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1章
16.機器&危機
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「あ、ちょっとごめんね」
そう言って佐紀さんは鞄から何やら取り出した。5センチサイズの・・・複雑な器械・・・?のようなもの。
「それ・・・なに?」
「ん、自作の電話機みたいなもの。あとこれで、盗聴と情報操作?とかできるのよね・・・あともちろん電話機能もあるし」
盗聴・・・ってヤバイやつなんじゃ?
そう私たち三人は驚いたが佐紀さんのその器械をいじり、なにやら話始めた。
「ん・・・あー、そっち?・・・えー・・・うん、分かったりょーかい。おっけーおっけーっ、んじゃね」
佐紀さんの話し声は残念そうな声になったり、明るくなったり、何を話してるのか分からない。
佐紀さんは器械をしまってから真剣な顔でこっちを見た。
「瑛子さん・・・まず、ごめんなさいっ!!海渡が瑠衣ちゃんを傷つけたっ!!ほんとにごめんなさい!!」
佐紀さんは頭をテーブルに擦り付ける勢いで下げた。
「なんか、海渡が今家に帰ってきたって凪から連絡貰ってね。・・・どうも海渡の様子がおかしくて、凪が海渡の盗聴記録のデータをクラッキング・・・いや、ここはハッキングね・・・まぁ、海渡のパソコンを盗み見てくれたの。そしたら、瑠衣ちゃんが必死に海渡を引き留めてくれたのに海渡は諦めちゃったらしいの・・・引き続き瑠衣ちゃんの部屋の盗聴を凪がしてくれてるけど・・・何も音がしないって、時々すすり泣くような声だけだって・・・ごめんなさいっ・・・帰ったら海渡、しばいとく・・・よく言っておきますからっ!!」
盗聴・・・?ハッキング?瑠衣ちゃんの・・・部屋?
さっきから佐紀さんの言っていることが何一つ理解できない。漫画原稿とか小説原稿をおろすのに資料でそんなのを見たことはあるけど・・・。
「あのっ、佐紀さん?お兄の部屋に盗聴?ってどう言うことなん?雫、分からんの・・・」
「それそれっ、あたしも何となく聞いてたけど・・・と言うか沖江家って何もの・・・?みたいな」
雫と静は私が聞きたかったことを全て言ってくれた。
「佐紀さん。ゆっくりで良いから教えてくれるかしら・・・?とくに盗聴のこととか」
佐紀さんは深呼吸を何度か繰り返してから頷いた。
「・・・・・・そんなことがあったのね」
佐紀さんはまたテーブルに頭を擦り付けていた。
まず最初に佐紀さんは今の状況を教えてくれた。瑠衣ちゃんと海渡君の会話の内容。あの瑠衣ちゃんがそんな風になってたなんて・・・親としては複雑な気持ちもあるけど、ちょっとだけおいしいなぁと思ってしまった。
・・・ごめんね~瑠衣ちゃん。
そして、盗聴のこと。どうも海渡君は小学生の時に盗聴器を自分で作ったらしい。それを瑠衣ちゃんの部屋に取り付けて・・・瑠衣ちゃんの様子を伺っていたらしい。
小学生でってことに驚いたけど沖江家の遺伝だろうと思う。ただ単においしい。
「それって・・・」
「うん・・・お兄は今、ヤバくね?」
しかし、雫と静は焦りだした。
「なんで?・・・確かに瑠衣ちゃんの心の傷は
「いやいやいや、違う違う違う。心の傷どうこうじゃなくて、マジもんでヤバイの」
「ちょっとっ。落ち着いて話なさい」
「うん、大丈夫。雫も静も落ち着いてる」
いや、落ち着いて無いでしょっ!って突っ込みたくなるほど二人の目は泳いでる。
「兄さんは危ない。・・・自殺もいいとこかも」
え
私は言葉を失った。
「・・・どういうこと?」
「お兄は一度、雫達の前で死のうとしたよ。・・・中学生のとき。雫達が小学4年生のとき、お兄が中学入ってすぐのとき。・・・部活でなんかあったみたい・・・」
「雫が最初に気づいて、『お兄が変』って・・・そんであたしも兄さんを見たら目が虚ろで今にも消えそうだったんだ。だから二人して兄さんに抱きついて泣いてやったら兄さん・・・戻ってきた。っていうか、おろおろし始めて急いでコンビニに走ってったの覚えてる」
なんで母さんに言わなかったの!?って言いたくなったけど雫が「お兄が母さんや父さんには言わないでって言ってたから・・・」と言ってうつむいた。
「・・・どうしましょう・・・っ。海渡、・・・あんのバカっ、ほんとほんと・・・どうしよう。あ、今すぐ瑠衣ちゃんを止めに、いや海渡を殴りに・・・えー、どうしましょう」
佐紀さんは口調が安定してない。
思わず笑いそうになってしまった。
「ちょっと、佐紀さん。落ち着いて落ち着いて。・・・大丈夫よ。海渡君はそんなすぐ諦めたりしない子でしょ?それに瑠衣ちゃんだってもうそれほどやわじゃないわよ。・・・だから、私たちは今できることを考えましょ?」
「ちょっ、なんで母さんはそんな呑気なの!?」
「ふふっ、信じてるからよ」
そう言って佐紀さんは鞄から何やら取り出した。5センチサイズの・・・複雑な器械・・・?のようなもの。
「それ・・・なに?」
「ん、自作の電話機みたいなもの。あとこれで、盗聴と情報操作?とかできるのよね・・・あともちろん電話機能もあるし」
盗聴・・・ってヤバイやつなんじゃ?
そう私たち三人は驚いたが佐紀さんのその器械をいじり、なにやら話始めた。
「ん・・・あー、そっち?・・・えー・・・うん、分かったりょーかい。おっけーおっけーっ、んじゃね」
佐紀さんの話し声は残念そうな声になったり、明るくなったり、何を話してるのか分からない。
佐紀さんは器械をしまってから真剣な顔でこっちを見た。
「瑛子さん・・・まず、ごめんなさいっ!!海渡が瑠衣ちゃんを傷つけたっ!!ほんとにごめんなさい!!」
佐紀さんは頭をテーブルに擦り付ける勢いで下げた。
「なんか、海渡が今家に帰ってきたって凪から連絡貰ってね。・・・どうも海渡の様子がおかしくて、凪が海渡の盗聴記録のデータをクラッキング・・・いや、ここはハッキングね・・・まぁ、海渡のパソコンを盗み見てくれたの。そしたら、瑠衣ちゃんが必死に海渡を引き留めてくれたのに海渡は諦めちゃったらしいの・・・引き続き瑠衣ちゃんの部屋の盗聴を凪がしてくれてるけど・・・何も音がしないって、時々すすり泣くような声だけだって・・・ごめんなさいっ・・・帰ったら海渡、しばいとく・・・よく言っておきますからっ!!」
盗聴・・・?ハッキング?瑠衣ちゃんの・・・部屋?
さっきから佐紀さんの言っていることが何一つ理解できない。漫画原稿とか小説原稿をおろすのに資料でそんなのを見たことはあるけど・・・。
「あのっ、佐紀さん?お兄の部屋に盗聴?ってどう言うことなん?雫、分からんの・・・」
「それそれっ、あたしも何となく聞いてたけど・・・と言うか沖江家って何もの・・・?みたいな」
雫と静は私が聞きたかったことを全て言ってくれた。
「佐紀さん。ゆっくりで良いから教えてくれるかしら・・・?とくに盗聴のこととか」
佐紀さんは深呼吸を何度か繰り返してから頷いた。
「・・・・・・そんなことがあったのね」
佐紀さんはまたテーブルに頭を擦り付けていた。
まず最初に佐紀さんは今の状況を教えてくれた。瑠衣ちゃんと海渡君の会話の内容。あの瑠衣ちゃんがそんな風になってたなんて・・・親としては複雑な気持ちもあるけど、ちょっとだけおいしいなぁと思ってしまった。
・・・ごめんね~瑠衣ちゃん。
そして、盗聴のこと。どうも海渡君は小学生の時に盗聴器を自分で作ったらしい。それを瑠衣ちゃんの部屋に取り付けて・・・瑠衣ちゃんの様子を伺っていたらしい。
小学生でってことに驚いたけど沖江家の遺伝だろうと思う。ただ単においしい。
「それって・・・」
「うん・・・お兄は今、ヤバくね?」
しかし、雫と静は焦りだした。
「なんで?・・・確かに瑠衣ちゃんの心の傷は
「いやいやいや、違う違う違う。心の傷どうこうじゃなくて、マジもんでヤバイの」
「ちょっとっ。落ち着いて話なさい」
「うん、大丈夫。雫も静も落ち着いてる」
いや、落ち着いて無いでしょっ!って突っ込みたくなるほど二人の目は泳いでる。
「兄さんは危ない。・・・自殺もいいとこかも」
え
私は言葉を失った。
「・・・どういうこと?」
「お兄は一度、雫達の前で死のうとしたよ。・・・中学生のとき。雫達が小学4年生のとき、お兄が中学入ってすぐのとき。・・・部活でなんかあったみたい・・・」
「雫が最初に気づいて、『お兄が変』って・・・そんであたしも兄さんを見たら目が虚ろで今にも消えそうだったんだ。だから二人して兄さんに抱きついて泣いてやったら兄さん・・・戻ってきた。っていうか、おろおろし始めて急いでコンビニに走ってったの覚えてる」
なんで母さんに言わなかったの!?って言いたくなったけど雫が「お兄が母さんや父さんには言わないでって言ってたから・・・」と言ってうつむいた。
「・・・どうしましょう・・・っ。海渡、・・・あんのバカっ、ほんとほんと・・・どうしよう。あ、今すぐ瑠衣ちゃんを止めに、いや海渡を殴りに・・・えー、どうしましょう」
佐紀さんは口調が安定してない。
思わず笑いそうになってしまった。
「ちょっと、佐紀さん。落ち着いて落ち着いて。・・・大丈夫よ。海渡君はそんなすぐ諦めたりしない子でしょ?それに瑠衣ちゃんだってもうそれほどやわじゃないわよ。・・・だから、私たちは今できることを考えましょ?」
「ちょっ、なんで母さんはそんな呑気なの!?」
「ふふっ、信じてるからよ」
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