのも先生の役目でしょ?
そっとレンズを覗いた。
――俺は後悔した。
――海渡、まだ来てないんだ。
いつもであれば僕と同時か、或いは僕より早くついていて『おはよう!瑠衣ちゃん、今日も可愛いねっ』と無駄口を叩いたり。『あ、瑠衣ちゃんはココアだよね』と言って飲み物を用意してたりしているのに。
やっぱり、海渡は怒ってるんだ。
昨日の今日だもん・・・学校、来づらいよね。
僕は席に座って、HRが始まるのを読書しながら待った。
今日はいつもより集中できてない。それが自分でも分かった。
ページを何度も飛ばしたり、文字が頭に入ってこない。
――こんなに後悔するなら海渡の話をちゃんと聞くべきだった・・・。でも、謝ってももう遅いんだよね・・・。
その気持ちが僕の集中力を欠かせる理由の1つ。あと、なぜだかさっきから視線を感じる。海渡かと思い周囲を見渡しても海渡はいない。
「おはようー」
「おっ、海渡~。はよ、ってなんだよその隈っ」
「うわっ、まじかー。うけるぅー」
海渡が登校してきて、みんな海渡に集まる。
海渡は元々顔も良いし、性格も普段は良いのでモテるし、頼られる事が多い。そのため、みんなはそんな海渡が顔に隈を作っているということの注目している。
・・・そんなに眠れなかったのかな?
海渡はみんなと話していて、僕と目が合うこともない。それなのに感じるこの視線は何なのか。
僕は居たたまれなくなって教室を出た。
ーーーーーーーーーーーー
瑠衣ちゃんは既に教室にいるみたいだ。
後ろのドアから入ると数人に囲まれた。
・・・顔、なんか言われるな。
「おはようー」
「おっ、海渡~。はよ、ってなんだよその隈っ」
「うわっ、まじかー。うけるぅー」
周りにはやはり笑いが起こっていた。
瑠衣ちゃん気づいてるかなぁ?
俺は集まってくるやつらを社交辞令で話を交わしながら、スマホ型のGPSの位置確認装置を作動させ現在のカメラの位置を確認した。
――うまく飛んでるみたいだね。
あのカメラは対象を50メートル先からもとらえることができる。ただし、室内では直線上でのみというのが難点だが。
今は教室の・・・瑠衣ちゃんの席の真上にいる。
俺が確認を終え顔をあげると瑠衣ちゃんが席を立とうとしていた。
・・・そんなに俺がいる空間に居たくないのかな?
少し・・・辛くなった。
でも、カメラが瑠衣ちゃんを追ってるから大丈夫。何かあったらすぐ行くからね。
ーーーーーーーーーーーー
「はぁー・・・なんで出てきちゃったんだよ」
海渡にもう一度言おうとしていたのに。
ごめんなさい、って。
昨日から後悔ばっかりだから・・・。この痛いって気持ちを確認するために・・・。
教室を出た僕は外階段へ向かった。
あそこは僕にとって唯一安らげる場所。
長い廊下の端にあるそこは昼休み以外はあまり使用しない。あと少しで1限の授業が始まるのに僕は足を進めた。
外階段に続く扉を開ける。
開けた瞬間に外の空気が僕の胸にすっと入ってきた。
・・・気持ちいいなぁ。
今日は晴れていても雲があるのであまり日が強くなく、ふんわりとそよぐ風が気持ちの良い天気だった。
そっと階段に腰かけて空を見上げた。
青い空を薄く包む雲。
・・・こんなにゆっくり空を見たことなんて最近は無かったかも・・・。
徐々に落ち着き始めた。けど、
「こんな固くなんないで、普通に話せば良いのに。・・・今まで、こんなこと無かったからなぁ。はははっ僕ら子供でも出来る『仲直り』をしようにも一苦労なんだな~」
笑えない。
涙は出るけど、笑えない。
「・・・ん、こんな顔じゃ教室戻れないな・・・」
僕は濡れた目を瞑って頭を膝に抱え込んだ。
・・・1限はさぼろう・・・その間だけ少し、寝てよう・・・。
ーーーーーーーーーーーー
「んー?んんん・・・」
「あれ、どうしましたか?一之瀬先生?」
俺は南校舎の外階段にいる子に目が釘つけられた。
・・・・・・綺麗な子だな。
「いえ、なんでもないですよ?あっ、すみません。資料室に忘れ物をしてしまったので先に行っていてもらえますか~?」
「あぁ分かりました。あっでもなるべく早く戻って下さいね?これから先生方に一之瀬先生をご紹介しなくてはならないので」
「はい、了解です」
そう言って俺はあの外階段の子を見に行った。
・・・ヤバイなぁ・・・生徒に一目惚れ?とか?(笑。
俺は足を速めて、南校舎とは反対側の北校舎の資料室に向かった。南校舎の外階段は北校舎の資料室から丸見えだから。
資料室に着いて俺はまず鞄から゙あれ゙を取り出した。・・・一之瀬財閥の息子に生まれてて良かった~。そう、それは最新の双眼鏡。
一之瀬財閥の苦悩の一作。
「俺は嘘なんて言ってないもんね~♪」
事実、北校舎の資料室に来ている。
それに・・・精神的に危なそうな子を助けるのも先生の役目でしょ?
そっとレンズを覗いた。
――俺は後悔した。
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