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1章
14.初めての感情
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初めて瑠衣ちゃんに刃向かった。
否、瑠衣ちゃんのことを考えないで自分のことを考えて行動した。
――結婚してほしい・・・と。
けれど瑠衣ちゃんは「帰れ」って言った。
最後まで話を聞いてくれることもなく、うつ向いた顔で帰れって・・・。
そんなに瑠衣ちゃんには嫌な内容だったのかな?そう考えたときには遅かった。
部屋に引きこもってしまった。
そんなときお義母さんがくれた頼みの綱。
お義母さん達は空気を読んで出掛けると言い、俺を残して出た。
分かってくれるか分からないけど最後にと階段を上がった。
瑠衣ちゃんの部屋。
いつだったか俺が遊びに行っても入れてもらえなくなった。どうしてかはたぶん俺のせい。
無理に入ろうとして分かった。鍵がつけられていることに。そのときはショックで熱を出した程だった。
・・・また、鍵をかけてるのかな?
そうだったら入れるはずがない。一応、俺は瑠衣ちゃんの部屋に鍵がついてることを知らないことになってるから声をかけとくべきだな。
そう思って
「・・・瑠衣ちゃん。入るよ」
そう言ってドアノブに手をかけ回した。
カチッ
小さな音と共に開いたドア。
「っ!!・・・海渡?」
小さく怯えた声がした。
俺はドアがすんなり開いたことに驚いたが中を見てさらに驚いた。
暗い部屋。
前に一度(盗聴器を仕掛けるのに)入ったことがある。そのときに見た瑠衣ちゃんの匂いが染み付いた部屋。
変わらないのに暗い。
瑠衣ちゃんの表情が見えない。
怒ってるのか、悲しんでるのか、引いて蔑んでいるのか・・・。
「・・・帰れって言ったじゃん」
瑠衣ちゃんは一歩下がってそう言った。
「うん」
「母さんじゃなかったんだな・・・」
「お義母さんと妹さん達はちょっと外出中」
そう言うと瑠衣ちゃんは一度顔を上げた。
驚いたんだね・・・俺に会いたくないって顔。
ちょっと意地悪してみようと思った。
「驚いたって顔してる。俺が帰ったって思って安心した?・・・お義母さんが話し合った方がいいねって言ってくれたんだ。だから、帰ったふりして代わりにお義母さん達が外出したんだよ」
意地悪のつもりがだんだん感情が抑えられなくなってきた。口調が強くなる。
「・・・なんで最後まで聞いてくれなかったの?」
言ってて悲しくなってきた。
こんなにっ・・・こんなにっ!!
「俺は瑠衣ちゃんがこんなに好きなのに!!・・・分かってほしくて、瑠衣ちゃんに嫌われたくなくて、離れないでほしくて・・・」
分かってほしくてっ!!
「さっきのプレゼンね。まずメリットとしては収入、家庭の幸福、できる範囲瑠衣ちゃんをサポートする、大きくまとめるとこれ。・・・で、デメリットとしては、逆に瑠衣ちゃんに迷惑をかけると思う。俺は副社長に就任するから帰宅は遅くなるかも・・・あと、瑠衣ちゃんが寂しいときに一緒にいられないかもしれない・・・これが一番辛いけどあり得ること。外はとっても快適、でも内面・・・心の問題。瑠衣ちゃんを傷つけるくらいなら・・・俺は瑠衣ちゃんの幸福を優先するよ。でも、分かってるのに離れらんない、離したくない――。・・・・・・ごめんね・・・くだらない独占欲ってことは分かってる。言いたかったのはこれが全部・・・ごめんね」
ほんとは瑠衣ちゃんに幸せになってもらいたいから俺とのことについて考えてほしかった。俺が瑠衣ちゃんを幸せにするって言えたら格好いいんだろうけど・・・。
・・・。
虚しさがどうしても拭えない・・・。
「今日はもう、帰るね・・・さよなら」
もう何を言ったって瑠衣ちゃんには伝わんない。ならもういいや・・・。どうでもいい・・・。
「待ってっ!!」
袖を掴まれ後ろに引かれた。
驚いた。けど、絶望的な俺は瑠衣ちゃんを冷たくあしらった。
「瑠衣ちゃん・・・袖、伸びちゃうから」
「っ!!・・・待って、ごめん!!話、聞かなくてっ」
「大丈夫だよ。・・・もう行くからさ、放して」
自分でも瑠衣ちゃんを傷つけたと分かっても謝る勇気なんてなかった。瑠衣ちゃんが俺を要らないって言うならそれで・・・いい。
静かに部屋を出た。
階段を降りて、玄関のドアを開けて。
気づいたら自分の部屋にいた。
机の上の盗聴器。そっと眺めた。
どうやって家に帰ったのか・・・。
そんなにショックだったならもっと――。
もっと・・・。
否、瑠衣ちゃんのことを考えないで自分のことを考えて行動した。
――結婚してほしい・・・と。
けれど瑠衣ちゃんは「帰れ」って言った。
最後まで話を聞いてくれることもなく、うつ向いた顔で帰れって・・・。
そんなに瑠衣ちゃんには嫌な内容だったのかな?そう考えたときには遅かった。
部屋に引きこもってしまった。
そんなときお義母さんがくれた頼みの綱。
お義母さん達は空気を読んで出掛けると言い、俺を残して出た。
分かってくれるか分からないけど最後にと階段を上がった。
瑠衣ちゃんの部屋。
いつだったか俺が遊びに行っても入れてもらえなくなった。どうしてかはたぶん俺のせい。
無理に入ろうとして分かった。鍵がつけられていることに。そのときはショックで熱を出した程だった。
・・・また、鍵をかけてるのかな?
そうだったら入れるはずがない。一応、俺は瑠衣ちゃんの部屋に鍵がついてることを知らないことになってるから声をかけとくべきだな。
そう思って
「・・・瑠衣ちゃん。入るよ」
そう言ってドアノブに手をかけ回した。
カチッ
小さな音と共に開いたドア。
「っ!!・・・海渡?」
小さく怯えた声がした。
俺はドアがすんなり開いたことに驚いたが中を見てさらに驚いた。
暗い部屋。
前に一度(盗聴器を仕掛けるのに)入ったことがある。そのときに見た瑠衣ちゃんの匂いが染み付いた部屋。
変わらないのに暗い。
瑠衣ちゃんの表情が見えない。
怒ってるのか、悲しんでるのか、引いて蔑んでいるのか・・・。
「・・・帰れって言ったじゃん」
瑠衣ちゃんは一歩下がってそう言った。
「うん」
「母さんじゃなかったんだな・・・」
「お義母さんと妹さん達はちょっと外出中」
そう言うと瑠衣ちゃんは一度顔を上げた。
驚いたんだね・・・俺に会いたくないって顔。
ちょっと意地悪してみようと思った。
「驚いたって顔してる。俺が帰ったって思って安心した?・・・お義母さんが話し合った方がいいねって言ってくれたんだ。だから、帰ったふりして代わりにお義母さん達が外出したんだよ」
意地悪のつもりがだんだん感情が抑えられなくなってきた。口調が強くなる。
「・・・なんで最後まで聞いてくれなかったの?」
言ってて悲しくなってきた。
こんなにっ・・・こんなにっ!!
「俺は瑠衣ちゃんがこんなに好きなのに!!・・・分かってほしくて、瑠衣ちゃんに嫌われたくなくて、離れないでほしくて・・・」
分かってほしくてっ!!
「さっきのプレゼンね。まずメリットとしては収入、家庭の幸福、できる範囲瑠衣ちゃんをサポートする、大きくまとめるとこれ。・・・で、デメリットとしては、逆に瑠衣ちゃんに迷惑をかけると思う。俺は副社長に就任するから帰宅は遅くなるかも・・・あと、瑠衣ちゃんが寂しいときに一緒にいられないかもしれない・・・これが一番辛いけどあり得ること。外はとっても快適、でも内面・・・心の問題。瑠衣ちゃんを傷つけるくらいなら・・・俺は瑠衣ちゃんの幸福を優先するよ。でも、分かってるのに離れらんない、離したくない――。・・・・・・ごめんね・・・くだらない独占欲ってことは分かってる。言いたかったのはこれが全部・・・ごめんね」
ほんとは瑠衣ちゃんに幸せになってもらいたいから俺とのことについて考えてほしかった。俺が瑠衣ちゃんを幸せにするって言えたら格好いいんだろうけど・・・。
・・・。
虚しさがどうしても拭えない・・・。
「今日はもう、帰るね・・・さよなら」
もう何を言ったって瑠衣ちゃんには伝わんない。ならもういいや・・・。どうでもいい・・・。
「待ってっ!!」
袖を掴まれ後ろに引かれた。
驚いた。けど、絶望的な俺は瑠衣ちゃんを冷たくあしらった。
「瑠衣ちゃん・・・袖、伸びちゃうから」
「っ!!・・・待って、ごめん!!話、聞かなくてっ」
「大丈夫だよ。・・・もう行くからさ、放して」
自分でも瑠衣ちゃんを傷つけたと分かっても謝る勇気なんてなかった。瑠衣ちゃんが俺を要らないって言うならそれで・・・いい。
静かに部屋を出た。
階段を降りて、玄関のドアを開けて。
気づいたら自分の部屋にいた。
机の上の盗聴器。そっと眺めた。
どうやって家に帰ったのか・・・。
そんなにショックだったならもっと――。
もっと・・・。
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