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1章
8.親公認
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「佐紀さん、僕は男です」
「ふふふ、そんなのは些細なことよ~」
母さんと同じようなことを言う。
「だってぇ~。こんなに可愛いんだもの~!!」
そう言って僕に抱きついてくる。
・・・香水の香りが・・・キツイ!!
それに、胸!!むぎゅーって!!無理無理!!
「佐紀さん!!・・・離してっ・・・苦しいよ」
「あぁ~ごめんねごめんね!!ついつい」
ついついって・・・。
「そーそー。それで用事って言うのはね」
「?」
「瑠衣ちゃん。私の息子にならない?」
はぁ・・・。そう言うことか。
おおかた、海渡に言われて来たんだろな。いや、この人のことだからもしかすると自ら進んで結婚の話を薦めに・・・。
「すみません、佐紀さん。僕は海渡と結婚なんてする気は更々ないです」
「うん、分かってるわ」
にこにことそう言った。
じゃあ、どういうことでここに?
「海渡じゃないわ。凪や巳波はどうかしらって話をしに来たの。親公認で」
は?
「ほら~、海渡君のお兄さんの巳波君よ~!!今、大学3年生の!それに凪君!去年離婚しちゃったらしいのね~26歳だけど次期社長よ~!!」
僕は思考回路が固まってしまった。
「海渡って変態じゃない?だから瑠衣ちゃんとくっつけたら瑠衣ちゃんが壊されかねないから」
「え、いやいやいや僕は普通に女性と結婚しますし、海渡だけでも色々大変なのにそれは・・・海渡にも申し訳ないしお兄さんたちだと恐縮してしまいますし・・・」
「う~ん。そっか、そうよねー。瑠衣ちゃんも昨日の今日だものね~。・・・分かったわ。でも、お願い!!考えるだけ考えてあげて」
佐紀さんは綺麗な顔を歪ませている。
・・・そこまで僕を息子にしたいのかな?
「実はね瑠衣ちゃんにって思ったのは瑠衣ちゃんが優しくて、強くて、どんな時でもそっと支えてくれるようなところにおばさんは息子達を任せたいって思ったの」
「・・・?とりあえず、座ってください。お話はゆっくりお聞きしますから」
「え、あっ・・・そうね。じゃあ失礼して」
佐紀さんの話が長くなりそうなので座ってもらった。母さんが僕の分のお茶を持ってきてくれた。
「・・・まず、凪について話すわ。凪は昔から人に関わるのが苦手で・・・いや、違うわ。たぶん甘えるのが苦手なの。自分の意見を言う前に他の人のことを優先するような優しい子。だから、結婚しても奥さんのことを大事にしてたと思うし、なによりも優先してた。けど、その子は耐えられなかったの。優しすぎるがゆえに『共に歩んで行ける気がしない』と凪も凪なりに甘えてたとは思います。けど、相手には伝わんなかった。・・・今、凪は自室に籠ってます。これから次期社長としてやっていけるのか自信を無くしてる。私もフォローはしていけるけどたぶん、いえ、私じゃダメなんだと思うわ」
そして佐紀さんは続けた。
「これが凪についての理由よ。なぜ瑠衣ちゃんなのかは分からないけど、お節介なのかもしれないけど凪も瑠衣ちゃんのことは知ってるから・・・」
凪さんが僕を知ってる?
僕は一度も会った覚えがない。だって、凪さんはいつも部屋に籠って株だのなんだのとパソコンをいじってた覚えがあるから。
「それで、巳波についてね。巳波は瑠衣ちゃんも知っての通りお調子者で大学でも人気があるみたいなの~。・・・でも、海渡が薬を完成させてそれくらいから家に帰るといつも暗くなるの。家に帰るって言っても帰ってきたときは普通。でも、自分の部屋に入った途端影が張ったように巳波の影が消えてしまいそうで・・・なんて言ったら良いのかしら?でも、きっと巳波も助けて欲しがってる。辛いよ。悲しいよ。って・・・だから」
佐紀さんは目にうっすらと涙を浮かべている。
・・・。
「なぜ、僕なんですか?」
それでも、分からないじゃいけない。
佐紀さんの様子をみたらきっと佐紀さんでも鳴海さんでもダメだったんだなと感じた。たぶん頼れるものにはなんでもすがりつきたいくらい焦ってる。
「瑠衣ちゃん・・・だから」
「え?」
「瑠衣ちゃんは覚えてないかもだけど私と鳴海さんね、一度離婚仕掛けたのよ」
「ふふふ、そんなのは些細なことよ~」
母さんと同じようなことを言う。
「だってぇ~。こんなに可愛いんだもの~!!」
そう言って僕に抱きついてくる。
・・・香水の香りが・・・キツイ!!
それに、胸!!むぎゅーって!!無理無理!!
「佐紀さん!!・・・離してっ・・・苦しいよ」
「あぁ~ごめんねごめんね!!ついつい」
ついついって・・・。
「そーそー。それで用事って言うのはね」
「?」
「瑠衣ちゃん。私の息子にならない?」
はぁ・・・。そう言うことか。
おおかた、海渡に言われて来たんだろな。いや、この人のことだからもしかすると自ら進んで結婚の話を薦めに・・・。
「すみません、佐紀さん。僕は海渡と結婚なんてする気は更々ないです」
「うん、分かってるわ」
にこにことそう言った。
じゃあ、どういうことでここに?
「海渡じゃないわ。凪や巳波はどうかしらって話をしに来たの。親公認で」
は?
「ほら~、海渡君のお兄さんの巳波君よ~!!今、大学3年生の!それに凪君!去年離婚しちゃったらしいのね~26歳だけど次期社長よ~!!」
僕は思考回路が固まってしまった。
「海渡って変態じゃない?だから瑠衣ちゃんとくっつけたら瑠衣ちゃんが壊されかねないから」
「え、いやいやいや僕は普通に女性と結婚しますし、海渡だけでも色々大変なのにそれは・・・海渡にも申し訳ないしお兄さんたちだと恐縮してしまいますし・・・」
「う~ん。そっか、そうよねー。瑠衣ちゃんも昨日の今日だものね~。・・・分かったわ。でも、お願い!!考えるだけ考えてあげて」
佐紀さんは綺麗な顔を歪ませている。
・・・そこまで僕を息子にしたいのかな?
「実はね瑠衣ちゃんにって思ったのは瑠衣ちゃんが優しくて、強くて、どんな時でもそっと支えてくれるようなところにおばさんは息子達を任せたいって思ったの」
「・・・?とりあえず、座ってください。お話はゆっくりお聞きしますから」
「え、あっ・・・そうね。じゃあ失礼して」
佐紀さんの話が長くなりそうなので座ってもらった。母さんが僕の分のお茶を持ってきてくれた。
「・・・まず、凪について話すわ。凪は昔から人に関わるのが苦手で・・・いや、違うわ。たぶん甘えるのが苦手なの。自分の意見を言う前に他の人のことを優先するような優しい子。だから、結婚しても奥さんのことを大事にしてたと思うし、なによりも優先してた。けど、その子は耐えられなかったの。優しすぎるがゆえに『共に歩んで行ける気がしない』と凪も凪なりに甘えてたとは思います。けど、相手には伝わんなかった。・・・今、凪は自室に籠ってます。これから次期社長としてやっていけるのか自信を無くしてる。私もフォローはしていけるけどたぶん、いえ、私じゃダメなんだと思うわ」
そして佐紀さんは続けた。
「これが凪についての理由よ。なぜ瑠衣ちゃんなのかは分からないけど、お節介なのかもしれないけど凪も瑠衣ちゃんのことは知ってるから・・・」
凪さんが僕を知ってる?
僕は一度も会った覚えがない。だって、凪さんはいつも部屋に籠って株だのなんだのとパソコンをいじってた覚えがあるから。
「それで、巳波についてね。巳波は瑠衣ちゃんも知っての通りお調子者で大学でも人気があるみたいなの~。・・・でも、海渡が薬を完成させてそれくらいから家に帰るといつも暗くなるの。家に帰るって言っても帰ってきたときは普通。でも、自分の部屋に入った途端影が張ったように巳波の影が消えてしまいそうで・・・なんて言ったら良いのかしら?でも、きっと巳波も助けて欲しがってる。辛いよ。悲しいよ。って・・・だから」
佐紀さんは目にうっすらと涙を浮かべている。
・・・。
「なぜ、僕なんですか?」
それでも、分からないじゃいけない。
佐紀さんの様子をみたらきっと佐紀さんでも鳴海さんでもダメだったんだなと感じた。たぶん頼れるものにはなんでもすがりつきたいくらい焦ってる。
「瑠衣ちゃん・・・だから」
「え?」
「瑠衣ちゃんは覚えてないかもだけど私と鳴海さんね、一度離婚仕掛けたのよ」
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