ある日隣の変態と結婚することになりまして

紡月しおん

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1章

20.いつも通り

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学校・・・行きたくないな。
でも、行かないと折角入った高校。将来、微生物とかの研究がしたいと思って入った。

「・・・行かないと」

海渡が一緒の高校と知ったとき驚き何でだと言う疑問と共に知っているやつがいる。しかも、あの海渡だ。また面倒を見ることになるんだなと思って少し・・・嬉しかった。

もう既に時計の針は6時20分を指している。
7時には家を出なくてはならない。
僕は重い体を引きずるように階下に降りた。リビングにはもうみんな揃っているようで賑やかな声が聞こえた。

「お兄、大丈夫かなぁ?」

ふと聞こえた雫の声。
昨日は食欲なくて雫が折角運んでくれたお握りを部屋の前に置きっぱなしにしてしまった。
朝起きて、誰かが片付ける音がしていた。
これ以上可愛い妹たちや父さん、母さんを困らせるわけにはいかない。
僕はいつも通りにリビングに入っていった。

「ふぁ・・・母さん、父さん。おはよう」
「あらっ、おはよう。瑠衣ちゃん、お味噌汁は?」

僕は首をふって「粉末のスープがいい」と言って中央にあるテーブルについた。
母さんはいつも通りにこにこして僕の前にお椀をおいた。

「好き嫌いはだめよ。今日は豆腐とワカメだから大丈夫でしょ?」

僕は味噌汁にねぎや小松菜、ほうれん草に大根など豆腐とワカメ以外の具が入っていると食べない。ただでさえ、味噌が苦手なのにその風味にプラス余計なものと思えるから。

僕は渋々お椀を手に持った。
・・・塩分の補給は大事だからね・・・。
今日の朝が味噌汁であったことに初めて嬉しく思った。





時計の針が6時55分を指した。
もうそろそろ行かなくてはならない・・・。

「お兄~。(むぎゅっ)学校行ってくるねー」
「兄さん。(ぽんぽん)今日もお土産よろしくなっ。アイスクリーム饅頭の無念を晴らすんだ!!」

僕は雫に抱きつかれ、静に頭をぽんぽんされた。これで、元気の出ない兄はいない。
――学校行って、帰りにアイスクリーム饅頭を買ってこよう。
そう心に誓った。


あと1分。
もう家を出なくてはならない。

「瑠衣ちゃん・・・行ってらっしゃい」
「ん、・・・行ってきます」

僕はリビングから出て、重い足を引きずりながら玄関のドアを開けた。

ガチャッ

うん、行ってきます。


僕は学校に向かった。










ーーーーーーーーーーーー


眠い・・・。
貫徹は流石に不味かったとは思う。
ただ前々からこの『小型のカメラ』の構想は練っていたため、作るのは容易かった。

試運転は先程完了したし、カモフラージュ機能も問題ない。これも政府に売ることになるんだろうし・・・(国同士の問題とか?警察で危ないとこを捜査するときとか?に使ったり)まぁ、俺には関係ないけどね。

「さてと・・・。瑠衣ちゃんは今?」

隣を双眼鏡で覗く。
盗聴器からは何の反応も無かったから、恐らくリビングにでもいるのかな?
時刻は6時53分。だいたい、瑠衣ちゃんは遅くても55分に家を出ることが多い。

「瑠衣ちゃん・・・。大好き」

独り言がでる。恐らく貫徹の頭は正常に動いていないんだろう。

55分になった。瑠衣ちゃんは出てこない。

「今日、瑠衣ちゃん休みなのかな?」

もしかしたらと思った。
昨日の今日だ。きっと学校に行きたくないなとでも思っているんだろうと思った。
でも、もし学校に行くなら俺が先に家を出ると瑠衣ちゃんのことだから教室について俺と目があったら逃げるかも知れない。
もう少し、もう少しだけ待ってよう。

そう思っていたら時計は7時になった。
双眼鏡を覗く。

玄関のドアが開いて瑠衣ちゃんが出てきた。
そっと『小型のカメラ』を起動させる。無音の浮上。そのカメラに瑠衣ちゃんの情報を覚えされる。
そして、それは部屋の窓から飛び立った。


しばらく、空中を見つめてから俺は鞄を手にした。




「母さん。学校、行ってくるね」

母さんの「行ってらっしゃい」と共に玄関を出た。

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